公開日2026.03.17
不動産のプロに聞く、間取りを見るポイントとは?二人暮らし編
単身なら「自分さえ良ければ」で済んだ住まい選びも、二人になるとそうはいきません。
二人暮らしの部屋は、一般的に40〜50平米が平均的な広さの目安と言われています。広さがあっても、生活リズムのズレが思わぬストレスになることも。
株式会社 人と不動産の代表である小上馬(こじょうま)さんは、「二人暮らしこそ、物理的な広さより、心理的な『余白』と『動線』の設計が重要」だと語ります。
賃貸物件やマンションリノベーションを検討中の方に、パートナーと心地よく暮らすために大切な物件選びのコツを深掘りします。
不動産のプロが教える、二人暮らしの間取りを見るポイント
大阪を拠点に「株式会社 人と不動産」を営む小上馬さん。「“人”を中心に不動産を考える」を掲げる株式会社 人と不動産は、単なる物件紹介にとどまらず、住み手の声を反映した「自分好み賃貸」のプロデュースや、空き家活用、地域活性化まで幅広く手掛ける住まいの目利き集団です。
一人暮らしの賃貸編「不動産のプロに聞く、間取りを見るポイントとは?一人暮らしの賃貸編」に続いて、今回は二人暮らし編。小上馬さんご自身の14回の住み替え経験の中には、パートナーとの生活スタイルの変化に合わせて柔軟にアレンジしていく実験も数多く含まれていました。一人暮らしの間取りとはまた違い、二人暮らしにおいては、異なる視点が必要だと語ります。
「二人暮らしは、単なる『一人暮らし×2』ではありません。異なるリズムを持つ二人が同じ空間で暮らすからこそ、物理的な仕切り以上に、心理的な『余白』をどう設計するかが重要になります」
小上馬さんが提案する、二人暮らしを豊かにする「余白」の思考法
1:住み替えを前提に、柔軟に考える
- 単身向けの間取りで二人で暮らしている場合は、まずは二人暮らしを前提とした部屋(40平米以上、1LDKなど)へ住み替えることをおすすめします。単身用物件は「室内での会話」を想定しておらず、騒音トラブルを招くリスクがあるからです。ライフステージの変化に合わせ、柔軟に住まいをアップデートすることが人生の自由度を広げます。
2:生活リズムの「ズレ」を許容する設計
- 就寝・起床時間のズレは必ず生じるもの。扉がなくとも、棚や家具で空間を仕切る「余白」があるか、あるいは音や光を遮る壁があるかが、二人の平穏を守る鍵となります。
3:水回りの「気兼ね」を構造的に排除する
- 洗面所・脱衣所・トイレが混在する動線を避けるのが鉄則です。どちらかが入浴中にトイレに行きづらいといった小さなストレスは、積もり積もって大きな溝になることも。
さらに、トイレは単独で、かつ寝室やリビングから独立した経路でアクセスできる間取りがベター。朝の準備時間が重なっても、お互いのプライバシーを尊重しスムーズに行動できるでしょう。
「二人暮らしの間取りは、お互いの価値観をすり合わせる共同作業の連続です。最初から完璧な条件を求めすぎず、住みながら二人の形に合わせていける。そんな柔軟な住まい選びを楽しんでほしいですね」
二人暮らしでもストレスなく暮らせる、間取り事例
二人暮らしの物件探しでは、「図面上のスペック以上に、二人の生活動線が重なる部分のストレスをどう減らすかが重要」だと小上馬さんは語ります。
実際に小上馬さんがプロデュースした2つの物件を例に、紐解いていきましょう。
【物件1】開放感重視の「ビッグワンルーム」
約45平米・都心のリノベーション物件です。いかに限られた空間を有効活用するか、そのための創意工夫とアイデアが、随所に凝縮されています。
ポイント1:家具で自由に仕切られる空間
壁を作らず本棚などで仕切ることで、開放感とエアコン1台での空調効率を維持。すでに持っている家具を活用しながら、「実験的」に空間をアレンジ可能できます。お互いの気配をほどよく感じつつも、視線を遮る高さの家具を置くことで、心理的なパーソナルスペースを確保しやすくなります。
ポイント2:天井にカーテンレールを取り付けて、個人の集中スペースに
空間を圧迫しないカーテンは活用できます。リモートワークの集中スペースを作れたり、急な来客時にベッド周りを隠したりもできます。インテリアのアクセントにも。一人が先に寝る際や、夜遅くに明かりを漏らしたくない時など、生活リズムがズレる二人にとって最も手軽で効果的な「境界線」となります。
ポイント3:広い玄関なら、「オンオフ」の切り替え可能
広めの玄関土間は、新たな収納スペースにすることで、二人分の靴や外遊びの道具、日用品のストックなどで溢れがちな玄関がゆとり空間に。広めの土間は収納だけでなく、帰宅時に気持ちを切り替える余裕を生みます。コートがかけられると、花粉を室内に持ち込まないので花粉症対策にも。
【物件2】ダイニングキッチン中心の空間
約40平米・こちらもリノベーションマンションです。あえてダイニングを主役に据えた、合理的なリノベーション事例です。
ポイント1:キッチンに機能を集約し、ゆとりを捻出
アイランドキッチンとダイニングテーブルを一体化し、生活の拠点を集約するスタイル。家での時間は「食べる・寝る・寛ぐ・働く」の繰り返しです。調理・食事・ワークを一つの多機能なスペースにまとめることで、一人が料理をしている横で一人が作業をするといった「別々のことをしながら同じ空間にいる」心地よい距離感が自然に生まれます。家具の数も減るので、居住面積をコンパクトに活用でき、余った面積をリラックス空間(寝室、ソファ等)に充てられます。
