整理収納

公開日2024.10.22

片づけのプロも悩んだ『実家の片づけ問題』。家族が残してほしいもの

いつかはやらないと思いながらなかなか前に進まなかった「実家の片づけ」。前回のきっかけを機に、本格的に取り組んで片づけることができた場所やモノ、両親との会話を通して気づいたことをお伝えします。

整理収納アドバイザー

長谷 由美子

本格的な実家の片づけ

前回の実家の片付け問題の記事が思った以上に好評で、お客様や友人から、
めちゃくちゃいい話!優しい気持ちになるね〜
ウチも向き合ってみようと思えたわ!ありがとう
など、色んな感想を聞くことが出来ました。

私の父親も友人に少し恥ずかしそうに、でも得意げに話したようです。笑

片づけのプロも悩んだ『実家の片づけ問題』。始めるために必要だったもの


前回はきっかけをお伝えしましたが、あれから両親と本格的に片付けに取り組んだ場所やモノ、その時に気づいたことを順にお伝えしたいと思います。


1:『キッチン』は母とルールを決めて

本格的な片づけとしてまず、毎日何度も使うキッチンから取り掛かりました。片づけは、「ルールを決める」ことが重要です。家事は母がメインにしていますので、母と食器棚のルールを決めました。

食器棚のルール
  • ・思い入れがなく使っていないモノ、欠けている食器は手放す
  • ・普段使いの食器と来客用の食器は分けて、見やすく使いやすくする
  • ・(両親が分からなくなるので)収納場所はあまり変えないようにする

食器棚の片づけをしていて気付いたことは、娘の私がいらなくなって譲った食器の多いこと!これには少し罪悪感…。もっと母が本当に好きなモノを使わせてあげたい、一緒に食器を買いに行ったこともなかったので、これからはそんな時間も楽しみたい、と思いました。

冷蔵庫・パントリーでは以下のルールを決めました。

冷蔵庫・パントリーのルール
  • ・期限が切れて少し経っているモノは捨てるか早く食べる
  • ・頂き物でも好みでなく食べられないモノは手放す
  • ・パントリーはお店のように商品名が見えるように並べる

冷蔵庫やパントリーの整理は「賞味期限」があるので整理はしやすいです。整理をしてみると同じ調味料や飲料のストックが多いことに気付きました。これには母も驚いて、「どれだけ持つと安心できるのか」、「何がどのくらい必要か」を考えるきっかけになったようです。
また、実家に災害時のストックが不足していることにも気付けたのは収穫でした。

2:『納戸』にあった思い出と不要なモノ

私の実家の納戸は屋根裏にあります。ハシゴを使わなければならず、天井高も低いため、最近は両親も入りにくくなっていました。

▲ 写真左側が納戸の入り口

久しぶりに入ってみた納戸は思い出の倉庫!笑
懐かしいモノがたくさん出てきて、匂いも含めて昭和にタイムスリップしたような気分でした。

▲ 私の思い出ボックスの段ボールが3つ出てきました!思わず見入ってしまう!

両親が大事にしまっておいてくれたことに感謝しつつ、他にも子どもや孫の写真やモノがたくさん保管してあったので、それぞれの持ち主に確認し、処分か保管か、一旦保留かを持ち主に決めてもらいました。
子供や孫のモノが捨てられないなら、持ち主に確認すると整理がしやすくなります。

他にも、納戸にあった使っていない「重いモノ」や、「過去に両親が趣味で使っていたモノ」、「なんとなく置いていたモノ」も思い切って処分しました。

▲ 重くて使わなくなったこたつ。10年以上放置されていましたが処分!

▲ 両親が趣味で使っていた思い出のモノも思い切って処分!

▲ 使いにくいけど何となく放置していたモノも処分!

不要なモノを出すだけで、かなりスッキリ風通しも良くなった気がします。納戸にあったモノに対する両親の想いをたくさん聴くことで、「何を大切に思っているのか」が理解することが出来てよかったと思います。

3:手ごわそうな『父の本棚』

父親が大切にしている本棚には手がつけられないと思っていましたが、周囲の整理が進んでくると背中を押されたようで、自ら「やる!捨てる!」と言い出しました。

今までだったら絶対に手放せなかった仕事に関する本や趣味の本も、「子も孫も読まんな〜」と、笑いながら手放すことができました。

4:節約にもなった『資産』の整理

モノの整理が進んでくると資産についても整理するようになりました。一般的によくあるのが預貯金、株式、投資信託、不動産など。保険や年金、カードの情報も含めて書き出すことにしました。全ての詳細は聞けていませんが、おおよそのことは把握することができました。

よく見てみると、生命保険で重複している内容があったので保険の見直しをし、月に1万円以上の節約につながりました。

両親との「終活」の話

実家のモノを少しずつ整理し片づけていくうちに、両親と会話をする機会が増えたことで人生の整理「終活」の話も出るようなりました。

葬儀場の見学会でもらったエンディングノート

そんな中、両親に誘われて葬儀場の見学会に参加することに。そんなことまでまだ考えたくありませんでしたが、
「いざという時に家族に負担をかけたくない」
という父の思いを聞き、付き添うことにしたのです。葬儀についての両親の考えを聞くいい機会になりました。

そこで参加者に配られたのが「エンディングノート」。
私も50代になり友人の死を経験したことから、そろそろ準備したいと思っていたので手にしてみました。

エンディングノートには、
・自分のこと
・資産のこと
・医療・介護のこと
・葬儀・お墓のこと
・遺言・相続のこと
などの項目があります。

頂いたノートの内容もとても充実していたのですが、「一つ足りない」と思ったページがありました。

それは、自分とともに生きてきた『モノへの想い』を伝えるページです。

家族が残してほしいもの

私は整理収納の仕事の現場で、残されたご遺族が故人のモノをどのように処分していいのか迷っている姿を何度も見てきました。

大切な人を大切にするために、
自分と共に生きてきたモノとの想い出話を伝え、
それがどこにしまってあって、
どうして欲しいか、
を伝えることが出来るといいなと思っています。

本人にとっては、
『生きていてこそ使うモノなので、いざという時には全て処分して欲しい』。それだけかもしれません。それでもいいと思います。

残された家族がほしいモノへの想いを伝えるエンディングページを作りましたので、よろしければ皆さんがエンディングノートを作られる時の参考にしてみてください。あなたの大切な人を大切にするために、役に立つかもしれません。

チェックリスト

※PDFデータをダウンロードし、保存してお使いください。

実家の片づけは、両親と人生に向き合う大切な時間

▲ 相変わらずモノでぎっしりの実家のダイニングテーブル。笑

実家の片づけをし続けて1番良かったことは、両親と人生の話がたくさん出来たことかもしれません。若い頃は素直になれず、うまくコミュニケーションが取れなかったことがやっと出来るようになってきました。

あと何回、元気に話せるだろう?
会えるだろう?
そう考えると、先延ばしにしてもいられませんよね。

そしてそんな私も、少しずつ人生の整理をしていこうと思えた「両親との大切な時間」になりました。

アドバイザー

整理収納アドバイザー

長谷 由美子

延べ7,000件以上の相談に応えてきた知識や経験から、苦手なお片付けをも好きにさせてしまう人間力と提案力が定評。

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