おしゃれな家づくり

公開日2025.09.17

無垢フローリング『樹種』の選び方|特徴と実例を紹介

無垢フローリングと一口に言っても、樹種によってやわらかい木や堅い木などその特性に違いがあり、見た目や価格もさまざま。無垢材にはどんな樹種があるのか、実際のフローリングデザインとともに紹介します。
また、専門家に樹種の選び方やオーダーする際の注意点も教えていただいたので、これから家を建てる方や自然素材に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

無垢フローリングの種類

無垢フローリングとは?

「無垢フローリング」とは天然の木をそのまま切り出し、床材として使ったフローリングのことです。合板の上に木のシートを張り付けた「複合フローリング」とは異なり、100%天然の木なので接着剤などは使っておらず、小さなお子さまが触れたりなめたりしても安心な自然素材です。

▲ 無垢フローリングは見た目のやさしさだけでなく香りでも癒されます(大喜工務店 施工例)

複合フローリングについては、以下の記事を参考にしてください。

フローリングは無垢?それとも複合?床材の違いと後悔しない選び方

フローリングで使われる無垢材は、「広葉樹」と「針葉樹」に分かれる

無垢材は、「広葉樹」と「針葉樹」のふたつに分けられます。広葉樹は堅くてキズが付きにくいのが特徴で、樹種には「ウォールナット」「カバ」「ナラ」などがあります。
針葉樹はやわらかく温かな触り心地が特徴で、樹種には「ヒノキ」「スギ」などがあります。

広葉樹

<特徴>
堅い・キズが付きにくい・冷たい・熱伝導率が高い

<代表的な樹種>
・ウォールナット
・ナラ
・カバ
・メープル
・チェリー

針葉樹

<特徴>
やわらかい・キズがつきやすい・温かい・熱伝導率が低い

<代表的な樹種>
・ヒノキ
・パイン
・スギ
・キリ



樹種の特徴とフローリング実例

ここから広葉樹・針葉樹別にそれぞれの樹種の特徴をフローリングの実例とともに詳しくご紹介します。

広葉樹(堅めの樹種)

三大銘木のひとつで気品あふれる「ウォールナット」

▲ ブラックウォールナットの無垢フローリング施工例(大喜工務店)

<ウォールナットの特徴>

  • ウォールナットは三大銘木(ウォールナット・チーク・マホガニー)のひとつで、高級ホテルなどでも用いられる最高級銘木。深い色合いの濃淡があり、シックで落ち着いた、気品あふれる空間に仕上がりになります。

キズに強く耐水性も高い「ナラ」

▲ ナラの無垢フローリング施工例(大喜工務店)

<ナラの特徴>

  • ナラはとても堅くキズが付きにくいことで人気の床材。色は濃い目ではっきりとした木目が特徴的です。また、水にも強く、キッチンまわりにも用いられることが多くあります。

堅い木の中でも温かみがある触り心地「カバ」

▲ カバの無垢フローリング施工例(大喜工務店)

<カバの特徴>

  • カバはウォールナットやナラよりも淡い色合いが特徴です。堅さもありますが、触り心地には温かみがあります。シンプルな木目なので、どんなインテリアとも相性が良いいでしょう。

淡い色合いで堅くキズが付きにくい「メープル」

▲ メープルの無垢フローリング施工例(大喜工務店)

<メープルの特徴>

  • 白っぽく淡い色合いが特徴的なメープル。自然光が反射するので空間全体が明るくなります。また、数ある樹種の中でも堅い木なので、キズが付きにくいというメリットもあります。
針葉樹(やわらかい樹種)

香り高く滑らかな「ヒノキ」

▲ 東濃産節無しヒノキの無垢フローリング施工例(大喜工務店)

<ヒノキの特徴>

  • ヒノキといえば言わずとしれた香りが高く、耐久性も高い木。日本では古くから柱や床材などに使われてきた木で、防虫効果も高く神社仏閣などでも使用されています。針葉樹の中では堅い木で、なめらかな手触りと上品な色合いも特徴です。

ナチュラルなテイストの「パイン」

▲ ボルドーパインの無垢フローリング施工例(大喜工務店)

<パインの特徴>

  • やわらかな触り心地と木目のナチュラル感が特徴のパイン。こちらも針葉樹の中では堅い方です。無垢フローリングの中でもコスパが高いのも魅力的です。

やわらかく足腰にやさしい「スギ」

▲ スギの無垢フローリング施工例(大喜工務店)

<スギの特徴>

  • スギはとてもやわらかく、足腰に負担がかからない木です。さらっとした触り心地はとても気持ちよく、ほんのり温かみも感じる優しさが特徴です。しかし、やわらかいのでキズが付きやすいという難点もあります。

専門家に聞く、フローリングの樹種の選び方

株式会社大喜工務店
一級建築士 藤田英喜さん

たくさんの樹種がある中、無垢フローリングにどれを選んだらいいのか悩んでしまう方も多いと思います。そこで、専門家に無垢フローリングの選び方や注意点についてインタビューしました。

──無垢フローリングの人気の樹種を教えてください

藤田さん「5年ほど前はカバが人気でした。しかし、今は好みが多様化していて、特にこの樹種が人気というのはありません。キズが付きにくいという点から堅い木が好まれていますね。特にリビングは椅子やテーブルなどを動かすとキズが付きやすいという点で堅い木のナラやカバ、メープルを選ぶ方が多く、寝室や子ども部屋は触り心地を重視してスギやパインを選ぶという方も多くいらっしゃいます。」

──堅いかやわらかいかが選ぶ基準になりますか?

