公開日2026.01.27
工務店と二人三脚なら、「家づくり」がもっと身近に|セルフリノベ入門Vol.3

セルフリノベーションにまつわる知識や情報を、全3回にわたってお届けする「セルフリノベ入門」。
最終回となる今回は、DIY未経験者でも無理なく着実に進められるサービスとその実例を紹介。工務店と一緒に手掛ける家づくりには、住まいと長く付き合うための“一生もの”の技術が詰まっていました。
(過去回はこちら)
Vol.1「セルフリノベーションは本当に安い?費用と工数の落とし穴」
Vol.2「セルフリノベーションは、一人で完成はできない?」
工務店と二人三脚ではじめるセルフリノベーション
教えていただいたのは

株式会社 TSUDA CONSTRUCTION COMPANY
代表取締役 津田 直樹さん
店舗住宅のデザイン・設計・施工のほか、家具什器などの製品企画や開発なども手掛ける。工務店ならではの知識と技術を生かし、セルフリノベーションを二人三脚でサポートするサービス「教えて!工務店」を展開している。事務所下にあるDIYスペース「TCCO CRAFT FACTORY」では、レンタル工具の貸出しやワークショップを開催。
できる所は自分で、できない所は工務店にお願いする、今までにないリノベーション
画像提供:TSUDA CONSTRUCTION COMPANY
津田さんの会社では、DIY未経験者のセルフリノベをサポートするサービス「教えて!工務店」を展開しています。その特徴は、工務店側と家主側が担う仕事がはっきりと分担されていることです。設計図やスケジュールの作成、必要な道具や材料の手配は工務店が担当し、専門的な工事を除く解体や施工、塗装などは家主自身で行います。
もちろん、作業の手順や工具の使い方については、スタッフさんや大工さんから直接教わることができます。できる所は自分で行い、できない所は工務店にお任せする。この画期的な仕組みが、今までのリノベーションにはないスタイルといえます。
コストを抑えながらも、完成までたどりつける安心感
このサービスの魅力は、すべて自分で行う場合と、丸ごと工務店にお願いする場合のメリットの“いいとこ取り”ができる点にあります。ひとつめのメリットは、何といっても予算を抑えられることです。一般的に大工さんたちが行う解体や施工といった作業は、一部を除き家主自身で行うため、その分の人件費を抑えることができます。手を動かす大変さはあれど、セルフリノベのうま味である「低コスト」を叶えることができます。
ふたつめのメリットは、着実に完成にたどり着けることです。Vol.1「セルフリノベーションは本当に安い?費用と工数の落とし穴」でお伝えしたとおり、ゴールが曖昧なままスタートしがちなセルフリノベは、何よりも「完成させること」が難しいもの。工務店と一緒に進める場合、必要な工程、かかる工期をプロが作成・管理してくれるため、家主はそのレールに沿って進んでいけば無事完成まで進めることができます。
利用者の実例「失敗すらも『可愛い』と思える」
画像提供:TSUDA CONSTRUCTION COMPANY
ここで、「教えて!工務店」を実際に利用された方の例をご紹介します。DIY未経験の女性お二人が挑戦したのは、経営するカフェ食堂のセルフリノベ。解体・施工、壁面の塗装などをご自身らで行うほか、キャスター付きカウンターや照明などもDIYされました。
(引用元)YouTube【津田工務店ちゃんねる #189】ツブコショクドウVol.2 ベンチ製作編 【教える工務店】自分の店は自分で作る! DIY素人主婦2人の店舗工事奮闘記!
工事がスタートした当初は、慣れない工具の扱いや力作業など、初めてのことばかりで大変だと感じることが多かったお二人。それでもやりきれたのは、「現場で支えてくれたスタッフさんや大工さんの存在が大きかった」そうです。「わからないことを直接教えてもらえるありがたさもあったし、自分で実際に手を動かしたからこそ、プロの技術力の高さを知ることができました」と言います。
3カ月にわたるリノベーションを終えた感想は「楽しかったし、おもしろかった」というもの。「100%の仕上がりではないけれど、失敗すらも『可愛い』と思える愛着があるし、自分たちで作ったからこその達成感があります」と語っていました。
Before / After

