公開日2025.07.17
テレビ配置の正解は?ソファの配置パターンと快適なリビングにするコツ

「テレビがソファから見づらい」「リビングが狭く感じる」など、リビングでのテレビ配置で悩む方は多くいらっしゃいます。しかし、テレビ配置の基本的なルールやレイアウトの工夫などのポイントを押さえれば、誰でも快適でおしゃれなリビングを作ることができます。
本記事では、テレビ配置の基本ルールやレイアウトパターン、インテリアとのバランスの取り方を紹介します。今のリビングを変えたい方も、引越しを機にレイアウトを考え直したい方も、ぜひ参考にしてみてください。
テレビ配置の基本ルール
快適にテレビを楽しむためには、「テレビとソファの距離」と「画面の高さ」が重要です。これらの基本ルールを意識することで、目の疲れを防ぎ、快適に過ごせるリビング空間が実現します。まずは、テレビ配置の基本を押さえましょう。
テレビとソファの距離は、画面の高さの3倍

テレビとソファの理想的な距離は、画面の高さの約3倍が目安とされています。たとえば50インチのテレビは画面の高さが約62cmなので、理想的な視聴距離は約186cmです。この距離を保つことで画面全体を無理なく見渡せ、映像の粗さも気になりません。
4Kテレビのように高解像度の機種であれば、画面の高さの1.5倍程度まで近づいても画質の粗さは気になりませんが、あまり近すぎると空間に圧迫感を与えるためバランスを考えることが大切です。
家具を配置する際は、実際に座ってみて確認することをおすすめします。人それぞれ体格や視力、快適と感じる距離感は異なるため、実際に確認することで自分にとって最適なポジションを見つけられるでしょう。
テレビの高さは目線よりやや下に
テレビを見る際の首への負担を軽減するため、画面の中心は目線よりやや下(10〜15度下向き)に設置するのが理想的です。一般的なソファに座ったときの目線の高さは床から100〜110cm程度なので、テレビの中心は85〜95cmの高さに設定しましょう。
また、ダイニングからも視聴する場合は、両方から見やすい高さを探ることが大切です。テレビをやや高めに設置するか、角度を調整できる壁掛け金具を活用することをおすすめします。
テレビとソファの配置パターン
ここからは、ソファとテレビの配置パターンを5つご紹介します。リビングの広さや形状、家族のライフスタイルに合わせて、ご自宅に合うレイアウトを検討してみてください。
1.I字配置

<I字配置の特徴>
- ・全員が正面からテレビを視聴できる
- ・空間を広く見せやすく、狭いリビングにも適している
I字配置は、テレビとソファを平行に向かい合わせるレイアウトです。テレビを正面から視聴できるため、映画鑑賞やスポーツ観戦など、映像をじっくり楽しみたいときに最適なスタイルといえるでしょう。ソファに座る人全員が、同じ方向からテレビを見られるのも魅力です。
さらに、I字配置はスペースにあまり余裕がなくても採用しやすいことがメリットです。シンプルで使い勝手のよいI字配置は、さまざまなテイストのリビングに対応しやすく、失敗の少ない配置といえます。
2.L字配置

<L字配置の特徴>
- ・部屋の角や壁際を活用でき、空間を効率的に使える
- ・部屋をすっきり広く見せる効果がある
L字配置は、ソファをL型に配置するレイアウトです。空間を効率的に使いながら、くつろぎやすいスペースを確保できるのが特徴です。
ソファを広く使えるため、大人数での団らんや来客時にもゆったりと過ごせます。L字に配置することで自然と顔を合わせやすく、家族や友人とのコミュニケーションもとりやすいでしょう。さらに、ソファの片側が空いているため、リビングに開放感が生まれるのも大きな魅力です。
3.斜め配置