ポイント2:二重窓で熱と外部の音を遮断
▲ (掲載記事)「内窓」は本当におすすめ?―断熱効果を感じないケースと解決策
意外な盲点となるのが、熱と音の遮断。特に古い物件や開口部の大きい部屋では、「二重窓(内窓)」の導入が劇的な効果を発揮します。二重窓は冬の寒さを防ぐ断熱性だけでなく、交通騒音や隣人の生活音をシャットアウトする高い気密性も備えています。また、「外の音が聞こえない」ということは、同時に「内の音も漏れない」ということ。室内での会話や生活音が外へ漏れる心配を減らすことは、二人が気兼ねなく笑い合える伸びやかな暮らしを支えてくれます。
プロが教える、間取りを決める時のチェックリスト
二人暮らしは単身時よりも「音・動線・電力」の負荷が倍増します。二人で過ごす空間と、個人の時間を守る空間が適切に分かれているかが鍵です。内覧時に必ず確認すべきポイントをまとめました。
トイレの場所
-
□ トイレが脱衣所内ではなく、単独でアクセスできる位置にあるか
- □ トイレの壁が居室(特に寝室)に直接面しておらず、音が響きにくい構造か
リビング
- □ 二人並んで座れるソファスペースがあるか
- □ ソファとテレビとの距離が適切に保てるか
ワークスペース
- □ 二人同時にリモートワークや作業をする際、音や存在が干渉しない距離があるか、また仕切りがあるか
キッチン
- □ コンロは2口以上確保されているか(同時に2品作れるかが時短の肝)
- □ まな板を置く調理スペースが十分にあるか
- □ 二人でキッチンに立てるか
家電のスペース
- □ 電子レンジ、炊飯器、冷蔵庫等の家電を並べる十分な棚スペースがあるか
- □ エアコンの位置(古い物件は要注意!リビングにあっても寝室にない、または室外機置き場がなく設置不可の場合もある)
コンセントとアンペア数
- □ 各部屋のコンセント位置を把握したか(延長コードだらけにならないか)
- □ 電気容量は十分か
窓の性能と方角
- □ 二重窓など、外からの騒音(交通音・隣人の声)を遮断する設備があるか
- □ 西日が強すぎて夏場のリビングが過熱しないか、方角と遮光性をチェック
冷蔵庫とベッドの距離
- □ 夜中の冷蔵庫の稼働音は意外と響くため、就寝環境に影響しないか注意が必要です。
間取りや設備が「今の心地よさ」を作るなら、契約条件や資産価値は「未来の自由」を守るためのものです。二人暮らしは、結婚や転勤、家族の増加など、ライフステージの変化が訪れやすいからこそ、いざという時に、身軽に、かつ有利に次の一歩を踏み出せる状態を整えておくことが大切です。以下について確認しておくとよいでしょう。
賃貸物件の場合
- □ 更新料と周辺相場の確認
2年後の更新時にかかる費用を確認し、その家賃が地域の相場と乖離していないか(次の住み替えのハードルにならないか)を把握しておきましょう。 - □ 原状回復のしやすさ
二人暮らしで棚を付けたい場合など、最近では「DIY可」や壁を傷つけない工夫がしやすい内装かどうかも満足度に直結します。
分譲物件(マンション)の場合
- □ 貸せる・売れる物件か
将来「資産」として自分を守ってくれるかどうかも重要な視点。ライフステージが変わって手放す可能性を見据え、自分たち以外の誰かも「住みたい」と思える条件(立地、管理状態)かを確認しましょう。 - □ 「駅から5分以内」が鉄則
近年の酷暑を考えると、通勤時の体力消耗は無視できないストレスです。また、駅からの距離は将来手放す際の「資産価値」に直結するため、購入時は特に妥協すべきではないポイントです。 - □ 管理組合の健全性と修繕積立金
マンションの場合、専有部分(間取り)は変えられても、建物全体の管理は変えられません。修繕計画が適切か、ゴミ置き場などの共用部が綺麗に使われているかは、将来の売却価格に影響します。 - □ 事前に管理規約にも目を通しておく
将来間取りを変更したい時に、規約によって床材の制限やリノベーションの範囲が限られている場合があります。また、ペット飼育に厳しい縛りがないかもチェックして。 - □ 「マンションの顔」である管理人に会ってみる
管理人は、そのマンションの環境を映し出す鏡のような存在です。内覧時に、清掃状態や管理人さんの挨拶の様子から、住民コミュニティの質が見えることも。
最後に:納得のいくお部屋探しのために
二人暮らしで大切なのは、お互いの生活リズムを尊重できる動線を確保し、ストレスの種を構造から取り除いておくこと。そして、その時々の二人に最適な空間をアレンジする意識と、最適な場所へ移り変われる柔軟さを持つことです。心理的な“余白”を大切にする。そんな住まい選びの視点が、二人の自由で豊かな未来を支える確かな土台になるはずです。
次回は、「ファミリー編」をお届けします。
家のネットを、もっと快適に。
「eo光」が選ばれる理由
取材協力
株式会社 人と不動産
大阪市天王寺区を拠点に、賃貸・売買仲介からリノベーションのコンサルティング、レンタルスペース(Uemachi Sanc)運営まで幅広く展開。「自分好み賃貸」プロジェクトなど、住み手の個性を活かす物件提案を得意としています。空室対策や不動産活用にお困りのオーナー様からの相談も受け付けています。





