おしゃれな家づくり

公開日2024.05.02

リノベーション事例『マンションより生活がラクに!回遊動線と断熱性にこだわった家』

新しい家に住みたいけれど、子どもの校区は変えたくない。この希望は多くの方が共感するはず。Nさんファミリーはその希望を「中古一戸建てを購入してリノベーションする」という方法で叶えようとしました。しかし、そこには鉄骨造をリノベーションしてくれる会社が少ない、断熱性が低く寒いなど数々の問題が…。その問題はどうやって解決したのか、結果としてこだわりを詰め込んだ100点満点の住まいが完成したコツは?
Nさんのインタビューを通して紐解いていきましょう。

「子供の校区を変えたくない」狭い範囲での新居探し…

東京でマンションを購入し暮らしていたNさんファミリー。大阪に転勤になり、数年の仮住まいの気持ちで賃貸マンションに暮らしましたが思いのほか長く暮らすことになり、子どもたちも大阪にずっと住みたいと希望するように。それならば、いっそのこと大阪で家を建てよう!と決意したNさん。

▲ 家づくりはご主人主導で。「あの頃はYouTubeを見まくって情報収集していました」とNさん。

当初は大手ハウスメーカーの木の家を建てたいと思い土地を探すものの、「子どもの校区を変えない立地」という狭い範囲では、広さや利便性の希望を満たす土地が見つかりません。そこで、中古一戸建てにも目を向け、取り壊して更地にし、注文住宅を建てようと計画するものの、防火地域で鉄骨造の家を建てないといけないエリアということが判明。 これでは予算内に収まらない、何か策はないだろうか…と調べているうちに「中古一戸建てを買ってリノベーションする」という方法を見つけ、興味を持ちました。

鉄骨造一戸建てをリノベーションしてくれる会社は少ない

YouTubeやネットなど様々な検索をしたところ、「リノベーションって、こんなにいろんな事ができるんだ」と知ったNさん。ちょうど希望通りの立地に築42年の鉄骨造一戸建てを発見し購入することに。

▲ 【Before】築42年の一戸建て。鉄骨造なので耐震性は問題ないが断熱性は低い

次はリノベーション会社を探すことになるのですが、木造一戸建てに対応する会社はたくさん見つかるものの、鉄骨造の一戸建てだとかなり選択肢が少なくなるという現実に直面。とにかく鉄骨造の一戸建てをリノベーションしたYouTubeなどを検索しまくり、中でもお洒落な施工例を紹介していた会社に問い合わせました。3社に声をかけ、見積もりを作成してもらい検討したなかで「施工例に遊び心や夢があって、こんなリノベーションがしたい」と思った施工会社に依頼することに。

リノベーションDATA

  • 家族構成:夫婦+子ども2人
  • リノベーション面積:131.60㎡
  • 築年数:42年
  • 間取り:5LDK→3LDK+土間収納
  • 設計・施工:美想空間

念願の「キャンプ道具を収納する土間収納」と「回遊動線」!

Nさんのマストの要望は、キャンプ道具を出し入れしやすい土間収納と回遊動線。特に回遊動線はプランナーと共に何度も練り直し、こだわり抜きました。

▲ 【Before】リノベーション前の玄関

▲ 【After】左が家族用の玄関と土間収納。

家族用の玄関から土間収納へとつなげることで、キャンプ道具はすべて収まりました。荷物の出し入れもスムーズで収納力を飛躍的にアップ!

土間収納から洗面室をつなげ、脱衣室兼ランドリールーム→パントリー→キッチン→LDK→ファミリークローゼットを回遊できるように結びました。帰宅して、コートを脱ぎ、荷物を置き、手洗いうがい、服を部屋着に着替え、洗濯物をカゴに入れリビングにイン。この一連の流れが一直線の流れで終了。

▲ 土間収納から洗面室へとつながる。着替えは続きのファミリークローゼットで

▲ ファミリークローゼットからリビングへも直接つながる

これまで行ったり来たりしていた動作がウソのようにラクになったとのこと。高校1年生の娘さんの「洗面室と脱衣室を分離してほしい」という要望を叶えつつ、この配置にたどり着くまでは相当頭を悩ませたとか。プランナーと微調整を重ね、完璧なまでのスムーズな動線を描くことができました。

