公開日2025.11.05
「脱衣室」は分けるべき?今、トレンドの間取りを深堀り!
多くの方が「脱衣室」と聞いて思い浮かべるのは、洗面室と脱衣室を兼ねた「洗面脱衣室」ではないでしょうか?最近の間取りのトレンドはその洗面脱衣室ではなく、洗面室と脱衣室を分離した間取り、つまり、独立した「脱衣室」なのです。
「なぜ洗面脱衣室ではダメなの?」という疑問にお答えすべく、本当に独立した「脱衣室」が必要なのかを深堀りしてみましょう。
人気の間取りは「洗面脱衣室」から独立した「脱衣室」へ
平成の時代は、洗面室と脱衣室を兼ねた「洗面脱衣室」が主流でした。今でも新築の建売住宅やマンションの間取りは、ほぼ「洗面脱衣室」です。なぜかというと、「洗面脱衣室」の方が洗面台と洗濯機置き場と収納スペースがコンパクトにまとめられ、低コストだからです。
しかし最近では、注文住宅やリノベーションなどオーダーメイドで家を建てる場合、多くの方が洗面室と脱衣室を分離する「洗面室+脱衣室」を好むようになりました。独立した「脱衣室」には多くのメリットがあるからです。
独立した「脱衣室」があるメリット
一番に挙げられるメリットとしては、家族がお風呂に入っている時に、洗面台が使えるということ。例えば娘さんがお風呂に入っている時、お父さんは歯磨きのために洗面台を使いたくても遠慮することが多いですよね。そんな時、洗面室と脱衣室が個別になっていると気兼ねなく使うことができます。毎日の生活の中でのプチストレスが解消できます。
▲ (事例)引き戸の向こうが脱衣室とお風呂。戸を閉めれば気兼ねなく洗面台が使える
もうひとつの大きなメリットとしては、洗面室と脱衣室が分離していることで、洗面台をオープンにできるという点です。コロナ禍以降、帰宅したらすぐに手洗い・うがいをしたい、来客にも手洗いをしてほしいため、洗面台をすぐ使えるようにオープンにする傾向があります。ところが、「洗面脱衣室」はとっても生活感が出やすい場所。おしゃれな洗面台を導入したところで、洗濯機や洗剤、洗濯前の衣類やタオルなどがあると日常でオープンにしておくのも、お客様を通すのも躊躇してしまいますよね。そんな時、洗面台と脱衣室を分けておくことで洗濯機や洗剤、洗濯前の衣類などは脱衣室に置き、扉を閉めて見えないようにできるので生活感が軽減できます。
▲ (事例)写真のように玄関から入ってすぐにオープンな洗面室があり、続きに独立した脱衣室があると生活がスムーズ
また、脱衣室を「洗濯室」と兼ねる場合もあります。花粉や空気環境の影響などで部屋干しを希望する方も多くなり、脱衣室兼ランドリールームとして部屋干しをする場所にしている方も増えています。これも大きなメリットのひとつです。ランドリールームの事例は、以下の記事で紹介しています。
ウチにも取り入れたい!人気の間取りVOL.1「ランドリールーム」
メリットまとめ
- ・家族に気兼ねなく洗面台が使える
- ・プライバシーの確保
- ・生活感をなくせる
- ・お客様にも洗面台を使ってもらいやすい
- ・部屋干しの場所(ランドリールーム)としても活用できる
洗面室と脱衣室を分ける間取りのメリットは、以下の記事でも詳しく説明しています。
ストレスが解消!洗面所と脱衣所を分ける間取りの大きなメリット
独立した「脱衣室」のデメリット
もちろん脱衣室を分けることにはデメリットもあります。それは、脱衣室に閉塞感が出てしまうという点です。脱衣室に洗濯機を置き、服を脱ぐ・着るの動作をしようとすると、最低でも1.5畳は必要です。ですが、1.5畳では窮屈感を感じる人も多いでしょう。ひとりの入浴ならまだしも、子どもと一緒にお風呂に入る、入浴に介護が必要などとなると、おそらくより狭く感じるでしょう。
