おしゃれな家づくり

公開日2025.01.08

新築ではなく、築52年の平屋を家族が選んだ理由【リノベーション事例】

季節によっては週イチでキャンプや海釣りに行くほど、アウトドアが大好きなMさんファミリー。阪神間の社宅にお住まいだったMさんは「これ以上、海から離れたくない」と希望していたにもかかわらず、山並みが美しい川西市に移住しました。その決断は決して妥協ではなかったのです。
「子どもにも、このナチュラルな暮らしが好きになってもらえたら最高」というMさんにこの場所と築52年のリノベーションした家を選んだ理由や暮らしてからの感想をインタビューしました。

定住する家を探すなら、子どもの小学校入学前にと決めていた

▲ 中庭を囲み、L字型に配置された平屋(設計・施工:美想空間)

転勤族で様々な地方の社宅で暮らしていたMさん家族。しかし子どもが転校するのが可哀想と、小学校入学までには定住できる家を探そうと動き出しました。当初からリノベーションに興味があったそう。

「新しいものがいいという感覚があまりなかったですね。それより、大切に使われていたいい家ならば、自分らしい暮らし方に合わせてメンテナンスして、大切に使っていこうという考え方でした。もともと、アンティークとかも好きでしたしね」

さらに、漠然とだけれど一戸建て、特に平屋に憧れていたとか。

「マンションはどうしても音が気になってしまう。子どもがはしゃいでいる時に“走ったらあかん!”と注意するような育て方をしたくなかったんです。特に、ウチの子どもたち、やんちゃですから(笑)」

間違いはないだろうと理解しつつも、心が動かなかった新築戸建ての見学

そうは言っても、新築建売住宅やマンションなども見学に行ったMさん。新築は耐震性や断熱性も高く、設備も整っていて住みやすいだろうなと理解するものの、どうしても心が動かなかったとか。そんな時、奥様からとあるリノベーション会社のショールームに行ってみようとの相談が。奥様がSNSにアップされている施工例の写真が気に入り、フォローしていた会社でした。

そのショールームは倉庫をリノベーションした空間。訪れた瞬間、ご夫婦ともに「この路線いい!!」と心が動いたのだとか。

知らない土地のリノベーション見学。『広い土間』に心が動く

その後、Mさんは海からあまり離れたくないという希望から中古物件を阪神間で探すも、なかなかいい物件に出会えませんでした。長期戦になると覚悟もしていたとか。
そんな時、中古物件を一緒に探してくれていたリノベーション会社から「エリアを広げてみてはどうですか?川西市にあるコンセプトハウス(※)を一度、見学しませんか」という提案が。
※コンセプトハウスとは、リノベーション会社がコンセプトを体現したリノベーション済みモデルハウス兼販売物件のこと

「正直、川西市ってどこ?っていう感覚。全く知らない土地だったので、最小はスルーしていました(笑)。」

しかし、その家を見た時、Mさんの心が動きました。

「土間が広い!! そこでまず、心をわしづかみにされましたね。」

家を探す時、常に存在していた”荷物問題”。
キャンプ大好き、釣り大好き、というアウトドア派のMさんは、とにかく荷物が多い。なので、汚れを気にせず荷物を置くことができる土間に憧れていたとか。車に荷物を詰み込む際にも土間から駐車場がすぐ近くなのでスムーズ。まず、この土間を見てこの家に住みたいという欲がフツフツと湧いてきました。

▲ ご夫婦がひとめで気に入ったという広い土間(設計・施工:美想空間)

思い描いた平屋、受け継いだものを活かした空間が目の前に

さらに家の中に入ると、高い天井には梁と柱が通り、木に包まれ開放感たっぷりのリビング。見晴らしのいいキッチン。まるでバーカウンターのようなキッチンカウンター。広い中庭を囲み、L字型の平屋はMさんの漠然と思い描いていた、まさに理想の平屋でした。また、部屋数もちょうどよく、家族構成にバッチリ。さらに、玄関ドアのガラスや玄関ホールのディスプレイスペースなど以前の家から受け継いだものを随所に活かされている点も気に入りました。

▲ 梁を見せた勾配天井のLDKは平屋ならではの開放感! (設計・施工:美想空間)

「ぼんやりイメージしていた家が目の前に現れて、すぐに買いたいと思いましたね。この家での暮らしのイメージが湧きました。」

ということで、急転直下。川西市のリノベーション済み物件を購入するという、家探し当初は思っていなかった結論にたどり着きました。

子どもの学校問題、通勤問題など、まだ解決すべきことはたくさん

とはいうものの、解決しなければいけない問題はたくさんありました。まずは子どもの学校問題。Mさんにとってこれが一番重要な問題でしたが、小学校・中学校・高校まで子どもの足でも無理なく通うことができる範囲にあることが判明。また、大阪都心に通勤するMさんにとって通勤の足は能勢電鉄になるのですが、駅までは徒歩4分と駅近であり10分に1分の間隔で頻発、終電も遅いということでクリア。

週末のキャンプ地や釣りスポットに遠くなるという問題は、それなりに距離は遠くなるけれど、高速への入り口が近いので和歌山へも明石へも思いのほか時間がかからないことがわかり、クリア。都心より自然派の奥様もロケーションが気に入り、家族満場一致でこの場所を定住の地にすることを決断されたそう。

