DIY

2024.04.26

【スライドレール】ローラーとベアリングの違いと選び方のポイント

DIYの花形的存在、スライドレール。ホームセンターや通販などで購入でき、DIYの引き出し作りに幅広く活用されていますが、たくさん種類があってどれを選べば良いか、わかりづらいのが悩みどころ。今回は、スライドレールの選び方をテーマに代表的な種類とその特徴について説明いたします。

スライドレールの構造と種類

スライドレールの構造

スライドレールは、引き出し側に取り付けるインナーレールと、棚側に取り付けるアウターレールの2つの部品で構成されています。

インナーレールは、引き出しの側面に取り付けます。

アウターレールは、引き出しを取り付ける棚の内側に取り付けます。

棚側のアウターレールの内側に引き出し側のインナーレールを取り付ければ、引き出せるようになる、という構造です。

スライドレールは、基本的にビスのみで固定するため、構造を知ってポイントを押さえれば、DIY初心者の方も挑戦しやすいアイテムです。

スライドレールの種類

ホームセンターや通販でもさまざまな種類があるスライドレールですが、その中でもよく使用されるのが「ローラータイプ」と「ベアリングタイプ」の2種類です。2種類の構造と違いを詳しく見てみましょう。

ローラータイプ

ローラータイプのスライドレールは、インナーレールとアウターレールそれぞれの端部に樹脂性のローラーが付いています。

このローラーが回転することで、滑らかに開け閉めができるシンプルな構造です。既製品のタンスや机の引き出しによく使用されているため、馴染みがある方も多いと思います。

メリット

  • ローラーが回転することで、スムーズな開閉が可能
  • 構造がシンプルなため比較的安価に購入ができる
  • 引き出しが取り外せるので掃除やメンテナンスが簡単

デメリット

  • ベアリングタイプと比べると開閉時の安定感が劣る
  • ローラーで荷重を受けるため、重い物を入れすぎると破損する可能性がある
  • 引き出しを上に持ち上げて脱着するため、ローラーの大きさ分、引き出しの深さを浅く設計する必要がある
  • 引き出しの奥にレールの端のローラーがあるため、引き出しを全開にできず、 80〜90%程度しか引き出すことができない

▲ ローラータイプは全開にしたくてもこのローラーの大きさ分、引き出せない


ベアリングタイプ

ベアリングタイプのスライドレールも、ローラータイプと同様に、インナーレールとアウターレールの2つで1セットです。

こちらは、両方のレールの内側に等間隔に並んだ“ボールベアリング”と呼ばれるパーツがレール内を滑ることで、ローラータイプと比べて非常に滑らかで安定した動きをするのが特徴です。

メリット

  • ボールベアリングが開閉時の摩擦を軽減することで、滑らかな開閉が可能
  • ローラータイプよりも頑丈な作りのため、重い物を収納する場合や大型の引き出しに適している

デメリット

  • ローラータイプよりも価格が高い
  • レールの内側のロックを解除すれば引き出しを外せるが、ローラータイプと比べると引き出しを外しにくい。

※ベアリングタイプの中には、インナーレールとアウターレールがくっついているタイプもありますが、取り付けが少し難しいので、分解できるものを選びましょう。


ローラーとベアリングタイプの違い

ローラータイプは「価格」重視で、軽いものを入れる時におすすめです。どのタイプも耐荷重が同じであることが多く、また、樹脂製のローラーは消耗しやすいため、頻繁に出し入れするような場所で使用する場合には注意が必要です。
手頃な価格で手に入るので、はじめてDIYで引き出しを作るのでお試しで、という場合におすすめです。

ベアリングタイプは「質」重視で、重いものを入れたり頻繁に出し入れする場所に取り付ける時におすすめです。また、ベアリングタイプは重い物にも適応できるよう、さまざまなバリエーションが販売されています。ローラータイプと比べると価格が高くなりますが、滑らかな動作や静音性、高い耐久性といった機能面を比較すると、コストパフォーマンスは悪くないといえます。長く使い続けることを考えるなら、ベアリングタイプの方がおすすめです。

 

