失敗しないマイホーム

公開日2025.09.09

冷蔵庫の位置で失敗しない!新築・リフォーム前に知っておくべきポイント

新築やリフォームでキッチンをつくる際、「冷蔵庫の位置をどうするか」で悩む方は意外と多いものです。冷蔵庫の配置を間違えると、「動線が悪く料理がしにくい」「扉が開けづらい」「見た目がごちゃつく」など不便につながります。冷蔵庫は大きく存在感のある家電だからこそ、計画段階での配置が重要です。

本記事では、冷蔵庫の配置で失敗しやすい例や、動線を意識したレイアウトのコツをわかりやすく解説します。快適で後悔しないキッチンづくりの参考にしてください。

インテリアコーディネーター / 整理収納アドバイザー1級

平井 千恵美

冷蔵庫の位置でよくある5つの失敗例

冷蔵庫の配置は日々の使い勝手を大きく左右します。しかし、「もっと考えておけばよかった」と後悔するケースも少なくありません。ここでは、冷蔵庫の位置決めでよくある失敗パターンを5つ紹介します。

1.扉を全開にできない

冷蔵庫の位置でよくある失敗のひとつが「扉を全開にできない」ケースです。設置場所のすぐ横に壁や家具があると、扉が途中でぶつかってしまい、十分に開かなくなることがあります。冷蔵庫は部屋の隅に置くときれいに収まりますが、扉が90度以上開かないと快適に使えないことに注意しましょう。冷蔵庫の扉は厚みがあり、全開にできない状態では快適に使用できません。

また、冷凍庫や野菜室が引き出しタイプだと、引き出した状態の寸法も考慮する必要があります。冷蔵庫は毎日使うものです。このような小さな不便が生活の快適性を損なう可能性があると理解しておきましょう。

2.冷蔵庫までの動線が長い

冷蔵庫をキッチンの一番奥に配置すると、買い物帰りに重い袋を持って奥まで運ばなければいけません。さらに家族がリビングやダイニングから飲み物を取りに行く際も、キッチンの奥まで入り込む必要があり、調理中の人と動線が重なってぶつかりやすくなる問題も発生します。

こうした冷蔵庫の配置は、家族の小さなストレスになると考えられます。冷蔵庫の位置は「買い物動線」と「家族の生活動線」の両方を意識して決めることが大切です。

3.コンロと向かい合わせで使いづらい

冷蔵庫をコンロの真後ろに配置すると、調理中に振り返って食材を取る動作が頻繁に発生します。特に狭いキッチンでは、コンロで料理している人と冷蔵庫を開けようとする人の動線が重なり、ぶつかってしまう危険性が高まります。

冷蔵庫は、キッチンボードやカップボードに比べて奥行きがある電化製品です。コンロの真後ろに置くと、キッチンの通路や調理スペースが奥行きの分だけ狭くなることを心得ておきましょう。

4.リビングから丸見えで生活感が出てしまう

オープンキッチンやアイランドキッチンは、リビングとの仕切りが曖昧です。そのため、冷蔵庫はリビングから見えるものだと考えましょう。いかにも「白物家電」の冷蔵庫では、せっかくコーディネートしたインテリアの統一感を損なう可能性があります。

また、冷蔵庫の扉を開けた際に中身が来客から見えてしまうことを気にする方も少なくありません。キッチンをおしゃれに演出したい場合や生活感を抑えたい方にとって「冷蔵庫の見え方」は意外と大きなポイントです。配置を工夫したり、パーテーションや造作家具で目隠しすることで、空間全体の印象をすっきり保てます。

5.直射日光が当たる場所に置いている

冷蔵庫を勝手口や窓の近くに設置すると、直射日光が当たりやすく、冷蔵庫本体の表面温度が上昇します。その結果、庫内の温度を保つため冷却機能がフル稼働し、電気代が高くなってしまうことがあります。特に西日の当たるキッチンでは注意が必要です。

