公開日2024.02.08
溶接でDIYのレベルUP!初心者でも使える溶接機で椅子づくり体験
DIY初級者にはハードルが高いイメージのある「溶接」。初心者でも扱いやすく、家庭でも使える溶接機があるのをご存知ですか? 溶接体験ができる「大前製作所」で鉄を使った椅子づくりにチャレンジしてきました!
製作所で溶接DIYを体験!
教えていただいたのは
大阪府東大阪市にある大前製作所。鉄の加工をもっと身近に感じてもらおうと工場の隣にDIYのワークスペースを設置。
工場長の中村 剛行さん。2023年から大人から子供まで誰でも気軽に鉄を使ったDIYが楽しめるワークショップを定期的に開催されています。
溶接でできるDIYってどんなものがあるの?
こちらのワークスペースの奥は、これまでワークショップやDIY好きなスタッフが溶接して作ったDIYアイテムの展示スペースの部屋になっています。
ワークショップで作った鉄の時計
アイアンと古材を組み合わせたテーブル
ドラム缶で作ったテーブルと椅子。ガレージに置くとかっこいい。
キャンプアイテム「ロケットストーブ」も!初心者でも1時間ほどで作れるのだそう
DIYでできる溶接技術
溶接とは金属を高熱で溶かし、冷めて固まることで接合させる技術です。溶接するエネルギー源としては、ガスと電気の2種類があり、ガスはプロの職人向けですのでDIYで扱えるのは電気を使用する溶接(総称してアーク溶接と呼びます)となります。アークとは高熱と強い光を発生させる電気的現象のこと。アーク溶接にもさまざまな種類がありますが、一般的にDIYで使用されるのは「ノンガス半自動溶接」と「手棒溶接」です。
初心者でも使える溶接機
溶接は未経験でこれからDIYで溶接を取り入れたい、という方はノンガス半自動溶接機の練習から始めるのがおすすめです。大前製作所にあるノンガス半自動溶接機「SUZUKID®︎:SAYI-80N/Arcury80 NOVA」は、初心者にも扱いやすい溶接機。
この溶接機本体には溶接用のワイヤーが組み込まれています。手元のスイッチを押すだけでワイヤーが自動で送られるので連続して溶接がおこなえるようになっています。片方の手が使えるので初心者でも扱いやすく、また、電圧が100Vであるため家庭での使用が可能になっています。
溶接機の使い方とポイント
赤いスイッチを押すと自動でワイヤーがトーチの先端に送られてきます。スイッチを押すと同時にワイヤーに電流が流れ、ワイヤーを鉄と接触させて高熱と強い光を発生させることて溶接ができる仕組みになっています。
溶接でしっかり接合させるポイントは、距離感と角度。溶接部に対してトーチを45度の角度で当て、適切な距離を保ちます。溶接したい材料と材料の真ん中をゆっくり、円を描くイメージで溶接していきます。円を描くように溶接することで接合させたい部分に沿ってスライドさせていくことができます。
よくあるのが、近づけすぎてワイヤーが材料とくっついてしまうこと。初めての場合は、恐怖心からスイッチを長く押せなかったり、手元が動いてしまったりして溶接する箇所がブレてしまうことも多いです。
溶接は、この距離感と角度の感覚が掴めるまで繰り返し練習することが大切です。プロに教えてもらいながら練習を重ねて、これから溶接を取り入れられるようにしましょう。
溶接機を使って、椅子づくりに挑戦!
材料の鉄のアングルと古材とネジ。素敵な椅子に大変身します。
溶接する前に、必ずエプロン・溶接用手袋・マスク・溶接面を着用します。
まず、座面となる木材をはめ込む鉄枠を作ります。溶接する4角をクランプで固定して先に仮止めの溶接をおこないます。
仮止めではスイッチを押す時間は約2秒。
仮止めの状態。仮止めがすべて終わったら本止めの溶接をします。
本止めをおこなった後。同じ要領で鉄枠を2つ作ります。
次に本止めでできた「溶接ビート」と呼ばれる溶接痕の盛り上がりをグラインダーで研削します。溶接では必要になる工程です。
溶接ビートを除去する理由は、美観の向上と衛生面(凹凸により汚れが溜まるのを防ぐ)の2つあります。
鉄枠の角もグラインダーで角取りし、脚との接合面の密着度をより高めるようにしてから、脚を組み立てていきます。
鉄枠と脚を溶接で接合していきます。
バランスを見ながら2段目も脚と接合すれば、椅子の枠組みが完成です。同じように溶接ビートを除去します。
最後に、座面の木材をはめて横からビス止め。
椅子の完成です!
木材と鉄を組み合わせたおしゃれな椅子ができました。椅子は上に観葉植物を置いてプランタースタンドにもできそう。溶接体験では時計作りにもチャレンジしました。
怖いイメージがあった溶接ですが、初心者でも扱える溶接機があるとはうれしいですね。普段、木材のDIYをよくする方は、溶接ができる体験施設を活用してレベルアップしてみてはいかがでしょうか? また、大前製作所では「こんなの作ってみたい」と相談をすることもできますので、ワークショップに参加してみるのもおすすめです。まずは挑戦してみましょう。
取材協力
大前製作所/河内工場
大阪府東大阪市本庄2-4-5
創業65年の歴史を誇る東大阪の町工場。創業から一貫して鉄の加工を行い、長年にわたりモノづくりの根幹を支え続けている会社。