DIY

2021.09.08

大切な木製家具こそ自宅でケア。メンテナンス方法やポイントを紹介

大切な木製家具こそ自宅でケア。メンテナンス方法やポイントを紹介

大切に使っていても、長く生活を共にするうちに家具は少しずつ劣化してしまうもの。特にテーブルは、食卓を囲んだり仕事をしたり、使用頻度が高い家具のひとつ。使い続けるうちに、少しずつ表面の塗装が剥げ、傷やシミができやすくなります。できれば、買い換えたり、修理の依頼をすることなく、低コストで自分でメンテナンスしたいもの。

今回は、自宅で簡単にできる木製の家具のメンテナンス、お手入れ法についてご紹介します。

メンテナンスをする前に

基本的にメンテナンスとは、やすりがけと再塗装で行います。木製家具の場合、状態や木材、購入時の塗装の種類によっては自宅でできるものと難しいものとがあります。まず、以下の2つを確認しておきましょう。

1.表面の傷の状態

家具の表面に、傷の深さが1mm以上あったり、傷の長さが15cm以上ある場合も、傷やヘコみを元通りに戻すことは難しいため、自宅でメンテナンスをすることはおすすめしません。損傷が大きい場合は、専門業者に依頼するのがベターです。

2.木材と塗料の種類

次に木材と購入時の塗装の種類を確認しましょう。木製の家具を購入した場合、テーブルは天板の裏などに記載されています。

木材の種類

木製家具に使用される素材は、「無垢材」と「突板」のどちらかに大きく分類されます(その他、化粧合板などもあります)。

無垢材

木そのものを切って削って製材された木材。断面部分を見て、表面と側面の木の模様や年輪が繋がっていることが特徴です。無垢材であれば、自宅でのメンテナンスは可能です。

突板材

0.2mmほどの薄くスライスした木のシートを、ベニヤ板などの板に張り付けたもののこと。オイルフィニッシュであれば自宅での再塗装は可能ですが、ラッカー塗装はやすりがけの工程が必要で、削りすぎて中のベニヤ板が見えてしまう可能性があるなど、難易度が高くなるため、自宅でのメンテナンスはおすすめしません。

塗装の種類

メンテナンスでの再塗装は、購入時に施されている仕上げ塗装と同じ塗装を施します。劣化した表面をやすりがけし、再び同じ塗装を施しメンテナンスすることで、購入時のようキレイな状態に戻します。

代表的な塗装の種類は
以下の3つになります。

ウレタン塗装

オイルフィニッシュ

ラッカー塗装

ウレタン塗装

コーティングによる厚みとツヤで、つるっとした見た目と手触りが特徴の塗装方法。メンテナンス不要で、水分に強く、傷がつきにくいのが特徴。ただ、衝撃に強いというわけではありません。技術が必要になるため、自宅での再塗装の難易度が高くなります。

■メリット

  • ・一度塗装すれば10年~20年は再塗装がいらない
  • ・水分に強く、汚れや傷にも強いため、扱いやすい
  • ・使用環境による反りやひび割れが起きにくい

■デメリット

  • ・熱に弱いため、熱いものを直接置くと白く変色してしまう
  • ・大きな衝撃によるヘコみや傷は修復が難しい
  • ・自分で再塗装をすることが難しい

オイルフィニッシュ

比較的容易に自宅での再塗装が可能です。
自然の植物油を使った無公害の塗料で、無垢材そのものの美しさを生かした素朴な仕上がりの木の表面に塗膜を作らない塗装方法です。経年変化を楽しめ、家具を育てる感覚を味わえます。

■メリット

  • ・木本来の質感を生かしたナチュラルな仕上がり
  • ・少しの凹みであれば、水を含ませた布を乗せて時間を置けば目立たなくなるなど、軽度の傷は木本来の力で復活させることができる
  • ・木材の種類や紫外線によって少しずつ色が変わっていき、経年変化も楽しめる