冷蔵庫の設置場所を選ぶ際には、直射日光の当たらない位置を意識しましょう。どうしても日が当たる場合は、遮光カーテンやブラインドで日差しを遮る工夫が有効です。

冷蔵庫の位置で失敗しない、チェックポイント

冷蔵庫の設置場所は、一度決めると簡単に動かせません。ここでは、冷凍庫の位置を決める前にチェックしておきたいポイントをご紹介します。

扉の開閉方向と開閉に必要なスペースを測定する

冷蔵庫を設置する際は、まず扉の開閉方向と必要なスペースをしっかり測定しましょう。片開き、両開き、観音開きなどタイプによって開く範囲が異なるため、壁や家具に干渉しないか事前に確認しましょう。特に前面には扉を全開にしても人が通れるよう、最低でも70cm以上の通路幅を確保するのが理想です。

また、引き出し式の野菜室や冷凍室も十分に引き出せるかどうかを考慮することが重要です。全ての扉や引き出しがスムーズに開閉できることで毎日の食材の出し入れが快適になり、ストレスのないキッチンが実現します。

ワークトライアングルを意識して動線を計画する

ワークトライアングルとは、キッチン内の冷蔵庫、シンク、コンロを結ぶ三角形のラインのことです。各辺の距離が近すぎると窮屈になり、遠すぎると移動が負担になります。

具体的には、以下の距離が適切とされています。

シンクとコンロの距離

120180cm

コンロと冷蔵庫の距離

120270cm

冷蔵庫とシンクの距離

120210cm

この距離を参考に、冷蔵庫から食材を取り出し、シンクで洗い、コンロで調理する一連の流れをイメージしながら配置を検討することが大切です。ワークトライアングルを意識すると無駄な動きが減り、効率的で快適なキッチン環境を作れます。

動線計画については、以下の記事も参考にしてください。

家を建てた人に聞いた「動線」の失敗・後悔ベスト5

コンセントの位置と高さを確認する

冷蔵庫は、設置の際にコンセントの位置と高さを確認することが重要です。一般的に冷蔵庫用のコンセントは、床から170〜180cmの高さに設置されることが多いですが、冷蔵庫の機種によっては合致しない可能性もあるため、購入前に確認しておきましょう。コンセントの高さの目安は、以下の記事を参考にしてください。

一般的なコンセントの高さは25cm!用途別・部屋別の高さの目安も解説

消費電力が大きい冷蔵庫は、延長コードを使用すると過熱や感電のリスクがあります。必ず専用コンセントを使用しましょう。また、アース線の接続が必要な機種では、コンセントの仕様や安全規格も確認しておく必要があります。

搬入経路と設置スペースを確保する

冷蔵庫を設置する際は、搬入経路と設置スペースの確認が重要です。玄関や廊下、キッチンの入口など、通過する場所の幅と高さを測り、冷蔵庫本体のサイズに10cm程度の余裕を加えて通れるかをチェックしましょう。

また、設置場所では背面と側面に放熱スペースを確保することが不可欠です。背面は5〜10cm、側面は0.5〜2cm程度の隙間を設けると冷却効率が上がります。

将来の買い替えを見据えてサイズを検討する

冷蔵庫の設置場所を決める際は、将来の買い替えも見据えてサイズを検討することが重要です。家族構成やライフスタイルの変化に対応できるよう、現在の冷蔵庫サイズだけでなく、将来的に大型冷蔵庫を置くことを想定して余裕を設けましょう。
特に新築の場合は、10年、20年先を見据えておくと安心です。目安は、現在の冷蔵庫より10〜15cmの余裕を持たせることです。スペースにゆとりがあると、冷蔵庫の買い替えに選択肢が広がり、無理なく冷蔵庫を設置できます。

冷蔵庫を目立たせない、3つの工夫

大きく存在感のある冷蔵庫ですが、ちょっとした工夫で存在感を抑え、インテリアと調和させることが可能です。ここでは、おしゃれな空間を保つための3つのアイデアをご紹介します。

1.パントリー内に配置して完全に隠す

冷蔵庫を目立たせず、キッチンをすっきり見せたい場合、冷蔵庫をパントリー内に配置する方法があります。パントリーの扉を閉めればリビングやダイニングから冷蔵庫がまったく見えず、生活感のない空間を実現できます。

ポイント

冷蔵庫は熱をもつ家電のため、パントリー内に置く場合には換気や温度管理には注意が必要です。パントリー内に通気口を設ける、冷蔵庫の周りに十分なスペースを確保するなどの工夫することで、効率よく冷却できます。