画像提供:TSUDA CONSTRUCTION COMPANY
家づくりを支えるのは、小さな技術の積み重ね
前述の事例を見て「たまたま器用なお二人だったのでは…?」と思ってしまった方もいるかもしれません。それに対して津田さんは「リノベーションの作業は、ほとんどが『教えてもらえればできること』ばかりです」と言います。
もちろん、仕上がりのクオリティやかかる時間は、プロと初心者では大きく差が出ます。しかしそれは裏を返せば、「初めての人でも“ゆっくり丁寧に”ならできる」ということ。先程の事例の場合、プロが3週間程度で行う施工を3カ月かけて行われました。2~3倍の時間はかかってしまったものの、初めてとは思えない出来栄えだったそうです。
セルフリノベの基本となる5つの作業
「リノベーションの基本作業は【壊す】【留める】【切る】【塗る】【張る】の5つ。
一般的なYouTubeのハウツー動画を見て、『自分にはできない』と断念してしまう人は少なくないけれど、直接レクチャーを受ければできるものなんです」と津田さん。ということで、5つの基本作業を実際に津田さんに教えていただきました。
❶「壊す」―建物をリセットするための作業
画像提供:TSUDA CONSTRUCTION COMPANY
最初の工程である「解体」では、中古物件の壁や天井、床、据え付けの家具をバールなどの工具を使って壊します。力仕事のため体力は必要ですが、ある意味ストレス発散にもなる作業。楽しみながらされる方も多いのだとか。
❷「留める」―ビスやピンで固定する
全体の工程を通して最も登場頻度が高い「留める」作業。材木や石膏ボードなどの材料同士、もしくは材料と床や壁などを固定するために欠かせません。代表的な方法は、インパクトドライバーやピンタッカーなどの工具を使ってビスや釘を打つもの、ボンドなどを使って面同士をしっかり固定する接着が挙げられます。
❸「切る」―材料を最適な大きさや厚みに
材木などの材料は、設計図の内容に合わせて適したサイズに「切る」必要があります。ノコギリや丸のこなどの扱い方は、正しい操作方法を学んだうえで数をこなせば、きちんと身に付くそう。ただし危険を伴うため、目の前の作業に対する集中力は忘れずに。
❹「塗る」―機能性と仕上がりを担う
画像提供:TSUDA CONSTRUCTION COMPANY
ローラーやハケ、スプレーを使って塗料を壁面などに付着させていく作業。主に目に見える仕上げとしての塗装、下地部分に行う防アリ・防腐などの保護を目的とした塗装などがあります。
❺「張る」―パーツをつないで面を作る
画像提供:TSUDA CONSTRUCTION COMPANY
天井・壁・床には、パーツを敷き詰めて「面」をつくる「張る」作業が行われます。土台となる下地の上に、遮音性や断熱性を高めるボードやパネル、最終的に目に触れる仕上げ材としてのフローリングやタイルなどを、隙間なく張り合わせます。
「直す」「つくる」の技術が身に付けば、家づくりがもっと身近になる
Vol.2「セルフリノベーションは、一人で完成はできない?」でも触れたように、今後大工さんの数が減少すれば、いざというときの相談先が見つけにくくなることは避けられません。だからこそ、プロに学びながら住まいをつくるセルフリノベ経験は、とても大きな財産になります。
お金を出して依頼するのが当たり前だと思っていた修繕・修理が、自分でできるようになる。工具の使い方や木材の扱い方を覚えれば、「直す」だけではなく、家具などを新しいものを「つくる」こともできる——。なんとなく遠いものだと思っていた「家づくり」を、とても身近なものに変えてくれる。それがセルフリノベの醍醐味ともいえるかもしれません。
最後に
全3回にわたってお届けしてきた「セルフリノベ入門」。DIYが得意な人だけでなく、「やってみたいけれど不安だった」人にとって、セルフリノベが少しでも身近な選択肢になっていたら嬉しいです。住まいと長く、心地よく付き合っていくための一歩として、自分の手で行う家づくりを、ぜひ検討してみてください。
戸建てのインターネットもプロにご相談を!
ライフラインとして欠かせないインターネット回線も、プロに相談しておくのがベター。家の構造によってはネットが繋がりにくくなるケースもあるため、着工前の相談がおすすめです。
取材協力
株式会社 TSUDA CONSTRUCTION COMPANY
店舗住宅のデザイン・設計・施工のほか、家具什器などの製品企画や開発なども手掛ける。工務店ならではの知識と技術を生かし、セルフリノベーションを二人三脚でサポートするサービス「教えて!工務店」を展開している。事務所下にあるDIYスペース「TCCO CRAFT FACTORY」では、レンタル工具の貸出しやワークショップを開催。
筆者
sumica編集部
自然体で心地いい時間が過ごせるおうちにしたい、そんな想いを込めて、「こんなのあったらいいな」「これは便利!」と思う暮らしのアイデアをお届けします。