藤田さん「いえ、それだけではありません。無垢フローリングを選ぶ際は、体感や触り心地、インテリアとの相性など様々な観点から見て決めることをおすすめしています。堅い木の中でもウォールナットやナラは濃い色なので、落ち着いた雰囲気ですが部屋全体が暗い印象になります。カバやメープルは白っぽい色なので、自然光が反射して部屋全体が明るい印象になります。インテリアとの相性もありますし、好きなデザインテイストで好みが別れます。触り心地も樹種によって異なります。
大喜工務店では木のサンプルの上を裸足で歩いてもらって感覚を確かめてもらいます。それに、価格も重要なポイントになりますね。」

──樹種の価格ランキングを教えてください

藤田さん「あくまで一般的にですが、一番高いのがウォールナット。次いでナラ、ヒノキ、メープル、カバ、チェリー、パイン、スギというような順番ですね。ただし、木の産地や節あり、節無しで価格は大きく変わります。

節無しの方が高く、節ありの方が安価です。外国産の木は節ありが基本です。靴で歩く前提なので、節があり多少でこぼこしていても気にならないという理由です。国産の木の場合は裸足で歩く前提なので、表面の仕上げが重要になります。その美しさによってランクがあり、価格もランクによって異なります。」

▲ 節あり(フランス産のボルドーパイン材)

▲ 節なし(国産のヒノキ材)

──無垢フローリングのコストを抑える方法はありますか?

藤田さん「やはり、価格が安い木を選ぶことですね。それ以外は…ありません。ですが無垢フローリングは長い目で見るとコストパフォーマンスが高い素材です。複合フローリングだと15年くらいで張り替えなければいけなくなりますが、無垢フローリングは一生モノ。子どもが小さいとキズが付くことを気にされる方も多いですが、無垢フローリングは表面を削ればまた新品に戻ります。表面を削る専門業者もいます。ですから子どもが巣立った後に無垢フローリングの表面を削り、新築時と同様の美しさを長く堪能される方もたくさんいらっしゃいますよ。」

──無垢フローリングを選ぶ際の注意点などありますか?

藤田さん「あります。複合フローリングなら40坪の床を貼るのに40坪分を用意すればいいのですが、無垢フローリングは40坪の床を貼るなら45坪分は用意しなければいけません。これは無垢フローリングの価格が高くなる要因のひとつですが、無垢は使えない部分もあるのでどうしても多めに用意せざるをえません。ささくれなど表面に問題がある場合、それを使うと暮らす人のケガにつながるからです。経験値の高い大工さんなら木を見て使えない部分を判断し、省いて使うことが可能です。しかし、慣れていない大工さんや判断ができない建築会社はコストを抑えたいために危険な部分も使ってしまいます。また、無垢フローリングをあまり扱っていない建築会社に無垢フローリングをオーダーすると、仕入れ値が高くつく場合があります。無垢フローリングを使いたいなら、経験豊富な建築会社と大工にオーダーした方が仕上がりも美しく、結果的にコストも抑えることができます

──ありがとうございました。

体に優しい自然素材のはずが、一歩まちがえると怪我をしてしまう恐れもあるとは驚きですね。また、普段から無垢材を取り扱っている建築会社の方がコストを抑えて仕入れるノウハウがあるとのこと。無垢フローリングの施工に関しては建築会社や大工さんを吟味しましょう。

まとめ

無垢フローリングは自然素材で体に優しく、見た目の美しさや香りにも癒されるというメリットの反面、メンテナンスが大変だとかすぐにキズが付いてしまうなど、デメリットもあります。ですが、キズが気になる方は堅い樹種を選べば問題なさそうですね。
また、藤田さんに教えてもらったのですが、無垢フローリングのキズを直す際は固く絞った濡れタオルの上からアイロンをかけると、木が膨らんでキズがわからなくなるそうです!

無垢フローリングは一生モノ。暮らし方や好みのデザインに合わせてじっくり樹種を選んでみましょう。

取材協力

株式会社 大喜工務店

国産の良質なヒノキを自社の倉庫で10年以上も自然乾燥させた無垢材を大黒柱に使用して、天然木や漆喰など自然素材を多用し、外断熱で断熱性を高め、耐震性も高い家をできる限りコストを抑えて建築。契約金や着手金は必要なく、常に後払い制で、施主自身が計算できる見積りシステムなど建築費に対しても独特で透明性が高く、既成概念にとらわれない工務店。2015年には全国5万9000社から住宅あんしん保証が選ぶ優良事業者全国1位を受賞。

▲ 床材にウォールナットの無垢材を使用したLDK
大喜工務店 施工例

▲ 樹齢100年超のヒノキが支える天井高7mのLDK
大喜工務店 施工例

筆者

住宅ライター / プロインタビュアー
大内 夏実

株式会社リクルートで情報誌のイロハを学び、独立。不動産・住宅系ライターとして経験を積む。大手ハウスメーカーから小さな街の工務店までさまざまな建築会社の注文住宅施工例やモデルハウスなどを取材し、また実際に購入した方、家を建てた方のインタビューも多数実施。年間100軒ほどの取材に基づいた知識と経験から多くの建築会社の広告戦略なども手掛けている。

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