公開日2024.09.03
買ったら絶対に後悔する中古物件とは?|戸建てをリノベーションしたい!【4】
リノベーション前提で中古戸建てを購入する際に、駅近、学校が近い、生活が便利など立地の条件だけで選ぶと大変な目にあうこともあります。というのも、買ったら絶対に後悔する中古戸建てがあるんです! そこで、リノベーション企画第4回目は、失敗しない中古戸建ての購入のコツをご紹介します。
絶対に買ってはいけないのは、こんな中古戸建て
購入したら後悔してしまう中古戸建て、それは傾いている家です。
家の傾きの原因は床や構造、基礎などの劣化やゆがみ、腐食などが挙げられます。他にも、地盤の液状化やずれが生じている可能性があります。
リノベーションで構造や基礎の修繕・強化は不可能ではありませんがコストがかかり、地盤の改善は困難です。また、軟弱な地盤の可能性もあるので地震時は心配です。特に、原因がわからず傾いている家は買ってはいけません。
この3つをクリアしなければ後悔する!必ずチェックするべき項目
中古物件を購入する際は、必ずチェックしておきたいポイントが3つあります。
家の傾きについては、先に述べたようにとても重要なポイントです。外から見たら傾きやゆがみはわかりづらいかもしれませんが、床にゴルフボールやビー玉を置いてみるとコロコロと転がる家、これはアウト。傾いている証拠です。また、プロの道具になりますが、レーザーなどで水平を図る機械もあります。内見してみて気付かないけど、実は傾いていたという場合もありますので、必ずチェックしてください。
感覚的な部分ではあるのですが、物件とのフィーリングは非常に大切です。例えば、室内の明るさ。同じ明るさでも、光が入りすぎてまぶしいと感じたり、暗すぎると感じたり人によって感じ方が異なります。建物の状態(築年数やデザインなど)に関わらず、なぜか心地よくないと感じる家は、リノベーションをしても心地よくないと感じてしまう可能性があります。
車をお持ちなら駐車することを想定して、前面道路幅や接道部分をチェックしてください。ギリギリで何度も切り返さないと駐車が難しい場合、ストレスを抱えてしまうことになります。また、現在はコンパクトカーでも、大きなSUVなどに買い替えたいという方なら、大きな車のサイズでチェックを。駐車場を別で借りなければいけないことになると、駐車場が敷地内にあるという一戸建てのメリットを殺してしまうことになります。
「築年数」は、そんなに重要ではない
▲ 築52年の一戸建てリノベーション施工例(美想空間)
重要視しがちな「築年数」はあまり考えなくていい項目かもしれません。というのも、築浅であっても傾きがあり買ってはいけない家の場合があります。逆に築年数が古くても、メンテナンスが行き届いている家ならば全く問題はありません。
「築浅なら安心」という考え方は捨てましょう。あまり築年数は意識せず、建物の状態をしっかり見極めることをおすすめします。
専門家に聞く、中古戸建ての購入で成功する方法
リノベーション前提で中古戸建てを購入する場合、どうしたら成功するのでしょうか?
株式会社 美想空間
代表取締役社長 建築士・宅地建物取引士 鯛島康雄さん
中古物件購入からサポートしてくれるワンストップ型のリノベーション会社・美想空間。
「中古戸建ての購入の失敗例をたくさん見てきたけれど、そこには共通点がある」という鯛島さんに詳しく聞いてみました。
──リノベーション前提の中古戸建て購入で失敗している人の共通点を教えてください。
鯛島さん:ズバリ、建築のプロと一緒に物件を選んでいないという点です。私の会社は現在は中古物件購入からお手伝いさせてもらっていますが、以前は建築専門のリノベーション会社でした。つまり、お客様が中古戸建てを買う時点では関与していなかったのです。「こんな物件を購入したのでリノベーションしてください」という状態ですね。そうすると、僕の実感値で4割くらいのお客様が失敗していました。「明らかに、コケてる(傾ている)やん」という物件の時もありました。
修繕や補強ができる場合ならいいのですが、地盤や土台、基礎が傾いている時はリノベーションをお断りせざるを得ない場合があります。また、修繕できる場合でも、そこにコストがかかり、やりたいことに予算がかけられなくなります。
──自分自身だけで購入を決めるのは危険ということですか?
鯛島さん: そうですね。建築のプロと一緒に物件を見て、家の状態を把握してから決断することが成功のコツです。お客様と一緒に内見に行って「この家、傾いていますね」と言っても「そうですか?」と気付いていないこともよくあります。また、内装がキレイとか築浅だからとかそういったところに目を奪われがちになりますが、表面だけリフォームしている場合もありますし、築年数は考えなくてもいいと思います。
──ですが、築年数が古い家だといつまで安心して暮らせるのか不安があると思うのですが、例えば築年数30年の木造住宅の場合、あと何年ぐらい住むことができますか?
鯛島さん:木造住宅の場合、メンテナンスさえしっかりしていれば築100年でも大丈夫です。築30年で建て替えなければいけないという心配をされる方も多いですが、重要なのはメンテナンスです。スクラップアンドビルドの時代は終わり、メンテナンスの技術も発達していますし、長く安心して暮らす方法はたくさんあります。
▲ 築52年の一戸建てリノベーション施工例(美想空間)
──家の状態以外にも注意する点はありますか?
鯛島さん:建築面のやりたいことに対してコストがかかる家かどうかを見極めなければいけません。例えば、洋風の家に住みたいと希望しているのに和風の家を購入すると、コストが跳ね上がります。ですから最初からコストを考え計画することが賢い中古戸建の選び方ですね。といっても、一般の方がコストまで見極めるのは難しいと思います。やはり、建築士など建築のプロをともに物件を見学することを強くおすすめします。
──ありがとうございました。中古物件の購入は、建築のプロに相談するのが成功の秘訣!
おそらく物件探しはネットで検索して情報を得て、気になった物件を不動産会社と内見するという段取りで進めているかと思います。ですが、その内見時にぜひともリノベーション会社や建築士といった建築のプロも同行してもらってください。なぜなら、不動産会社は不動産を売る・買うのプロであって、建築のプロではないからです。
どうしても築浅や利便性を重視しがちですが、購入してから思うようなリノベーションができないとなっては本末転倒。家のゆがみや構造、基礎などなかなかシロウトではわかりづらい部分。リノベーション前提なので、リノベーション会社や建築士も気軽に応じてくれるハズです。建築のプロと相談しながら物件を選ぶのが、成功の秘訣です。
取材協力
株式会社 美想空間
中古物件購入からサポートしてくれるワンストップ型のリノベーション会社。一戸建てのリノベーションが得意で、住む人の安心・安全・快適をベースとした上で、あそび=日常生活の余白を楽しめる家づくりを提案。大阪港駅から徒歩2分にあるKLASI COLLEGEでは、リノベーションセミナーやワークショップなどのイベントを随時開催。おしゃれなキッチンなどのショールーム、カフェ、キッズルームもあり、リノベーションのワクワク感を体感することができます。
▲ 築70年の建物をリノベーションした
KLASI COLLEGE
▲ 受付では日替わりでスタッフが
お出迎えしてくれる
筆者
住宅ライター/プロインタビュアー 大内 夏実
株式会社リクルートで情報誌のイロハを学び、独立。不動産・住宅系ライターとして経験を積む。大手ハウスメーカーから小さな街の工務店までさまざまな建築会社の注文住宅施工例やモデルハウスなどを取材し、また実際に購入した方、家を建てた方のインタビューも多数実施。年間100軒ほどの取材に基づいた知識と経験から多くの建築会社の広告戦略なども手掛けている。