DIY

公開日2024.06.18

可動棚を設置するなら背面?それとも側面支持?2つの違いを解説!

DIY初心者でもトライしやすい「可動棚」。可動棚には大きく背面と側面で支えるタイプの2種類に分けられます。その2種類の特徴や違い、使う場所や用途に合った選び方を解説。また、壁への取り付け時の注意点もご紹介しています。

この記事はこんな方におすすめです。

  • ・ご自宅に可動棚をDIYしたい
  • ・可動棚の種類を知りたい
  • ・取り付ける場所に適したタイプを知りたい

可動棚の代表的な2種類と特徴

可動棚とは?

可動棚とは、収納する物の高さによって棚板の高さを上下に動かせる棚のことです。家の中で「ここに棚があればいいのに…」と思うところに設置すると、とても便利になる収納棚です。スペースさえあれば、DIYをして取り付けることが可能です。

代表的な2種類

可動棚はおおまかに分けるとこちらの2種類があります。
1.背面支持タイプ
2.側面支持タイプ
それぞれの特徴を見ていきましょう。

1.背面支持タイプ

背面の壁に、支柱となる金具を取り付けて、棚板を支えるタイプのこと。写真のように壁の横幅いっぱいに棚を取り付けたり、壁の一部だけを棚にしたりとお好みのサイズで収納を作ることができます。

縦に取り付けて棚板を支える金具を「支柱」、棚板に取り付ける金具は、「ブラケット」と呼びます。上の写真では支柱を2本使っていますが、支柱は壁の横幅に合わせて数を増やします。

背面支持タイプは、棚板とブラケットをビスで接合させます。

棚板の高さを変える場合は

両側のブラケットを両手で持って、支柱から取り外します。金具を上に引き上げてから手前に引くと外れます。(写真は、高さの変え方がわかりやすいよう、棚板を外したブラケット金具のみのものです)

変えたい高さに合わせて、支柱にひっかけることで高さが変えられます。奥までしっかり取り付けるようにします。

背面支持の特徴

耐荷重に優れている

背面支持の最大の特徴は、側面収納と比べて耐荷重に優れていることです。
ブラケットのサイズも豊富なので、乗せる物の重さや棚の大きさに合わせて選ぶことができます。
またブラケットは、各メーカーごとに耐荷重の目安が明記されています。棚を取り付ける場所の横幅に合わせ、支柱とブラケットの個数を決める参考にしましょう。

用途に合わせて組み合わせも可能

背面支持の特徴として、用途に合わせてハンガーパイプ等との組み合わせができるのも魅力です。クローゼットの収納等にも適しています。

2.側面支持タイプ

側面支持タイプは、両側に壁がある場所に取り付けることができます。
両側の壁に支柱を2本ずつ、合計4本を棚板を設置したい高さに合わせて設置します。支柱に小さな金具を取り付けて、その上に棚板を置きます。

棚板を支えるこの小さな金具のことを、“ダボ”と呼びます。

側面支持は、このダボに棚板を乗せるだけ。棚板とダボは固定はしません。

棚板の高さを変える場合は

棚板を取り外してダボをつまんで外します。

変えたい高さにダボを取り付けて、棚板を乗せます。

側面支持の特徴

両側に壁がないと施工できない

側面支持は、両側に壁がないと施工できません。また、両端4カ所で棚板を支えるため、重い物を置くときや、横幅が広い場所には不向きです。両端から支えるため、棚板の中央に重い物を乗せると棚板がたわんでしまう可能があります。

スッキリとした見た目

背面支柱に使うブラケットと比べても金具が小さく、四隅に設置するためスッキリとした見た目になります。また、収納スペースを広く取れるという特徴もあります。



背面支持か、側面支持かで迷ったら

背面支持タイプと側面支持タイプ、DIYで設置するならどちらが適しているかで迷ったら、以下のように用途にあわせて選ぶとよいでしょう。

重い物を載せる場合は、背面支持

例えばペットボトルや本、冬物のお洋服など重さがあるものを収納したい場合、ずっしり重みがある物をたくさん並べたいという場合は、ブラケットで棚板を支える背面支持の方が適しています。横幅が限られていて比較的狭い場所であれば、側面収納でも問題ないでしょう。

▲ 支柱・ブラケットの追加例

背面支持なら重い物を乗せる、かつ横幅の広いスペースで収納を作りたい場合、支柱とブラケットを追加して荷重を分散させれば、よりしっかりと棚板を支え、棚板のたわみも防止できます。

ブラケットの数を決める際は、棚に乗せる物をリストアップして、乗せる物の重さを合計しましょう。(その際は重めに見積もりましょう)

高さを頻繁に変える場合は、側面支持

棚の高さを変えやすいのは、棚板と金具が独立している側面支持です。棚板を外して金具を好みの高さに付け替えるだけで、簡単です。
背面支持は棚板と金具が一体化しているため、棚板の横幅が長いほど一人で取り外しをする難易度が上がります。頻繁に高さを変えないのであれば気にする必要はありませんが、収納する物の入れ替えをよくする場合は、側面支持の方が作業しやすくなります。

費用を安くしたい場合は?

