公開日2024.06.28
部屋に最適なLEDの明るさ・色は?知っておきたい照明の知識と選び方
照明によって部屋のイメージが変わります。特に、明るさと色味は、過ごしやすさや理想の空間にするための重要な要素でもあります。LED照明のリーディングカンパニーである大光電機株式会社の大阪ショールームにお伺いし、最適な住空間にするための照明についてお聞きしてきました。
知っておきたいLED照明の知識
教えていただいたのは
大光電機株式会社
住宅デザイン部 大阪オフィス
照明士 / 課長 花井 架津彦さん
2003年大光電機入社、照明設計集団TACT(タクト)に配属。現在は住宅デザイン部に所属し、住宅照明を専門として数多くの物件を手がけ、講演活動も行う。2019年に著書『庭と住まいの照明手帖』(X-knowledge)を発刊。2021年には韓国・中国・台湾の3ヶ国で海外版も発刊される。
1.明るさ「ルーメン」と「ワット」について
まずは、照明の明るさについて。一般的なLED電球の箱には、1520lmや6.9wなどの記載がありますよね。このlmとWは明るさに関係しています。
lm(ルーメン)が明るさ、W(ワット)は消費電力と覚えておきましょう。ルーメンは数値が高いほど明るく、ワット数が高いほど電力を消費します。
lm(ルーメン)=明るさ/数値が高いほど明るい
W(ワット)=消費電力/数値が高いほど電力を消費
部屋の広さや用途によって、必要なこの明るさは変わります。例えば、LDKでの1畳あたり目安は、300〜400lmです。照明をつける部屋の広さや用途に応じた明るさを選びましょう。
部屋の畳数による必要な明るさ目安(LDK)
※明るさの感じ方は人によって変わるので、あくまで目安の数値になります。
LED シーリングライト
6 畳(約 10㎡) |
8 畳(約 13㎡) |
10 畳(約 16㎡) |
12 畳(約 19㎡) |
|
---|---|---|---|---|
ルーメン |
2200~3199lm |
2700~3699lm |
3300~4299lm |
4500~5499lm |
LED ペンダントライト
6 畳(約 10㎡) |
8 畳(約 13㎡) |
10 畳(約 16㎡) |
12 畳(約 19㎡) |
|
---|---|---|---|---|
ルーメン |
2430~3329lm |
2970~3869lm |
3510~4409lm |
4050~4949lm |
明るさは照明の数でも調整できる
明るさは照明の数を増やすことで調整することができます。例えば、新築時のダウンライトの場合は、どれだけの数を設置するかで部屋の明るさを調整します。下は、天井のダウンライトの点灯数を切り替えた時の写真です。
▲ 左はダウンライトの点灯数が多い、右が少ない(大光電機株式会社 ショールームのシミュレーションルーム)
リビングは家族が集う場所なので明るい空間にしたい、と思っているならば、照明の数を多めに設置すると明るくなります。この部屋でどのように過ごしたいかによって必要な明るさ、照明の数を決めていきましょう。
2.空間づくりに大切な「色温度」
照明の光には、明るさだけでなく「色温度」と呼ばれる色があります。実際、光には熱の温度はありませんが、ローソクの炎で例えると、オレンジ色の部分と下の青い部分です。オレンジ色の部分は温度が低く、青い部分は温度が高くなります。
この光の色のことを色温度と呼び、数値はケルビン(K)で表します。
ケルビンの数値が低いとオレンジっぽくなり、数値が高いほど青っぽい色になっていきます。
K(ケルビン)=光の色/数値が低いほどオレンジっぽく、高いほど青っぽい
▲ ケルビンによる光の色(イメージ)
一般的に販売されているLED照明では、色別に以下の4つに分類されています。
LED電球でのケルビンの分類
- 1:電球色(オレンジっぽい色)
- 2:温白色(薄いオレンジっぽい色)
- 3:昼白色(白に近い色)
- 4:昼光色(青っぽい色)
リラックスできる空間にしたい、集中して作業できる空間にしたい、など、生活のシーンによって適した色があります。
光の色と最適なシーン
- 1:電球色=暖かく和やかなムード、落ち着いた空間に
- 2:温白色=部屋全体の暖かい雰囲気と、手元の見やすさを両立
- 3:昼白色=日中のような自然な色に近く、作業や子どもの学習に
- 4:昼光色=集中力を高める色。オフィスや勉強部屋、在宅ワークに
下は色温度が違う照明をあてた写真です。
▲ 大光電機株式会社 ショールームのRa Color Variation(演色性は同じRa83)
左は暖かいゆったりした空間、右へと光が白くなるにつれてスッキリした活動的な空間のイメージになります。また、奥の色彩の見え方も左は赤みがかかり、右は青白く変化しています。色はその空間でどのように過ごしたいか、どのような雰囲気にしたいかで選ぶとよいでしょう。
3.便利な「調光調色」機能がある照明器具
▲ 画像提供:大光電機株式会社
これまで明るさと色温度についてお伝えましたが、今ではLEDの照明器具には、この明るさと色温度をスイッチやリモコン、スマホなどで調整して切り替えられるタイプがあります。同じ照明器具でも、食事の時は明るさを弱めて色温度を低くし、リラックスできる空間に、在宅勤務をするときは、明るさを強めて色温度を高くして作業がはかどる空間に変える、ということができます。
▲ 画像提供:大光電機株式会社
明るさや色で悩んだら、この機能がある照明器具を選ぶのもよいでしょう。ただ、調光と調色ができる照明器具はコスト面が高価になりがちです。どのように過ごしたいかによって、一部の部屋に取り入れるだけでも暮らしやすくなるでしょう。
新築やリノベーションでは、照明計画は重要に
朝も昼も夜も長い時間照らし続ける住空間の照明は、生活のシーンによって最適なものを選ぶことが大切です。同じ空間でも明るさや色、つける場所などによって空間の見え方や過ごしやすさも変わります。ペンダントライトや間接照明を取り入れたり、照明でより理想の住空間にすることもできます。
【ダイニング】ペンダントライトの選び方とリビングとの組み合わせ方
新築やリノベーションを計画されている方は、建築後に「思ったより暗かった…」などと後悔しないためにも、新居の照明計画はしっかりとしておきましょう。
照明を選ぶ際は、実際にショールームや店舗に行って、体験することがおすすめです。
大光電機株式会社のショールームでは、ダウンライトの点灯数で明るさがわかるシミュレーションルームがあり、住居に必要な様々な種類の照明も展示されています。光は、数字だけを見てもなかなかわかりづらいもの。体験できると安心です。