らしさのある家

公開日2024.06.24

DIYで倉庫を秘密基地に!趣味を楽しむガレージづくりの秘訣

ガラクタだらけの倉庫が、仲間が集まる素敵な空間に変わる? バイクを置くため、築35年の木造倉庫をセルフリノベーションしたDDさんは、雑誌やSNSなどでも人気を集めるDIYer(DIY愛好家)。未経験から始めたというDIYは、細部にこだわりを感じさせる秘密基地に生まれ変わりました。DIYを日常に取り入れて、趣味が楽しめるガレージをつくる秘訣を伺ってきました。

ガラクタだらけの倉庫が、ガレージに変わるまでの遍歴とは?

▲ ガレージの外観。よくカフェと間違えて訪ねてくるという。

アンティーク調の茶色の引き戸に渋めグリーンのドアが映える、まるでカフェのようなガレージ外観。ドアの窓には「Garage Double D」のロゴ。

▲ 梁が露出した高い天井と手作りのヴィンテージ家具が並ぶ室内。

室内に一歩入ると、ウッディーの中にインダストリアルを感じる配色は、男らしく無骨な印象。建物自体は細長く、入り口から奥に向けて、カウンターや冷蔵庫のあるバイク用のガレージ、ソファや暖炉のあるカフェバー、そしてストレージ(保管場所)と3つの空間に分かれています。空間を引き立てる赤やゴールドの差し色で、こなれ感満載。これが全部DIYで作られたなんて、信じられません。

▲ 奥には、カフェカウンターも!

▲ DDさん

京都在住のDDさんは、元整備士。車やバイクいじりは得意でしたが、DIY自体は未経験。そんな中、DIYを始めるきっかけとなったのは、新しいバイクを購入したことでした。
「実家の倉庫が雑然としており、物置状態。バイクの整備する場所として使っていましたが、新しいバイクに見合うようなかっこいいガレージを作りたいと思うようになってきたんです」とDDさんは当時を振り返ります。

「そんなとき、友達が自宅の蔵を改装して、パーティ会場にしているのを見て、私の倉庫も同じようにできるのではないかとひらめきました。その場でDIYを始めることをひそかに宣言して、約7年前にDIY人生がスタート(笑)。こうして今に至ります」

▲ 当時の倉庫(Before)

ガラクタだらけだったという築35年の木造倉庫。まずは、部屋を片付けることからスタートします。不要なものを整理していく過程で、次第に空間の全景が見えてきたそう。

「続いて照明に着手。以前は全て蛍光灯で、白くて明るい印象でした。しかしそのままでははっきりとした色味で、雰囲気を出しにくいと感じ、暖色系(オレンジ色)のライトに変えたことがきっかけとなって、ブラウンインテリアを空間の軸に据えることにしました」

▲ 快適な環境を作るために、シーリングファンも導入。

少しずつ部屋の雰囲気に合わせながら、ほかの要素を調整。元々梁の下にあった蛍光灯は、暗くて見えづらかったので、梁の下にある蛍光灯を取り外したところ、屋根の渋いデザインが見えてきました。その屋根を見上げたときに、新たな魅力を見つけ、壁に照明を当てることで、古着屋さんのような雰囲気も作りあげられていきます。

▲ 何気なく置かれたアイテムも、全てDIY!

▲ 入口にある手洗いも、DIYで。

低価格の素材を、DIYでアンティーク風に!

DDさんのインテリアで注目したいのは、アイテムに必要な材料がかなりコストを抑えて作られているところにあります。ネットや100円均一、ホームセンターで購入したものを取り入れることで、これまで全体的なリフォームにかかった費用は約60万円程なのだとか。

▲ 奥にあるカフェカウンターも実は…

▲ 裏側から見るとこんな感じ(Before)。カラーボックスも生まれ変わります。

▲ 古くて懐かしい冷蔵庫もDIYで赤いブリティッシュな電話ボックスに!

