公開日2025.03.17
和モダンな部屋の作り方|配色や家具選びのポイント

居室に和の要素を取り入れて、モダンな空間にアップデートしてみませんか?
日本の文化とシンプルで洗練された現代のインテリアを取り入れることで、心地のいい和モダンが作れます。
この記事では、和モダンな部屋の作り方をまとめました。色使いや家具選び、照明の工夫まで、誰でも実践できるポイントを詳しく解説します。和の趣を大切にしながらも、スタイリッシュな空間を目指しましょう!
和モダンな部屋の3つの魅力
和モダンな部屋とは、日本の伝統美と現代の快適さを融合させた空間です。落ち着いた雰囲気と機能性を兼ね備えています。ここでは、和モダンの3つの魅力をまとめました。
1.落ち着きのある、洗練された空間
和モダンな部屋の魅力の一つは、落ち着きのある和の空間と洗練されたモダンな空間を両立できる点です。畳や和紙、木材といった和の伝統的な素材に、シンプルで無駄のないモダンデザインを取り入れることで、視覚的な心地よさが実現できます。他にもラタンやヒヤシンス、麻、綿なども、和を感じさせる素材として取り入れられています。
和がもたらす落ち着きと温かみ、モダンが与えるシンプルさと洗練された空間をバランスよく組み合わせることで、垢抜けた印象の空間を作り出せます。
2.機能的、かつ居心地がいい
機能的で居心地がいい点も和モダンな部屋の魅力です。畳や障子には断熱・調湿効果があり、夏は涼しく冬は暖かい快適な環境が実現できます。また、和紙や漆喰、珪藻土などの自然素材を用いると、湿度を調整し、空気を清浄に保つことも可能です。これらの素材は、和の風合いを感じさせつつ、現代のライフスタイルに合ったデザイン性も兼ね備えています。
さらに、シンプルで洗練されたモダンな家具を取り入れてレイアウトすることで、機能性と美しさが調和した空間が生まれます。
和モダンは、自然素材の機能性を活かしながら、居心地のいい洗練されたスタイルと言えるでしょう。
3.流行に左右されにくい
流行に左右されにくい点も和モダンの魅力です。和の伝統的なデザインは、時代を超えて愛される普遍的な美しさを持っています。シンプルで洗練されたデザインは飽きがこないため、長く楽しめるのが特徴です。また、畳や木材、和紙などの自然素材を使用した家具は、年月とともに味わい深い趣を楽しめます。経年変化によって魅力も増します。
和モダンは、一時的な流行に影響されず、長く使えるデザインと自然素材の機能性を兼ね備えたスタイルと言えます。
和モダンな部屋の作り方
和と洋、どちらの要素も兼ね備えた和モダンを、インテリアに取り入れるのは難しいと感じる方もいるでしょう。ここでは、落ち着きと洗練を両立する和モダンな部屋の作り方をご紹介します。
アースカラーと日本の伝統色を組み合わせる
和モダンな部屋を作る際、ベースカラーにベージュ・ブラウンなどのアースカラーを、アクセントカラーに紅色・藍色・さび色などの日本の伝統色を組み合わせることで、落ち着きと洗練を両立させた空間を演出できます。ベースカラーとアクセントカラーの比率や使用する場所は下の表をご覧ください。
比率 |
カラー |
場所 |
効果 |
---|---|---|---|
ベースカラー |
アースカラー |
床・壁・天井など |
落ち着き |
アクセントカラー |
日本の伝統色 |
クッション・小物など |
個性 |
日本の伝統色をさりげなく取り入れることで、上品で飽きのこない空間に仕上がります。
伝統的なデザイン、低めの家具を選ぶ

天井や建具など、空間の中でおのずと目に入る部分に和を取り入れると、和モダンが成立しやすくなります。
窓回りは、障子のような格子柄のデザインを取り入れると和の印象がより強くなります。カーテンを採用する場合は、色は床や壁、柱、廻り縁に合わせると統一感が生まれ、和モダンらしい洗練された空間に仕上がります。
天井の仕上げは、洋室ではクロス張りが一般的ですが、日本家屋では古くから和天井(板張りの仕上げ)が採用されてきました。このような日本の伝統的な仕上げを取り入れることで、和の要素を演出できます。洋室でも、意匠的に天井の仕上げを板張りにリフォームすることも可能です。
また、和モダンの家具は低めのデザインを選びましょう。これは、床に座る日本の生活様式に合わせて作られた和家具の特徴でもあり、空間に落ち着きをもたらします。必ずしも床に座る必要はありませんが、低めの家具を配置することで、空間に余白が生まれ、広く感じさせる効果があります。
暖色系の間接照明を取り入れる