▲ 釣った魚を調理するのに便利な広いキッチンはご夫婦ともにお気に入り(設計・施工:美想空間)

▲ 左)【Before】玄関ホール 右:【After】玄関ホール奥はディスプレイスペースに

「築51年」でも不安はなかった、メンテナンスの工程を確認できたから

築52年の木造住宅と聞くと、一般的にとても古く耐震性など見えない部分は大丈夫なの?という疑問も湧きます。そこでMさんに「築52年ということで不安はありませんでしたか?」という質問をしてみたところ、

「そこは全く問題なかったです。YouTubeで全部公開されていたので。柱を補強し、耐震性を高める金物を付けたり、断熱材を入れたりする工事の過程を確認できたので安心です。それに、過度な性能は必要ない。夏は暑すぎず、冬は寒すぎなかったら大丈夫でしょう、という考え方でした」

施工した会社が見えない部分の工事を公開しているのが大きな安心材料となり、不安なく購入を決めることができました。

▲ 左)【Before】柱を現した状態、右)【After】新たに柱を追加して耐震性を向上

▲ 左)土台に炭素繊維シートを取り付け強度を上げる様子 右)壁・天井・床には新たに断熱材をビッシリ

子どもが庭に鳥を見つけてはしゃぐ。庭の木を剪定する。新たな発見の日々

暮らして3か月ほどたち、毎日の暮らしに不便はまったく感じない上に、新たな発見がある日々を楽しんでいるそう。

「例えば、川西市民ならおトクに使えるキャンプ場が近くにあるとか、昭和の雰囲気漂う温泉があって、そこがとっても気持ちよくて家族みんな大好きになったとか。あと、能勢電鉄も大好き! イベント列車の企画に参加もしましたし、駅長さんの存在が近いローカル感がたまらない。“駅長さんがんばれ!“って勝手に応援しています(笑)。 乗り換えの川西能勢口は飲食店や買い物施設もそろっていて、都会的な使い方もできる。いい飲み屋も見つけました(笑)」

また、家の中にいても自然を感じる暮らしは子育ての環境としても良かったと実感。

「子どもたちが庭のサルスベリの木の実をついばみに来る鳥を見つけて、はしゃぐんですよ。カタツムリを見つけて遊んだり。今まで、キャンプで感じるしかなかった自然が今は日常。子どもにとっていい環境だなと実感しています」

ご自身もこれまで経験したことなかった“庭の手入れ”を楽しんでいるご様子。庭掃除をするブロワーや木を剪定するハサミなど道具もそろえ、汗だくになって作業をしているとの事。裏庭に物置を設置し、今は何もない法面にフェンスをして…など今後の計画も楽しそうに教えてくれました。

▲ 内と外を結ぶ回廊のようなウッドデッキ。子どもたちはぐるぐると走り回って遊んでいるとか(設計・施工:美想空間)

今は子どもたちに「ナチュラルな暮らしの良さ」を伝えていきたい

これまでは仕事帰りにお酒を飲んで帰るというのが日常化していたというMさん。ところがこの家に引っ越してからは「早く家に帰りたい」という気持ちが芽生えたとか。

「あまり執着心を持たないタイプの人間でしたが、この家には愛着を持つようになりました。“帰りたくなる気持ちになる”という自分も気に入っています。」

振り返ると自分がしたい暮らしをイメージできる家に出会えず、何かをガマンしなければいけないとさまよっていたところ、この家が人生の道筋をつけてくれたと感じているというMさん。

「子どもたちは大人になって独立し、いずれこの家を出ていく。けど、この自然的なナチュラルな暮らしをずっと好きでいてくれたらいいな、と思っています」

この家に出会うまでは、家から離れた場所で「遊び」を探していたけれど、今は家でも「遊びがある暮らし」を楽しんでいるMさんファミリー。これからも愛すべき暮らし方を満喫できる家に出会うことができました。

▲ 土を感じ、風を感じ、四季を感じる暮らしを家族全員が堪能していました

DATA

家族構成:夫婦+子ども2人
リノベーション面積:122.94㎡
築年数:51年(1972年4月)
間取り:5LDK+納戸→3LDK+土間+ファミリークローゼット+パントリー
設計・施工:美想空間

Before

After

取材協力

株式会社 美想空間

中古物件購入からサポートしてくれるワンストップ型のリノベーション会社。一戸建てのリノベーションが得意で、住む人の安心・安全・快適をベースとした上で、あそび=日常生活の余白を楽しめる家づくりを提案。大阪港駅から徒歩2分にあるKLASI COLLEGEでは、リノベーションセミナーやワークショップなどのイベントを随時開催。おしゃれなキッチンなどのショールーム、カフェ、キッズルームもあり、リノベーションのワクワク感を体感することができます。

▲ 築70年の建物をリノベーションした
KLASI COLLEGE

▲ 受付では日替わりでスタッフが
お出迎えしてくれる

筆者

著者

住宅ライター/プロインタビュアー 大内 夏実

株式会社リクルートで情報誌のイロハを学び、独立。不動産・住宅系ライターとして経験を積む。大手ハウスメーカーから小さな街の工務店までさまざまな建築会社の注文住宅施工例やモデルハウスなどを取材し、また実際に購入した方、家を建てた方のインタビューも多数実施。年間100軒ほどの取材に基づいた知識と経験から多くの建築会社の広告戦略なども手掛けている。

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