■デメリット

  • ・水分に弱いため、輪ジミができやすい(やすりをかけることである程度は復活できる)
  • ・使用環境によっては木の反りやひび割れが起こる可能性がある
  • ・日々オイルが落ちていくので、年一回程度メンテナンス・お手入れが必要
  • ・オイルがしっかり乾くのに時間がかかる

ラッカー塗装

比較的容易に自宅での再塗装が可能です。
樹脂をシンナーなどの溶剤で溶かした塗料で、木そのものの質感を残しつつ、傷や汚れがつきにくいことが特徴の塗料方法です。ウレタン塗装ほどの強度はありませんが、オイルフィニッシュよりも傷がつきにくく、すべすべとした手触りに仕上がります。

■メリット

  • ・木の質感を感じられる見た目と手触り
  • ・傷や汚れがつきにくく、扱いやすい
  • ・乾燥しやすく、DIYでも比較的容易に塗装ができる

■デメリット

  • ・水分や熱に弱いため、コップの輪ジミなどができやすい
  • ・直射日光に当たると変色しやすいため屋外には向かない
  • ・作業時の臭いがきついので、十分な換気が必要

木製テーブルのメンテナンス方法

必要なもの

サンダー(電動やすり機)

サンドペーパー(400)

仕上げ用 サンドペーパー(2000)

オイルやラッカー塗料など(購入時と同じ塗料)


メンテナンスの手順

1.やすりがけ

やすりがけで色むらやシミ、塗装、表面の凹凸をなくすことで、再塗装をした時の見た目や手触りが格段に変わります。塗装が剥がれにくく、長持ちするというメリットも。なるべく平らにするために、木目に沿って一方向にまっすぐやすりましょう。

2.再塗装

オイルやラッカーなど、同じ塗装を施します。オイルの場合、ハケでオイルを木目に沿ってたっぷり塗り、30分程度時間を置いてからウエスで拭き取ります。好みの色になるまで、塗り重ねをします。ラッカー塗装は、一方向に、一定の距離感とスピードを維持してスプレーしましょう。

3.仕上げ

目の細かいサンドペーパーで水研ぎをして、塗りムラや手触りのザラつきを均一に整えます。水で濡らしながら行うことで、滑らかにやすりをかけることができます。その際のサンドペーパーは、耐水性のあるものを選びましょう。やすりをかけた後、乾いた布で乾拭きして、布に色がつかなければ作業完了です。

ラッカー塗装のメンテナンス動画はこちら

動画では、ラッカースプレーのムラになりにくい塗装方法や仕上げの水研ぎの仕方がご覧いただけます。


メンテナンス前と後

矢印

使い続けているうちに天板表面のラッカー塗装が剥がれ、全体的に白っぽく色ムラが目立つ状態になってしまった無垢材のテーブルを自宅でメンテナンス。メンテナンス後は色ムラ、白いシミがなくなりました。


メンテナンス後は、質感も滑らかに

塗装の後にやすりをかけたことで、表面のザラつきもなくなり、すべすべとした滑らかな質感に生まれ変わりました。


最後に

今回ご紹介したメンテナンス法は、木材で作られた家具全般に行うことができます。家具はこまめにお手入れすることで、驚くほど長く使い続けることができます。思い出の詰まった家具やお気に入りの家具は、メンテナンスやお手入れをしてこれからも長く使っていきませんか?

アドバイザー

建築、内装設計デザイン
TO DO 藤田 剛

2000年 滋賀県立大学建築デザイン専攻卒業後、設計事務所に数社勤務
2008年より大阪で設計デザイン事務所を主宰
業務内容:住宅から店舗、家具の設計デザインまで空間に関わること全般。自然な暮らし方やストーリー、素材と質感など、本質的なものを大切にして空間に取り入れます。住空間のこだわりや、ちょっとした相談事など、お客さまに寄り添ったモノ作りを提案。

 

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