洗濯も料理も数歩で完結!マンションより生活しやすくなった

当初、キッチンは片方だけ壁付けになっているペニンシュラ型の予定だったけれど、便利だと提案されたアイランドキッチンに。キッチン周りにはパントリーや壁付け収納などあちこちに収納があり、海外製食洗機も導入。

▲ 【Before】もともとは壁付けタイプのキッチン。奥は和室

▲ 【After】GRAFTEKTのアイランドキッチンを採用。フロアタイルや壁のタイルもおしゃれ

キッチンの続きにある脱衣室兼ランドリールームには衣類乾燥機があり、料理の合間に洗濯もでき数歩で家事が完結。水回りを1階に集約し、回遊動線で結んだので「一戸建てになって、マンションよりずっと生活しやすくなりました」と笑顔の奥様。

希望していした縁側風の小上がりも実現。窓際に腰かけることができ、奥のワークスペースのデスク下に足を入れることもできるのも使いやすい。

▲ 2階のホールにもワークスペースがあり、在宅勤務でも集中して仕事ができる環境もお気に入り

床・壁・天井に断熱材をプラスして、樹脂の内窓に。災害への備えも万全

スケルトンにした時に特に構造に不具合はなく、しっかり造られていると太鼓判を押されたこともあり耐震性は安心していたNさん。ただ、鉄骨造ということもあり断熱性には不安が。「きっと年齢を重ねてもずっと住む家だから、ヒートショックのことなども考えて断熱性には力をいれました」とNさん。リノベーション会社と相談しながら、断熱レベルが適正な基準になるように床・壁・天井に断熱材をプラス。

▲ 床はオークの無垢材。しっかり床下断熱がされているので寒い冬でも床暖房が入っているのかと間違うほど暖かい

さらに樹脂の内窓(インプラス)を付けることで飛躍的に断熱性が高くなりました。さらに、太陽光発電やエコキュートなども装備し、災害への備えも万全。「確かに予算は高くなりましたが、補助金がもらえるし、将来の安心安全のためには必要なことだと思っています」。

リノベーションには「ベストを探る楽しさ」がある

プランが完成したところでふっと力が抜け、デザインに関しては、ほぼプランナーのご提案通りだとか。「自分では違う方がいいかなと思っていたことも、実際に完成したら絶対提案してもらった方がおしゃれでした。デザイン面はプロに任せた方がいいと実感しました(笑)」。完成した住まいは100点満点。

▲ オリーブの木を果樹園で選ぶ際もプランナーにアドバイスをもらったとか

リノベーションという選択がよかった、と言うNさん。「全部新しくするのではなく、ある程度の制約がある中でベストを探る楽しさがリノベーションにはありますね。」リノベーション期間中は、調べることも決めていくこともすべてが楽しかったとか。「プランナーさんは大変だったと思います。調べまくってるし、要望は細かいし…。僕が逆の立場だったら絶対イヤなお客さんです(笑)」というほど全力を注ぎ、将来まで安心安全な家族を守る終の棲家が完成しました。

▲ 外観も真っ白の外壁に木目をアクセントに加え、ナチュラルデザインに生まれ変わりました。

取材協力

株式会社 美想空間

中古物件購入からサポートしてくれるワンストップ型のリノベーション会社。一戸建てのリノベーションが得意で、住む人の安心・安全・快適をベースとした上で、あそび=日常生活の余白を楽しめる家づくりを提案。大阪港駅から徒歩2分にあるKLASI COLLEGEでは、リノベーションセミナーやワークショップなどのイベントを随時開催。おしゃれなキッチンなどのショールーム、カフェ、キッズルームもあり、リノベーションのワクワク感を体感することができます。

▲ 築70年の建物をリノベーションした
KLASI COLLEGE

▲ 受付では日替わりでスタッフが
お出迎えしてくれる

筆者

著者

住宅ライター/プロインタビュアー 大内 夏実

株式会社リクルートで情報誌のイロハを学び、独立。不動産・住宅系ライターとして経験を積む。大手ハウスメーカーから小さな街の工務店までさまざまな建築会社の注文住宅施工例やモデルハウスなどを取材し、また実際に購入した方、家を建てた方のインタビューも多数実施。年間100軒ほどの取材に基づいた知識と経験から多くの建築会社の広告戦略なども手掛けている。

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