公開日2023.03.01
家を建てた人に聞いた「動線」の失敗・後悔ベスト5
年間約100軒取材する住宅ライターがインタビューで聞いた、家の動線での「家づくり失敗・後悔しています…」ベスト5をご紹介します。
家を建てる時に気になるのが「動線」。動線が良ければ家事がとってもラクになりますし、逆に動線が悪いと無駄な動きが多くなり、しんどい…という事も。動線を考えて間取りを考えたものの、いざ暮らしてみたらこんな不便やあんな不具合など、不満が出てくることもあります。今回はインタビューで聞いた動線にまつわる「こうしておけばよかった…」という失敗談をランキング形式でご紹介しますので、ご自身の家づくりの反面教師にしてください!
そもそも動線とは?
動線とは「人が移動する経路」のことです。朝、起きてトイレに行き、顔を洗い、朝食を作って食べる、その一連の行動の時に通る道を想像してください。それが家の中の生活動線です。朝の身支度時に家族がバッティングし、邪魔だなーと感じることが多いのは動線が悪い家の可能性があります。
動線は自分ひとりの動き方を考えるのではなく、家族の動き方も同時に考えましょう。また、料理や洗濯など家事をする際に動く道は家事動線と言います。
家を建てた人に聞いた 動線の失敗・後悔ポイントベスト5
第1位「洗濯の動線が悪い…」
洗濯にまつわるアレコレは時間と労力を費やす家事のひとつ。インタビュー中によく聞くのが、「洗濯物を畳んで収納する家事が一番嫌い」「洗濯物を干すことが面倒…」などネガティブな意見をよく聞きます。そして、最もよく聞く動線の失敗は、洗濯機と洗濯物を干す場所の位置関係。
「洗濯機がある1階の洗面室から2階のバルコニーに重い洗濯物を持って行くのは思った以上に大変」という話を頻繁に聞きます。主に、マンション暮らしだった方が一戸建てを建てるとこういった失敗に陥るようです。また、室内干しのスペースを日当たりがいい2階のホールにする方も多いですが、水分を含んだ洗濯物は想像以上に重くなり、年齢が若いうちはまだしも年をとると重労働。洗濯機と洗濯物を干すスペースには注意が必要です。
- 洗濯機と洗濯物を干すスペースは近ければ近いほどラクに。室内干しが多い方はランドリールームを設計に加えると日々の家事が驚くほど便利になります。日当たりの関係上、2階に洗濯物を干す場合は、洗面脱衣室と浴室ごと2階に配置してみてはいかがでしょうか。
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第2位「キッチンまわりの動線が悪い…」
リビング全体が見渡せる、というメリットで子育て世代を中心に人気が高い対面式キッチン。実は、意外と動線が悪く、失敗した…という意見も多数。
例えば、ダイニングテーブルで食事をとっている時に、冷蔵庫から何かを取り出したい時はカウンターをぐるっと回らなければいけない、料理の配膳は受け渡しを誰かが手伝ってくれるとラクだけど、一人の時は大変、ふたりで料理しているとお互い邪魔になって行き来がしづらい、などなど。対面式キッチンが憧れ、という方も多いですが、動線という点に関しては難アリの意見が多いですね。
- 動線がいいキッチンの代表はアイランドキッチンです。そんなスペースはとれない、という方は横並びキッチンをおすすめします。ダイニングテーブルとキッチンが続いているので、配膳や後片付けがビックリするぐらいラクになります。また、あまり人気はありませんが、省スペースで動線がとてもいいのが壁付けキッチン。キッチンには様々なスタイルがあり、それぞれメリット・デメリットがありますが、スムーズな家事動線という点では壁付けキッチンが一番だと思います!
第3位「ウォークインクローゼットの動線が悪い…」
最近、とても人気が高いウォークインクローゼットやファミリークローゼット。家を建てる際には必ずどちらかを取り入れている、というイメージでもはや定番ですね。けれど、こちらにも落とし穴が。ウォークインクローゼットは寝室の中にある場合が多いですが、いったん部屋を通らなければウォークインクローゼットにたどり着けない事が動線の悪さを招いています。「ウォークスルークローゼットにすれば良かった」という意見が多数。
また、ファミリークローゼットは洗面脱衣室とつながっている場合が多いですが、洗面脱衣室側からしか出入りできない場合は、誰かがお風呂に入っていると使いづらい、という動線の悪さがあります。せっかく便利な収納スペースですから、動線には注意したいですね。
- 大きな収納スペースは便利でとっても魅力がありますが、動線を良くすればさらに家事がラクになります。どんな時でも誰でも気兼ねなく出入りできるよう、ファミリークローゼットなら洗面脱衣室側と廊下側の2WAYにするなど、出入り口をふたつ設けると自由な動線が描けます。
第4位「LDKを通らないとお風呂に入れない…」
水回りは一カ所にまとめた方が家事動線がコンパクトになって便利、という考え方で、キッチンと洗面や浴室を隣に配置する方が多いですが、注意しなければいけない点があります。それはリビングを通らなければお風呂に入れない、という動線。特に来客が多いご家庭でよくある失敗例です。
家族だけなら気兼ねないのですが、来客の際はお風呂上がりの姿を見られるのは気が引けますよね。「夫が友達を招いてリビングで宴会をすることが多いので、お風呂に入るタイミングが難しい」などのストレスがあるようです。家事動線ばかり考えていると生活動線を考慮に入れていない場合があるので、注意しましょう。
- 来客が多いご家庭は1階にLDK、2階に浴室などLDKと浴室を離して設計するとストレスなく生活できます。浴室と寝室が近ければ、もっと気を使わない動線になりますよ。
第5位「シューズインクロークに靴を履かないと入れない…」
シューズインクロークもとても人気があり、今や欠かせないスペースですが、盲点があります。しかも、便利さを考えて広く設計した方から聞こえる後悔です。それは、靴を履かないとシューズインクロークに入れない、という点。シューズインクロークを広めに設計し、アウターやカバン、帽子などもそこに収納するという場合、カバンの中のものをとりたいなどちょっと用事がある場合にその都度、靴を脱ぎ履きするのはメンドクサイ…との事。結局どうするかというと、室内スリッパのまま土間に降りる方が多いようです(笑)。
- シューズインクローク内を全て土間にするのではなく、一部を板間にして室内スリッパや素足でも入れるようにすると動線が良くなる上に衛生的でもあります。簡易的にすのこを置くのもいいですね。
新築入居後「しまった…!」にならないために
はじめての家づくりはわからないことだらけ。その中でもわからないままつい後回しにして入居後「しまった…!」になりがちなのが、すぐにネットが使えない、テレビが見られないなどの通信環境の計画漏れです。このような事態を避けるためには「建築前からの計画」が大切です。
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最後に
自分の生活スタイルに合う動線の家は、日常の生活にストレスを感じず家事の時短にもつながります。逆に動線が悪い家は無駄な動きが多くなり、体も心もしんどい…となりかねません。間取りを考える際には、自分自身の動き方だけでなく、家族の動き方もシミュレーションしてみて動線に不便はないか、ストレスを感じないかなどを検証しましょう。
筆者
住宅ライター/プロインタビュアー 大内 夏実
株式会社リクルートで情報誌のイロハを学び、独立。不動産・住宅系ライターとして経験を積む。大手ハウスメーカーから小さな街の工務店までさまざまな建築会社の注文住宅施工例やモデルハウスなどを取材し、また実際に購入した方、家を建てた方のインタビューも多数実施。年間100軒ほどの取材に基づいた知識と経験から多くの建築会社の広告戦略なども手掛けている。