<斜め配置の特徴>
- ・デッドスペースを活用でき、省スペース効果がある
- ・ダイニングやキッチンなど他の空間からも視聴しやすい
斜め配置は、部屋の角にテレビを斜めに設置するレイアウトです。スペースを効率的に活用できるため、狭めのリビングにもおすすめの配置といえるでしょう。テレビを部屋の角に置くことで、広い角度からテレビが見やすいこともメリットです。部屋の角にぴったり収まる斜め配置専用のコーナーテレビ台も多く販売されており、これを活用すれば見た目もすっきりします。
ただし、大型テレビを斜めに配置すると、コーナー部分に収まりきらず、かえって部屋を狭く見せてしまう可能性も。大型テレビの場合は、斜め配置よりも壁面に沿った配置の方が適しているでしょう。
4.対面配置

<対面配置の特徴>
- ・家族や来客とコミュニケーションがとりやすい
- ・大人数で座る場合は位置によってテレビの画面が見づらくなる
対面配置は、2台のソファを向かい合わせに置き、壁面にテレビを設置するレイアウトです。ソファを対面に配置するため、テレビを見る機会が少ない家庭や、家族や来客とのコミュニケーションを大切にしたい方におすすめです。
ソファを向かい合わせに配置することで、空間に落ち着きが生まれ、フォーマルな印象になります。また、人と自然に目が合うため、会話も弾みやすくなるでしょう。
5.コの字配置

<コの字配置の特徴>
- ・大人数や来客時にも全員でテレビを見やすい
- ・ゆったりくつろげるが、ある程度の部屋の広さが必要
コの字配置は、ソファやチェアを3方向でテレビを囲むように配置するレイアウトです。家族の多い世帯や来客が多い家庭に特に適しています。大人数がゆったりと座れるため、テレビを見る以外に団らんやホームパーティーにも最適です。視線が中央に集まりやすく、自然と一体感が生まれるのも魅力といえるでしょう。
ただし、コの字配置を取り入れるには、ある程度の広さが求められます。スペースに余裕がない場合は、圧迫感が生じる可能性もあるため事前のシミュレーションが必須です。
リビングを快適な空間に。テレビ周りのコーディネート術
快適なリビングにするためには、テレビを単なる電化製品ではなく、インテリアの一部として考えることが大切です。テレビ周辺のデザインにこだわることで、おしゃれで統一感のある空間が生まれます。ここでは、テレビ周りを美しくコーディネートするための4つのポイントをご紹介します。
テレビボードを部屋のテイストに合わせる

リビング全体に統一感を持たせるためには、テレビボードの素材やデザインを部屋のテイストに合わせることが大切です。たとえば、ナチュラルテイストの空間には温かみのある木製のテレビボードが合います。一方で、モダンでスタイリッシュな部屋には、無機質なガラスや金属を使ったテレビボードが空間全体の印象を引き締めるのに効果的です。
また、テレビボードの色も部屋の壁や家具の色味と調和する落ち着いたトーンを選ぶことで、より洗練された印象になるでしょう。こうした工夫で、生活感が出がちなテレビ周りがおしゃれにまとまります。
壁掛けテレビやフロートタイプのテレビ台を活用する

空間をすっきりと見せたい場合は、壁掛けテレビやフロートタイプのテレビ台が効果的です。壁掛けテレビは壁に絵を飾るようにテレビを設置できるため、部屋全体がスタイリッシュな印象になります。部屋のスペースを有効活用でき、テレビ周辺のホコリが気にならない点もメリットです。高さや角度を自由に調整できる取付金具を使えば、座る位置や姿勢に合わせて、見やすい角度に変えられます。
またフロートタイプのテレビ台は、壁に取り付けて床から浮かせるタイプで、足元に空間ができるため部屋を広く見せる効果があります。壁掛けテレビやフロートタイプのテレビ台は余計な装飾がなく、洗練された印象を与えるため、モダンな空間づくりに最適です。
新築やリフォーム時の壁掛けテレビの配線については、以下の記事を参考にしてください。
壁掛けテレビの肝は「配線計画」!新築時におさえておきたいポイント
配線・AV機器は隠す
テレビ周りの配線やAV機器は、上手に隠すことで見た目が洗練されます。配線は、ケーブルボックスや配線カバーを使用してまとめ、テレビボードの背面に隠すのが基本です。壁掛けテレビの場合は、壁内配線にすることで完全に配線を隠せます。
レコーダーやゲーム機などのAV機器は、扉付きの収納に入れるとよいでしょう。使用時以外は目立たなくなりますし、リモコン操作に対応した扉なら、閉めたままでも操作可能です。
壁面装飾やアクセントクロスを取り入れる

