公開日2021.02.19
【プロが解説】DIYで木材に使う塗料の違いは?代表的な5つを比較!
DIYの基本でもある塗装ですが、用途や種類の多さにどの塗料を選んだらいいのかわからない方も多いでしょう。種類はたくさんありますが、今回はよく使用される塗料とその塗装方法について詳しく紹介します。
【プロが解説】DIYで使う塗料の違いは?代表的な5種類を比較!
塗装の目的
木は天然の生物で自然素材の良さがある反面、欠点もあります。水や熱に弱いため、腐ったり、反ったり様々な変化が起こりやすいなど、これらの欠点を補うのが塗料であり、木材を長く使用に耐え得るように保護します。また、木材が本来備えている美しさをより強調し、木材製品の付加価値をあげることも木材塗装における大きな目的です。
塗料の選び方
まず塗装する前に、塗装を施すものの用途を明確にしましょう。
1.使用場所はどこか
屋外や屋内、水のかかりやすい場所など
2.何に使うのか
収納棚やテーブルの天板など
3.材料は何か
材質によって塗料が異なリ、木材に適した塗料もあれば金属やプラスチックに適した塗料もある
4.どう見せたいか
木目をそのまま活かしたい、木目を消して色(白やグレーなど)を出したいなど
木工用塗料の種類
1.オイルフィニッシュ(浸透型塗料)
自然の植物油を使った無公害塗料です。塗装物の表面には塗膜を作らず、木部の内部に浸透して木材の内部で硬化します。塗り重ねによって塗膜の形成も可能ですが、基本的には塗膜を作りませんので、木材の持つ独特の質感を保つことができます。クリアーからさまざまなカラーに着色することが出来るものまでいろいろあります。また、ニス等のようなツヤはありませんが、塗り重ねることによって、味わいのあるツヤを出すことも可能です。保護効果は弱いが「内部塗膜あり、木目を生かした仕上げ」になります。
2.オイルステイン・水性ステイン(浸透型塗料)
1.2.の特徴
木材表面に塗膜を作らず、木材の内側に浸透するので、表面の見た目や手触りは木材のまま残すことができる。
3.ペンキ 水性と油性(造膜型塗料)
ペンキは木材に各色の着色をするとともに木製品の表面に強力な塗膜を作り保護します。ペンキの塗膜はニスよりも強く、木製品の腐朽、乾燥、日焼け、ひび割れ等から防ぎます。特に屋外で使用するものの塗装に最適です。また様々な色で楽しむことができます。
4.ニス・ウレタン 水性と油性(造膜型塗料)
表面に塗膜をつくり、透明で光沢のある仕上がりになります。水性と油性がありますが、水性ニスは水で薄められ取り扱いも簡単ですのでオススメです。特にキズなどが付きやすいところには塗膜の強度が強い油性ニスが良いでしょう。
5.ワックス 水性と油性(造膜型塗料)
ワックスが材料の表面にとどまることで保護をしてくれて、触り心地も木の質感が残ります。ステイン塗料と合わせて使うとこで一層深みのある色合いになり、磨くことで淡い光沢が出ます。ただし、塗膜が熱と水に弱いので注意が必要です。薄い塗膜あり、木目を生かした光沢仕上げになります。
3.4.5の特徴
木材表面に塗膜をコーティングすることで、木材の劣化を防ぎます。
油性・水性塗料について
油性塗料について
屋外なら油性をおすすめします。塗料の密着性が強いため金属系にも適しています。乾燥時間が短く、耐久性の高さがメリット。溶剤に油性、ラッカー系のうすめ液を使うので、有機溶剤の強い臭気があったり、保管時に注意が必要であったり、扱いの手間がかかるデメリットもあります。また、ツヤも出るため木材本来の素材を楽しむには最適です。
水性塗料について
屋内、木部なら水性をおすすめします。水性なのでにおいが少なく、保管・取り扱いがしやすい。油性に比べて価格が低めで、室内環境基準F☆☆☆☆(Fフォースター:ホルムアルデヒド等級の最上位規格を表す表示)を満たしたものが多いこともメリットです。あと、一番の長所は使用した道具類を水道水で洗うことができるので管理が楽です。
塗料の塗り比べ
- 1.オイルフィニッシュ
- 少し艶っぽくなり、手触りは木の質感が伝わり、木の本来の持ち味が活かされます。
- 2.オイルステイン
- 木目を消す事なく塗装できる着色剤で、乾燥時間も短く、刷毛の跡も気になりません。
- 3.ワックス
- 表面を蝋でコーティングしたような艶感とツルツルした手触りに仕上がります。
- 4.ニス
- 表面に樹脂の膜をつくるので、汚れやシミがつきにくく、重ね塗りすればするほど艶が出てきます。
- 5.ペンキ
- 木目を消して塗装できる着色剤で、数多くの配色があるのでカラーリングを楽しめ、好みの色に仕上げることができます。
塗料の塗り方を見る sumica YouTube動画
デザイン性のある塗り方
表と裏を塗り分ける、斜めラインでインパクトをつける、木口だけを塗る、など塗り分けの仕方やデザインで、お部屋の印象をガラッとカラフルに変えたり、お部屋の雰囲気に合わせたりもできます。自分だけのオリジナルな塗り方を楽しみましょう。
デザイン性のある塗り方を見る sumica YouTube動画
最後に
塗料には用途別で多数の種類があり、初めはどれにしたらいいのか迷う事でしょう。塗装を施すものの用途を明確にすることが第一歩となります。初心者の方には水性塗料がにおいが少なく、水で洗い流せます。カラーバリエーションが多く配色も楽しめるので、おすすめです。まずは小さいものからDIY塗装にチャレンジしてみるのもいいでしょう!
協力アドバイザー
建築、内装設計デザイン
TO DO 藤田 剛
2008年より設計デザイン事務所主宰
住宅や店舗のデザイン・設計業務を主に、素材や質感、ストーリーを大切にしたデザイン業務を行う。空き家問題にも取り組み、淡路島に移住し築100年の古民家を自ら改装しながら地域交流拠点としての活用を目指す。