また、扉を付ける、収納棚を設置するなどの建築費用も上乗せされます。予算を考えて脱衣室を分けることを断念する方も少なくありません。
デメリットまとめ
- ・狭い!窮屈感・閉塞感がある
- ・子どもとの入浴には不便
- ・介護にも不便
- ・コストアップ
「脱衣室」は分けるべき?間取りのお悩みを解決
実際に家を建てる際に独立した脱衣室を取り入れたという方の多くは、娘さんがいるご家族でした。やはり、気兼ねなく洗面室を使いたいお父さん、プライバシーを気にする娘さんの意見が強いという事でしょう。また、オープンな洗面スペースに造作やタイルなどの素材にこだわったおしゃれな洗面台をつくる方が多くなったことも脱衣室を分離するようになったことの一因だと思います。
脱衣室にゆとりを持たせるだけの面積があり、プライバシーを確保したい、洗面台をオープンにして使いたいなら、独立した「脱衣室」がおすすめです。ですが、その分他のスペースを狭くしなければいけない場合、もしくは脱衣室も洗面室も充分な面積が取れず中途半端になってしまう場合は、洗面室と脱衣室を兼ねた「洗面脱衣室」にして広いスペースにする方がよいかもしれません。
脱衣スペースでお悩みの方に、おすすめの間取り
独立した脱衣室をつくるのか、洗面脱衣室にするかお悩みの方に、筆者が取材を重ねた経験から「これは便利だ!」と思ったおすすめの間取りを紹介します。それは、広めの洗面脱衣室をつくり、ロールスクリーンで仕切れるようにする方法です。
洗面脱衣室にロールスクリーンを採用していたご家庭には、以下のような理由がありました。
- 独立した脱衣室は欲しいけれど、扉で仕切ってしまうと脱衣室に湿気がこもってしまう。通気性を考えて、あえて上部は空いた状態にしてロールスクリーンで仕切ることができるようにしました。
- 間取りを考える上でどうしても脱衣室を確保する面積がなかったので。
- 親と同居しているため、ゆくゆくは介護が必要になるので広い洗面脱衣室が欲しいけど、年ごろの子どもの事を考えるとプライバシーを確保したいので、ロールスクリーンで仕切れるようにしました。
独立した脱衣室は、省スペースのため引き戸にする方がほとんどですが、ロールスクリーンなら引き戸よりも省スペースになり、コストもそれほど必要ありません。目隠しをしたい時、脱衣するスペースを広く使いたい時など日常のシーンに合わせて気軽に使えるのでおすすめです。
「脱衣室」は分けるべき?まとめ
子どもが小さい時は広い洗面脱衣室の方が何かとスムーズかもしれません。しかし、人生は子どもが成長してからの暮らしの方が長くなるので、その時に快適かどうかを考えることが、暮らしやすい家を建てるコツだと思います。
せっかく家を建てるなら、生活動線を考えて、未来も快適な暮らしができるようじっくり間取りを考えましょう。洗面脱衣室がよいのか、独立した脱衣室がよいのか、家族みんなで相談してみてください。
新築入居後「しまった…!」にならないために
はじめての家づくりはわからないことだらけ。その中でもわからないままつい後回しにして入居後「しまった…!」になりがちなのが、すぐにネットが使えない、テレビが見られないなどの通信環境の計画漏れです。このような事態を避けるためには「建築前からの計画」が大切です。
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筆者
住宅ライター / プロインタビュアー
大内 夏実
株式会社リクルートで情報誌のイロハを学び、独立。不動産・住宅系ライターとして経験を積む。大手ハウスメーカーから小さな街の工務店までさまざまな建築会社の注文住宅施工例やモデルハウスなどを取材し、また実際に購入した方、家を建てた方のインタビューも多数実施。年間100軒ほどの取材に基づいた知識と経験から多くの建築会社の広告戦略なども手掛けている。