和モダンの部屋では、照明が空間の印象を大きく左右します。特に、暖色系の間接照明がおすすめです。ランプシェードに和紙やラタンを使用した照明を選ぶだけでも、光が柔らかく拡散され、和モダンにふさわしい落ち着いた印象に仕上がります。
他にも、間接照明はリラックス効果を高め、空間の居心地の良さを引き立てます。和の柔らかさとモダンさを調和させるために、照明の配置や光の強さにも工夫を凝らすと、さらに上質な空間が演出できるでしょう。
和モダンらしさがアップするポイント3つ
和とモダンを融合させるには、バランスが肝心です。ここではおすすめの素材やデザインなど、和モダンらしさがアップする3つのポイントをお伝えします。
1.ポイントでヴィンテージ家具を入れる

製造されてから30年以上経過した家具をヴィンテージ家具といいます。ヴィンテージ家具は、流行に左右されにくく、長い年月の中で培われた趣を感じられることがメリットです。和の温かみとも調和しやすく、風合いが和モダンの落ち着いた雰囲気にマッチします。
また、ヴィンテージ家具のもつ独特のデザインや存在感が、空間のアクセントとなり、洗練された印象を演出します。ソファやテーブルなどの洋家具でも、和と相性のいい木や籐など自然由来の素材を選ぶことで、上質で垢抜けた和モダンスタイルを楽しめます。
2.シンプルで直線的なデザインを採用する

日本の建築やインテリアは、西洋のアーチ形や猫脚などの曲線デザインとは異なり、水平・垂直の直線が多く使われるのが特徴です。シンプルで直線的なデザインは、障子や縦格子、格子柄など、内外装や和家具にも多く採用されており、日本の伝統を感じさせます。
また直線的なデザインには、モダンでクールな印象を与えるとともに、空間を落ち着いた雰囲気に保つ効果があります。和モダンな部屋を作る際には、水平と垂直のラインを意識することで、伝統を感じさせつつも現代的な空間を表現できるでしょう。
3.畳をアクセントに使う
畳をアクセントにすることで、和モダンな空間をさらに引き立てることができます。伝統的な和室に欠かせない畳は、調湿や断熱効果にも優れた機能的なアイテムです。畳を全体に敷く必要はありません。部屋のアクセントとして部分的に使用することで、シンプルさと温かみが調和した空間を演出できます。
厚みがなく、部分的に敷きやすい「アクセント畳」は、フローリングの部屋でも敷きやすくおすすめです。床座にする部分だけ畳を敷く、センターテーブル付近だけを畳にするなどといった使い方もできます。畳を使うことで落ち着きと洗練を兼ね備えた空間が完成します。
和モダンな部屋を作る際の注意点

和モダンな部屋を作る際には、デザインのバランスや素材選び、実用性を考慮することが重要です。ここでは、和モダンな部屋を作る際の3つの注意点をご紹介します。
和とモダンの割合を意識する
和とモダンの割合は部屋の印象を左右します。和と洋の両方の要素を取り入れつつ、全体に統一感を持たせることが必要です。
和の要素が強すぎると、過度に伝統的な印象になり、逆にモダンが強すぎると冷たい印象を与えてしまいます。バランスを取るためには、元々の部屋の雰囲気から和と洋のどちらが多いかを見極め、それに合わせた配置を考えることが大切です。適切なバランスを実現するためには、プロのアドバイスを受けるのもよいでしょう。
家具の大きさ、高さを意識する
和モダンな部屋を作る際、家具の大きさや高さに注意しましょう。家具はコンパクトなものを選び、部屋を広く感じさせるようにします。
家具は高さを腰高程度に抑えると、床に座って生活する和のスタイルの印象を演出できます。家具の高さを抑えると圧迫感もなく、空間そのものがすっきりした印象になるためおすすめです。
見た目だけでなく実用性も考慮する
和モダンな部屋を作る際には、見た目の美しさだけでなく実用性も重要です。例えば、和の伝統を重んじて低いテーブルや床座を選ぶと、座りにくさや使い勝手の悪さが問題になることもあります。和モダンは純和風ではないため、ダイニングテーブルやソファなど機能性の高い現代の家具を取り入れることで、より快適で使いやすい空間が作れます。
ライフスタイルに合わせて、実際に使いやすい仕様を考慮することが、長く快適に過ごせる部屋を作る秘訣です。
まとめ
和モダンな部屋は、コツさえつかめば誰でも作ることができます。和の落ち着きとモダンの洗練さを融合させることで、心地よく、温かみを感じる空間が生まれるでしょう。
大切なのは、和とモダンのバランスを取ること、そして素材や色合いを上手に組み合わせることです。少しの工夫で、生活空間が一新し、心豊かな場所になります。
自分だけの和モダン空間を作り、日々の暮らしをより楽しく、快適にしていきましょう。
アドバイザー
インテリアコーディネーター / 整理収納アドバイザー1級
平井 千恵美
さまざまな市町村のまちづくりに携わりながら、人と住空間のつながりを見出す活動を行う。前職では注文住宅の構造設計を担当。自宅のリフォームやDIYの経験も多数。