公開日2025.02.27
一般的なコンセントの高さは25cm!用途別・部屋別の高さの目安も解説

新築やリフォームを計画する際、意外と見落としがちなのがコンセントの高さです。日々の暮らしやすさに直結するため、使い勝手を考慮した配置にしたいもの。
この記事では、標準的なコンセントの高さに加え、用途や部屋ごとの適切な高さの目安、高さを決めるときの注意点について紹介します。
コンセントの高さの記載のしかた

電気配線の図面でコンセントの高さを示すときは、床面からコンセントプレートの中央までの距離を「コンセント高さ」として記載するのが一般的です。
たとえば「H=FL+◯◯」のように表記され、FLは床面を、数字は床からの高さを表します。図面上ではmm単位で寸法を表記するため、10cmの場合は「100」と記載されます。
なお、コンセントプレートのサイズは高さ12cmほどです。コンセントの設置高さを指定する際は、プレートの上端や下端が壁の造作と干渉しないように考える必要があります。
標準的なコンセントの高さ
最適なコンセントの高さは、一般的な住宅や高齢者向け住宅、ペットを飼っている家などで、それぞれ異なります。まずは標準的なコンセントの高さを把握しておきましょう。
一般的なコンセントの高さ:床から25cm

日本の一般的な住宅では、コンセントは床から25cmの高さに設置されることが多くなっています。これまでの習慣から使いやすい高さとして推奨されていますが、特定の決まりがあるわけではありません。
コンセントの高さは建築基準法などの法律で定められていないため、各家庭のライフスタイルに合わせて自由に決定することが可能です。
高齢者向け住宅:床から40cm程度がおすすめ
高齢者が生活する住宅では、コンセントを床から40cm程度の高さに設置することが推奨されています。
腰を深く曲げずにプラグの抜き挿しを行いやすく、車いすに座った状態でも使いやすいことが理由です。加齢に伴い、かがむ動作や立ち上がりが辛くなる場合でも、コンセント位置を少し高めにすることで、その負担を軽減できます。
ペットを飼っている家:床から1m程度がおすすめ
室内で犬や猫などを放し飼いする場合には、コンセントを床から1m程度の高さに配置することがおすすめです。
ペットは好奇心やストレス発散などによりコードを噛むことがあり、感電や火災につながる恐れがあるためです。低い位置にコンセントがあると、マーキング行為による漏電リスクも考えられます。ペットがコンセントに触れないよう、一般的な住宅より高めの位置に設置しましょう。
場所・用途別のコンセントの高さ

前項では標準的なコンセントの高さをお伝えしましたが、使用する家電やシーンによって使いやすい高さは異なります。部屋ごとにコンセントの高さの目安を把握し、目的に合わせて計画しましょう。
リビングのコンセントの高さ
【リビングのコンセントの高さの目安】
- ・通常:床から25cm
・テレビ用:床から25cm
・壁掛けテレビ用:床から100~110cm
・ソファまわり:床から40~60cm
・エアコン用:床から180~200cm
リビングは家族が長時間過ごすスペースで、テレビやスピーカーなど電化製品の使用頻度が高いことが想定されます。
床から約25cmに設置するコンセントは、掃除機やスタンドライトなど日常的に使う家電に適しています。ソファまわりのコンセントは、座った状態でプラグの抜き挿しがしやすいように40~60cm前後の高さにすると便利です。
テレビ用コンセントの位置の決め方は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
【新築】テレビとテレビコンセントの位置の決め方。入居後、後悔しないために
ダイニングのコンセントの高さ
【ダイニングのコンセントの高さの目安】
- ・通常:床から25cm
・ダイニングテーブル横の壁:テーブルの上端から10~20cm
ダイニングテーブルの横の壁にコンセントを設置する際は、テーブルの上端から10~20cm上の位置に設けると、ホットプレートや電気ポットなどの家電製品を使いやすくなります。
テーブルの高さは一般的に70cm前後であることを踏まえて、コンセントの位置を指定しましょう。
キッチンのコンセントの高さ
【キッチンのコンセントの高さの目安】
- ・カウンターに家電を置く場合:カウンター天板から15cm前後
・冷蔵庫用:床から170〜200cm
・パントリーの中:棚の高さに合わせる(目安は床から80~115cm前後)
キッチンのカウンターに炊飯器や電気ケトルなどを置く場合は、カウンター天板から約15cm上の位置にコンセントがあると、コードが届きやすく抜き挿しが簡単です。
パントリーがある場合は、棚の高さに合わせてコンセントを配置すると、ミキサーなどの調理家電の充電に使用できます。
洗面脱衣室のコンセントの高さ
【洗面脱衣室のコンセントの高さの目安】
- ・通常:床から25cm
・洗面台まわりの壁:洗面台の天板から15~30cm
・洗濯機用:床から105~120cm
洗面脱衣室では、洗面台の天板から15~30cm上にコンセントを設置すると、ドライヤーや電気シェーバーを使用する際に便利です。
トイレのコンセントの高さ
【トイレのコンセントの高さの目安】
- ・通常:床から25cm
トイレでは、温水洗浄便座や自動水栓などでコンセントを使用します。温水洗浄便座のコンセントは、便器の後方や横の壁の奥まった位置に取り付けるのが一般的です。
手洗い器に自動水栓を設ける場合は、機器によってコンセントの位置が異なります。設備の詳細図面で確認し、位置を決定しましょう。
寝室・子供部屋のコンセントの高さ
【寝室・子供部屋のコンセントの高さの目安】
- ・通常:床から25cm
・ベッドまわり:床から50~60cm
・机まわり:床から80~90cm
・エアコン用:床から180~200cm
ベッドまわりのコンセントは床から50~60cmに配置することで、厚みのあるマットレスを使用しても隠れにくく、スマートフォンの充電などに使用できます。
机まわりでは床から80~90cmの高さにすると、作業中に手が届きやすく、机上でパソコンやデバイスの充電をする際に便利です。
書斎のコンセントの高さ
【書斎のコンセントの高さの目安】
- ・通常:床から25cm
・デスクまわり:カウンターから10~20cm
書斎ではパソコンやプリンターなどの機器を使うことが想定されます。床から25cmのコンセントをベースにしつつ、デスクやカウンターの高さに合わせてコンセントを設けると便利です。スマートフォンの充電やデスクライトに使用できます。
廊下・階段・ホールのコンセントの高さ
【廊下・階段・ホールのコンセントの高さの目安】
- ・通常:床から25~40cm
・足元灯用:床から25cm
廊下や階段、ホールで電化製品を使用する機会はあまり多くありません。用途を掃除機に限るなら、床から30~40cm程度の高さで問題ないでしょう。
足元灯を設ける場合は、床から25cmの位置にコンセントを配置し、センサー付きライトを取り付けるケースも見られます。
玄関のコンセントの高さ
【玄関のコンセントの高さの目安】
- ・通常:床から25~40cm
・玄関収納の上:棚上10~15cm
玄関収納の上部にコンセントを設置する場合は、棚上10~15cmの位置に設けると使いやすいでしょう。季節の飾り付けやインテリア照明を置く際に利用でき、玄関を彩ることができます。
ここではコンセントの高さに焦点をあてて説明しましたが、以下の記事ではコンセントの位置や数についても説明しています。
【新築を建てる人必見!】空間別・おすすめコンセント位置8選
コンセントの位置(高さ)によるメリット・デメリット