▲ バイクのディスクローターを活用したランプ。

「ただ、貧乏性なだけですよ」とDDさんは笑いますが、いやいやこれだけのクオリティの高いアイテムをつくり出せる技術力の高さと探究心に脱帽です。

とはいえ、DIYって難しそう……、どうすれば楽しく続けられるのか。DDさんがDIYをするときに心がけていることは、どんなことなのでしょうか。

DIYは、イメージを明確にしてから仕上げる

「つくり出す前に、まずは目標をしっかりと設定して、作成するもののレベルや範囲を決めておくことが大切です。目標が明確でないと、それに応じたクオリティの作品を作ることができません。映画や写真を見て『ここまで作りたい』と思ったら、それを目標にして、どうすればその形にできるのか、イメージしていきます。この過程も楽しい。すべてのアイデアやイメージが頭の中で明確になったら、思い切って実践する。あとは完成形をなるべく完璧にイメージすることも重要です」

また、作品自体が素晴らしいものでも、全体のインテリアに合わなければ活かされないとDDさん。

▲ 制作中のDDさん。

「初めてのDIYなら、ゼロから作るのは大変かもしれません。その場合は、カラーボックスをリメイクする、色を変えてみるなどリメイクから始めることをおすすめします。

例えば、上部と下部をモーディングする(表面に凹凸を施し、陰影によって装飾するデザイン技法)ことで、アンティーク風に仕上げることができます。思い切って、扉を取り外してみることで、新しいアイデアが浮かぶかもしれません。どちらにせよ、どうやったら自分のイメージする形に持っていけるかを考えながらつくり始めるのがおすすめですよ」

▲ このアンティーク風キャビネットも、実はカラーボックスのリメイク。

DIYをするときのモチベーションの上げ方についてもお聞きしました。
「お客さんを招くことかな。人を招くことで、部屋を片付けたりしますよね。あと、何度も訪れてくれる人が、ちょっと変化に気づいてくれるのも嬉しい。そのためにアイテムを増やしたりしていますよ(笑)。いつ気づくかなというのもおもしろい」とDDさん。
人が来るというのを自分への締切に設定する。期日を決めて準備をすることで、自分にとってもいい区切りとなって、楽しく続けることができるのでしょう。

ガレージは、趣味や創造活動に没頭できる秘密基地

▲ ガレージは、バイクのメンテナンスやカスタムを行う作業所でもある

DDさんは、このガレージには、週末や休日にだけ訪れます。日常と違う空間で、自分の趣味や創造活動に没頭することができるため、リラックスした時間を過ごせるのだそう。
「昔は時々、2次会の場所として使われていましたが、最近は、『秘密基地でやりたい』という声をいただくため、1次会にも使われるようになりました。バイク仲間が集まった時にはよく利用しますね。みんなでツーリングの行き先を決めたり、バイクを眺めて雑談したりしていますよ」

▲ 全開することがほとんどないという、入り口のドアを開けてもらった。開放感!

DIYをしてみて良かったことは、暮らしの中に変化が訪れたことだとDDさん。
「InstagramなどのSNSを介して、ガレージハウスやビンテージに興味を持つ友達が増えたことで、交友の幅が広がりました。自分のつくったものを喜んでもらったり、一緒に情報交換やアイデアの共有ができたりするのは楽しいことですね」

▲ バイク仲間と談義中。まさに、秘密基地。

これからは、裏庭をセルフリノベーションしていきたいと考えているのだそう。奥側を作業スペースにして、中2階も作りたいとイメージを膨らませている途中。
「裏にまだほったらかしの自動販売機があるので、何とかしたい」と笑うDDさんは、本当に自分を楽しませることが上手なDIYer(DIY愛好家)さんでした。

筆者

ライター 小倉ちあき

ライター

小倉ちあき

企業内での広報部経験を経て、現在フリーランスのライター・インタビュアー。地域・文化・ものづくりの領域で主に活動し、今を捉えている。ジャンルの境界を越えて、有機的につなぎあわせる編集術を日々模索する。

取材協力

GarageDD

バイク好きが高じていつしかDIYerに。インテリアから車まで何でもDIYしたいDDさんの隠れ家。

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