ローラー

ベアリング

価格


頻繁に出し入れする
引き出しには向かない


頻繁に出し入れする
引き出しに適している

耐荷重


耐荷重は同じ
重いモノは不向き


バリエションが豊富で
耐荷重により選べる


スライドレール購入時の選ぶポイント

ローラータイプのスライドレールとベアリングタイプのスライドレールの違いをご紹介しましたが、価格や構造の違いを知った上で、実際に購入する場合には何をポイントに選ぶと良いのでしょうか。そのポイントは4つあります。

1.レールの耐荷重で選ぶ

どんな生活シーンで使い、引き出しには何を収納するのかを事前に決めておきましょう。メーカーが表記している耐荷重を確認します。見慣れない単位の“kgf”(重量キログラム)は質量を表す単位で1kgf=1kgとして計算します。また、表記されている耐荷重は、2本1セットで耐えられる重さとなります。

例えば、こちらの写真はキッチン収納の引き出しは、一番下の段に大きい調味料を入れる予定だったため、総合計重量をある程度計算して、重さに耐えられるスライドレールを選びました。

2.レールの長さで選ぶ

引き出しを設置する場所の奥行きの長さに合わせて、適切なスライドレールの長さを選びましょう。
ここで注意が必要なのは、奥行きの長さと同じサイズのスライドレールを選ばず、ひとつ小さいサイズを選ぶことです。引き出しの前面に取り付ける前板の厚み分、寸法に余裕を持たせる必要があるからです。

例えば、引き出しの奥行きが400mmの場合、400mmぴったりのスライドレールを選んで引き出しを取り付けた時、引き出しの前板が棚より前に出してしまいます。 この場合は小さい350mmのスライドレールを選びます。写真のように、前面から前板の厚み分引いた場所にスライドレールを取り付けます。

3.オプション機能で選ぶ(ベアリングの場合)

ベアリングタイプには、さまざまなオプション機能を持つスライドレールがあります。今回は、その中でも特におすすめの2種類をご紹介。少し価格は高くなりますが、用途や使う場所の雰囲気に合わせて選ぶのがおすすめです。

● ソフトクローズ機能

引き出しやドアを閉める際に、ゆっくりと閉まるように設計されたスライドレールです。油圧式構造により、とても静かでスムーズに開閉できるのが特徴。 リビングルームやベッドルームの引き出し、書斎やオフィスの引き出しなど、静音性が求められる場所におすすめです。

● プッシュオープン機能

軽く押すだけで開閉できる機能を持ったスライドレールです。外部に取り付けられたノブやハンドルがないため、家具の外観をスッキリとさせることができます。 料理中に手がふさがってしまいがちなキッチン収納の引き出しや、シンプルでモダンなデザインにしたい書斎やリビングルームの収納におすすめです。

4.レールの開閉幅で選ぶ(ベアリングの場合)

ベアリングタイプのスライドレールには、開閉幅の異なる“2段引き”と“3段引き”の2種類のタイプがあります。

● 2段引きタイプ

引き出しを開けたときに、引き出しがスライドレールから2つの段階で外側に引き出され、引き出しの80〜90%程度まで引き出すことができます。

● 3段引きタイプ

引き出しやドアを開けたときに、引き出しやドアがスライドレールから3つの段階で引き出せて、引き出しの100%に近い範囲まで引き出すことができます。写真のように、奥までしっかり引き出せるので、収納したものが取り出しやすくなります。

3段引きの方が、2段引きと比べて少し価格は高くなりますが、より大きな引き出しや、収納スペース全体を有効活用したい場合に適しています。ただ、その分広い空間スペースが必要になりますので、事前に引き出しを使う導線をシミュレーションしておきましょう。

まとめ

スライドレールは、その構造と特徴を理解した上で取り付ける場所や何を収納するかなどの目的によって選ぶこと、また、オプション機能も考慮することでより満足できる収納にすることができます。

次回は、実際にベアリングタイプのスライドレールを使った、キッチン収納の引き出しの作り方をご紹介いたします。

協力アドバイザー

建築、内装設計デザイン
TO DO 藤田 剛

2008年より設計デザイン事務所主宰
住宅や店舗のデザイン・設計業務を主に、素材や質感、ストーリーを大切にしたデザイン業務を行う。空き家問題にも取り組み、淡路島に移住し築100年の古民家を自ら改装しながら地域交流拠点としての活用を目指す。

 

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