2.造作家具で統一感のあるデザインに

キッチン全体の統一感を出す方法として、冷蔵庫の周りを造作家具で仕上げる方法があります。冷蔵庫のサイズに合わせて造作家具を設計すれば、冷蔵庫がぴったり収まり、一体感のあるキッチンが実現するでしょう。

ポイント

冷蔵庫の扉にキッチンパネルや木製面材を施した「パネルレディ型」の冷蔵庫なら、造作家具と同じ扉を取り付けることも可能です。設計段階で造作家具メーカーと相談し、冷蔵庫を含めたキッチン全体のデザイン計画を立てておくと、リビングやダイニングから見ても美しいキッチン空間を作れるでしょう。

造作家具の実例と費用ついては、以下の記事で詳しく紹介しています。

おしゃれで使いやすい『造作キッチン』の魅力|実例と費用も紹介

3.カラーコーディネートで冷蔵庫の存在感を抑える

冷蔵庫と周囲のインテリアとカラーコーディネートすると、空間に統一感を出せます。冷蔵庫本体の色をキッチンや収納家具と合わせると視覚的に馴染み、空間がすっきり見えるでしょう。

ポイント

最近では、マットな質感やウッド調のデザインなど、インテリアに自然に溶け込む冷蔵庫も多く登場しています。また、壁の色と同系色の冷蔵庫を選べば背景に溶け込み、リビングやダイニングから目に付きません。生活感を抑えた統一感のある空間になるでしょう。

キッチンタイプ別の最適な配置パターン

キッチンのタイプによって、冷蔵庫の最適な配置は変わります。最後に、I型・L型・対面型など代表的なキッチンごとに、使いやすさや動線を考慮した冷蔵庫の配置パターンを紹介します。

対面キッチン

対面キッチンでは、冷蔵庫をキッチン入口付近に配置するのが一般的です。この配置では、リビングやダイニングからもアクセスしやすく、家族全員が使いやすい動線が確保できます。ただし、入口付近に置く場合は通路幅を確保できるか確認しましょう。

ポイント

冷蔵庫の扉を全開にしても人がスムーズに通れるスペースを残すことで、人とぶつかる心配がなく、安全で快適なキッチン環境を作れます。目安としては、冷蔵庫とキッチンのコーナー間の距離が70cm以上あると安心です。

壁付けキッチン

壁付けキッチンでは、冷蔵庫をキッチンの端に配置することになります。キッチンに対して冷蔵庫を90度の壁面に置くと、L字型の効率的な動線を作れます。冷蔵庫の扉がダイニング側に開くように設置すれば、調理中でも家族が飲み物を取りやすく、日常の使い勝手も向上するでしょう。

ポイント

壁付けキッチンは、比較的コンパクトな空間になりやすいため、作業中の動線が重ならないように注意しましょう。

L型キッチン

L型の壁付けキッチンでは、冷蔵庫をL字の端に配置することが多くあります。最適な位置は作業台やシンクとの距離、キッチン入口の位置によってさまざまですが、理想はメインの作業スペースから近く、食材を取り出してから調理に移るまでの動線が短くなる場所です。

ポイント

キッチン入口に近い側に冷蔵庫を置くと、買い物後の食材収納や家族の利用がスムーズになり、日常の使い勝手が向上します。キッチンの形状だけでなく、リビングやダイニングとの動線も考慮するとより快適な動線になるでしょう。

まとめ

冷蔵庫の位置は、一度設置すると変更しにくいポイントです。そのため、新築やリフォームの際には、日常の家事動線や家族の使い方を具体的にシミュレーションしましょう。

キッチンの入口、コンロやシンクとの距離、扉の開閉スペースを考慮すると、快適で安全なキッチンを実現できます。冷蔵庫の位置は些細なことのように思えますが、小さな動作の積み重ねが、使いやすい理想のキッチンにつながるでしょう。

アドバイザー

インテリアコーディネーター / 整理収納アドバイザー1級

平井 千恵美

さまざまな市町村のまちづくりに携わりながら、人と住空間のつながりを見出す活動を行う。前職では注文住宅の構造設計を担当。自宅のリフォームやDIYの経験も多数。

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