公開日2023.01.11
家を建てた人に聞いた「屋根と外観」の失敗・後悔ベスト5
年間約100軒取材する住宅ライターがインタビューで聞いた、屋根・外壁に関わる「家づくり失敗・後悔しています…」ベスト5をご紹介します。
家を建てた方にインタビューをする際、新築して間もない時は大満足している方がほとんどです。が、中には「こうしておけばよかった…」と後悔している、失敗したという話もチラホラ。そして1年後、3年後にはさらに後悔する人の割合は増えてきます。実際に暮らしてみないとわからない事も多いことは事実。ですが、事前に知っておけば回避できることもたくさんあります。今回は実際に聞いた話をもとに屋根と外観の失敗談をランキング形式でまとめましたので、参考にして後悔しない家づくりを進めてください!
家を建てた人に聞いた 屋根・外壁の失敗・後悔ベスト5
第1位「外壁の色がイメージとちがう…」
外壁の色は建築中に最も悩むところのひとつ。外観に対して一番多い失敗・後悔は「サンプルを見ていいなと思ったけれど、家全体に使ったらイメージとちがった」です。特にグレーやネイビーなど濃い色の外壁を選んだ方から「もう少し濃い(淡い)色だと思っていた」という話をよく聞きます。家を見るたびに「あの色にしておけばよかったな…」と後悔するなんて悲しい話。外壁の色は慎重に選びましょう。
- 外壁はどうしてもサンプルのみで選びがち。小さいサンプルで想像するのではなく、実際に同じ色で建てた施工例を建築会社に聞いて見学してみましょう。また、同じ色の施工例がない場合、サンプルを太陽の光の下や水をかけて雨を想定した状態で確認するのもおすすめです。
第2位「外壁の汚れが目立つ」
外壁の色で一番人気があるのはやはり清潔感があり飽きの来ない白。白い外壁に太陽が反射すると輝いて見えます。ですが、白い外壁を選んだ方から聞く後悔は何といっても「すぐに汚れる」「汚れが目に付く」です。事前に想定していたものの、やっぱり白い外壁は汚れやすいというのが正直な感想のようです。汚れを放置して黒ずんでいたり、コケやカビで緑がかったりする外壁はお世辞にも美しいとは言えません。新築時はこまめにお手入れをしようと心に決めていても、結局はサボってしまう方が後悔につながるようです。
- 外壁が汚れる原因は排気ガスやホコリ、雨水、コケ、カビ、蜘蛛の巣や鳥の糞など様々です。幹線道路や高速道路の近くの立地では白い外壁は避けた方が無難でしょう。また、白と言ってもたくさんの種類があるので、真っ白ではなくクリームかかった色を選んでみてもいいかもしれません。コスト的には高くなりますが、外壁材には汚れにくい素材もあります。例えば光触媒で汚れを分解するケイミューの光セラ、汚れにくい塗り壁STOなどもチェックしてみましょう。
第3位「軒天や庇が狭い・小さい…」
デザインを優先して外観を選んだ方から聞こえる失敗・後悔の声は「軒天(のきてん)や庇(ひさし)を大きくした方がよかった…」。特に四角いハコを積み重ねたようなキューブ型の外観を選んだ方からよく聞く後悔です。その理由は、雨が家の中に降り込むから。玄関前で傘や雨具についた雨粒をいったん払って家の中に入る事ができません。濡れたまま玄関に入ることになり、玄関内が水浸しになる事も。また、玄関や窓を開けると直接雨が降り込むことも多々あり、雨の日は拭き掃除が大変…とも。雨の日が嫌いになりそうですね。
バランスを考えよう
- 軒天や庇には雨を避けるという大きな役目があります。その軒天や庇が狭く小さいと雨がそのまま外壁や玄関ドアにあたり、汚れやすく劣化の原因にもなります。かといってカッコ悪いと思うデザインの家に暮らすのも苦痛。デザインと毎日の暮らしやすさのバランスをとることが大切です。せめて雨は避けられる程度の庇はあった方が安心ですので、玄関の上にバルコニーを配置するなど設計を工夫しましょう。
第4位「電動シャッターにすればよかった…」
雨戸やシャッターは、「予算がかかるから」という理由で付けない方が意外と多いようです。また、「規格外の大きな窓だから」という理由で付けない方もいます。しかし、台風など悪天候時はとにかく怖い、との事。台風や豪雨は年に数回ですが、一度でも怖い経験をした方からは後付けで雨戸やシャッターを付けたという話をたくさん聞きます。
また、シャッターを付けた方からは電動シャッターにしたらよかった、という後悔の言葉をよく聞きます。住む前は「予算もかさむし、開け閉めくらい苦にならない」と思うようですが実際に暮らし始めると忙しい朝やあわただしい夜の開け閉めは負担になり、ボタンひとつでできる便利性がうらやましくなるとの事です。
- 強化ガラスだから割れないだろうと思っていても、台風や豪雨などで打ち付けられる雨や風を直接感じるのは恐怖です。雨戸やシャッターは災害時に家を守る大切なもの。安心して暮らすためにも取り付ける方が良いでしょう。また、開放感やデザイン性を優先する場合はその窓の上の軒天を深くすることで雨が避けられます。設計士や建築会社とよく相談してください。
そして、電動か手動かで悩んでいる方は、絶対に電動シャッターをおすすめします! 電動シャッターを付けた方からは劇的に家事がラクになったと良く聞きます。家事の負担軽減や時短につながり快適性がグンと上がりますよ。
第5位「太陽光発電を設置しやすい屋根にすればよかった…」
太陽光発電を設置したいけれど、新築時にそこまで予算がまわらないから、数年後お金がたまってから…と考える人の失敗が屋根の形や向き。いざ太陽光発電を取り付けようとしたときに、屋根の形や向きによっては陽当たりが悪く設置に向いていない場合があります。また、取り付けづらい形状の場合は設置費用が高くなることも。設置を断念した、という話も聞きます。
- 設計士や建築会社に事前に伝える事が肝心です。太陽光発電を設置する予定で設計してもらいましょう。
新築入居後「しまった…!」にならないために
はじめての家づくりはわからないことだらけ。その中でもわからないままつい後回しにして入居後「しまった…!」になりがちなのが、すぐにネットが使えない、テレビが見られないなどの通信環境の計画漏れです。このような事態を避けるためには「建築前からの計画」が大切です。
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最後に
外観はいわば家の顔ですから、デザインを重視したいところです。そして、そのカッコよさをいつまでもキープしておきたいですね。大切なのは、デザインとメンテナンス面のバランスです。また、いざという時のために備えることも重要なこと。暮らしてみてから気付く事も多いですが、失敗談を参考にできるだけ後悔を回避し、満足感が長く続く家を建築しましょう。
筆者
住宅ライター/プロインタビュアー 大内 夏実
株式会社リクルートで情報誌のイロハを学び、独立。不動産・住宅系ライターとして経験を積む。大手ハウスメーカーから小さな街の工務店までさまざまな建築会社の注文住宅施工例やモデルハウスなどを取材し、また実際に購入した方、家を建てた方のインタビューも多数実施。年間100軒ほどの取材に基づいた知識と経験から多くの建築会社の広告戦略なども手掛けている。