金具の種類や量にもよりますが、側面支持の方が費用を抑えられる傾向にあります。
支柱の数は、通常2本で支える背面支持より4本使用する側面支持の方が多くなりますが、取り付ける金具が、ブラケットよりもダボの方が安く手に入ります。
例えば、同じ幅で高さ900mmの可動棚4段を作るとして計算してみます。

 

背面支持

側面支持

支柱

1,000×2

500×4

金具

ブラケット250mm
1セット左右800
×4セット

ダボ
41セット150
×4セット

4段合計

5,200

2,600

だいたいの相場感で計算してみると、以上のように側面支持の方が2,600円安くなります。
収納棚をたくさん作る予定があるなら、側面支持タイプも積極的に取り入れると、コストカットになりそうです。

背面支持と側面支持の違い まとめ

2種類の特徴と違いは以下のようになります。

 

背面支持

側面支持

設置場所


下地があれば
どこにでも設置可能


両側に壁がある所のみ

耐荷重


支柱を増設すると、
棚板がたわむ心配がない


横幅が広い場所では
荷重に耐えきれない

棚板の
高さ変更


少し力が必要


変更しやすい

収納
スペース


ブラケットが収納の
邪魔になる時がある


金具が小さいため
収納する物の
邪魔にならない

費用


ブラケットの価格が高め
(大きさや材質による)


背面支持と比べて
金具が安い

 

DIYで取り付ける際の注意点

可動棚を壁に取り付ける際に、注意したいことがあります。

1.必ず壁の下地を確認する

背面、側面支持、どちらのタイプにも共通して言えるとても大事なポイントは、設置する壁の下地の確認です。
壁が12mm以上の構造用合板(ベニヤ合板)の場合はどこでも好きなところに設置できますが、石膏ボードだけの場合は、棚を取り付けてもボードが重みに耐えきれず、壁が崩壊して棚板が落下してしまう危険性があります。

間柱(石膏ボードの裏側にある木材)のある位置には取り付けられますので、必ず施工する前に位置を確認しましょう。

間柱の位置を確認するツールを活用するのもおすすめです。写真は、壁に針を刺して間柱の位置の確認ができる針タイプです。
壁に針を刺して、刺さり方で間柱の位置を確認します。柱がある場所に針を刺すと途中で止まりますが、石膏ボードのみだと、抵抗なく針が奥まで刺さります。柱の場所が全くわからない状態で針を刺すと、壁が針の穴だらけになってしまうので、壁をたたいて、ある程度柱の位置に当たりをつけてから、針を刺して確認をしましょう。

<新築の場合>
建てる時に可動棚を作ることを検討している場合は、可動棚を取り付ける場所に構造用合板を貼ってもらえるよう、前もって伝えておくと安心です。

<リノベーションをする場合>
リノベーションをする場合は、棚を取り付けたい場所に、構造用合板を貼っておきましょう。

2.取り付け時のポイント

支柱を床と「垂直」に、かつ支柱同士を「水平」に設置するのが大切なポイントです。
まず支柱の取り付け位置を決めたら、マジックやマスキングテープ等で印をつけます。
印をつけたら、横と縦の印の位置にズレがないかをチェックします。支柱を仮止めし、水平器を使い平行かどうかを確認しておきましょう。

それからビスで打ち込んで固定します。一番上を最初に留めて、再度水平器で確認をしながら次に一番下をビスで留めます。そうすることで位置が固定され、残りのビスも真っ直ぐビス留めすることができます。

最後に、金具と棚板を設置します。

可動棚のDIYの手順はとてもシンプルです。設置場所と用途に合わせてタイプを選び、下地の確認と水平に取り付けることを意識すれば、初心者の方もトライできます。
ご自身の好きな場所に可動棚が設置できると、部屋の模様変えやアレンジが自由にできます。ご興味のある方は、ぜひ挑戦してみてください。

協力アドバイザー

建築、内装設計デザイン
TO DO 藤田 剛

2008年より設計デザイン事務所主宰
住宅や店舗のデザイン・設計業務を主に、素材や質感、ストーリーを大切にしたデザイン業務を行う。空き家問題にも取り組み、淡路島に移住し築100年の古民家を自ら改装しながら地域交流拠点としての活用を目指す。

 

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