一般的な住宅の壁は白が多く、テレビやテレビボードを置くだけだと空間がやや殺風景になりがちです。そこで、アクセントクロスを取り入れることで、壁面に色や質感の変化が生まれ、テレビが空間に自然と馴染みやすくなります。
落ち着いた色や木目調など、部屋のテイストに合わせて選ぶと統一感がアップします。また、壁面にルーバーを設置する方法も人気です。ルーバーとは、細長い板状の部材を隙間を空けて平行に並べたもの。空間に立体感と陰影を演出することができます。さらに木製のルーバーは、デザイン性だけでなく、吸音効果もあるためテレビ周りにはおすすめです。最近では、壁に貼るだけで手軽に施工できるルーバーも販売されています。
テレビ配置で失敗を防ぐために!事前のチェックポイント

快適でおしゃれにテレビを配置するためには、テレビや家具の購入前の入念な準備が欠かせません。ここからは、テレビを配置する前のチェックポイントをお伝えします。部屋の寸法や動線、テレビの配線など見落としがちなポイントを事前に確認することで、リビングが洗練された印象になります。
1.テレビ・ソファ購入前に部屋の正確な寸法を把握しておく
テレビやソファを新たに購入する際は、部屋の正確な寸法を把握しておくことが重要です。単に部屋の広さだけでなく、柱や梁がある場所、エアコンが直接当たらない位置にするなど、家具の配置に影響を与える要素も忘れずに確認しましょう。
特にテレビを壁掛けする場合、設置場所に柱や間柱があれば補強になります。また、テレビの配線をすっきりと見せるためにテレビ背面の壁を造作する場合にも、柱や梁の位置は重要です。柱やエアコンの位置は、間取り図に書き込んでおくと購入後のイメージが明確になるでしょう。
2.配線やコンセントの位置を確認する
テレビの配置場所は、アンテナ端子やコンセントの位置に大きく左右されます。これらの位置によってテレビを配置する場所が制限されることも多いため、事前にしっかり確認しておきましょう。
また、ブルーレイレコーダーやケーブルテレビのチューナーなど、テレビに接続する周辺機器に応じて必要なコンセントの数も把握しておくことも大切です。周辺機器が多く、配線が雑然としてしまう場合、新築やリフォーム時にテレビ背面の壁を造作し、配線を壁の中に通すことも可能です。
テレビとコンセントの位置関係は、以下の記事でも解説しています。
【新築】テレビとテレビコンセントの位置の決め方。入居後、後悔しないために
3.生活動線を考慮して設置場所を考える
テレビの配置場所を決める際は、日常の生活動線を妨げないことが重要です。人が無理なく通れるように、通路幅は最低でも60cm、理想は80cm以上確保しましょう。特に子どもやペットがいる家庭では、予期せぬ急な動きにも対応できるよう、より余裕を持ったスペースを意識することが大切です。
ソファに座ってテレビを見ている人の前を、人が頻繁に通るような動線は避けましょう。視線を遮られると落ち着かず、快適さが損なわれてしまいます。
まとめ
テレビの配置を決める際は、事前準備を丁寧に行うことが重要です。視聴距離や高さの基本ルールを押さえたうえで、リビングの広さやライフスタイルに合わせたレイアウトを選択しましょう。購入前には部屋の寸法や配線位置を確認することもポイントです。
テレビをインテリアの一部としてとらえ、部屋全体の調和を意識してコーディネートすることで、機能的で美しいリビング空間が実現します。これらを踏まえ、快適でおしゃれなリビングを目指しましょう。
アドバイザー
インテリアコーディネーター / 整理収納アドバイザー1級
平井 千恵美
さまざまな市町村のまちづくりに携わりながら、人と住空間のつながりを見出す活動を行う。前職では注文住宅の構造設計を担当。自宅のリフォームやDIYの経験も多数。