コンセントの配置を決める際は、将来のライフスタイルの変化や新しい家電の導入を見越し、必要な数より少し多めに設置しておくと安心です。
用途が未定のコンセントを設置する場合は、高さによるメリット・デメリットを理解したうえで、最適な位置を選びましょう。
コンセントを低い配置にするメリット・デメリット
【メリット】
- ・コンセントの存在が目立ちにくい
・プラグを挿したままでもコードが邪魔になりにくい
【デメリット】
- ・コンセントが家具で隠れる場合がある
・プラグを抜き挿しする際にかがむ必要がある
コンセントを低い位置に設置すると見た目がすっきりし、インテリアの邪魔にならない点がメリットです。
一方、ソファや本棚などを配置した際にコンセントが隠れてしまい、使い勝手が悪くなる場合があります。
コンセントを高い配置にするメリット・デメリット
【メリット】
- ・かがまずにプラグを抜き挿しできる
・家具を置いてもコンセントが隠れにくい
【デメリット】
- ・部屋の中でコンセントプレートが目立つ
・プラグを挿したままにするとコードが気になる
コンセントを高い位置に設置すると、家具を置いても隠れにくく比較的自由に模様替えができます。
一方で、腰の高さほどの位置にあると、コンセントプレートや挿し込んだプラグが目に留まりやすく、部屋が雑然とした印象になる点がデメリットです。
コンセントの高さで後悔しないための注意点
新築やリフォームをするなら、理想の住まいを実現したいものです。コンセントの高さで失敗しないよう、あらかじめ注意したいポイントを確認しておきましょう。
コンセントの用途に合わせて高さを決める

コンセントの高さは、使い道や目的に合わせて計画しましょう。使うシーンとコンセントの高さが合っていないと、コードが邪魔になったり、使いづらかったりします。
設計段階で具体的な家電リストを書き出し、図面に落とし込むことで、実際の生活に合ったコンセントの位置を計画しやすくなります。テレビや通信機器を置く場所では、ネットワーク環境も含めて検討することで配線をスッキリさせることが可能です。
テレビの配線計画については以下の記事で詳しく紹介しています。
壁掛けテレビの肝は「配線計画」!新築時におさえておきたいポイント
家具のレイアウトを考えておく
コンセントの高さを決めるときに見落としがちなのが、家具の配置です。ベッドフレームやソファと重なると、プラグの抜き挿しがしにくくなるため、間取り図に家具の配置や寸法を記入しながら計画を進めるのが賢明です。
将来的な家具の買い替えや模様替えの可能性も考慮し、柔軟に対応できる高さを設定しましょう。たとえば新築時には布団で寝ていても、数年後にはベッドに移行するケースが見られます。
高さを変更したら図面と現場をチェックする
コンセントの高さを途中で変更した場合、修正が反映されているかの確認をおろそかにできません。特に工事が始まってからの変更は、反映漏れが起こる可能性があります。
できる限り現場を訪れ、指定した位置にコンセントが設置されているかをチェックしましょう。意図した高さと異なる場合は、早めに担当者へ連絡し、修正の可否や工期への影響を確認することで、後のトラブルを防ぐことができます。
まとめ
コンセントの高さは、日々の暮らしの快適さを左右するポイントです。標準的な高さは床から25cmとされていますが、最適な位置はライフスタイルや設置場所によって異なります。
リビングやキッチン、寝室など、それぞれの空間でどのように使用するかを考えながら決めましょう。家具の買い替えやレイアウト変更にも対応できるよう、長期的な視点で計画するのがおすすめです。
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宅地建物取引士 / 2級カラーコーディネーター
悠木まちゃ
国立校の建築学科で学び、ハウスメーカー勤務を経て、独立。前職では設計士として、戸建て住宅の間取りプランニングから、照明・設備のコーディネートまで幅広く担当。