公開日2025.06.23
仕事部屋のレイアウトはどう考える?おしゃれにするコツと配置例

テレワークやリモートワークの普及に伴い、自宅に独立した仕事部屋を設ける方が増えています。限られた空間の中で集中できる環境をつくりながら、なおかつおしゃれな空間にしたいと考える方も多いでしょう。
本記事では、仕事部屋における作業効率とデザイン性を両立させた理想のレイアウトについて、具体的なパターンやコツをご紹介します。これから仕事部屋を作る方はもちろん、既存の仕事部屋のレイアウトを見直したい方はぜひ参考にしてください。
仕事部屋のレイアウトの基本
まず、自宅の仕事部屋を効率よく使うために、レイアウトの基本を押さえることが大切です。ここでは、快適な仕事部屋のレイアウトのポイントをお伝えします。
1.必要な作業スペースを把握する

仕事部屋のレイアウトを考える際は、デスクやチェアの設置だけでなく、書類を広げる作業スペースや収納場所も十分に確保することが重要です。
デスクの幅は120cm以上、奥行きは60cm程度あると快適に作業ができます。また、チェアを引いて座るためには、デスク後方に最低70cm程度の空間が必要です。
実際の立ち座りや体の動きを意識してレイアウトを工夫すれば、長時間作業しても疲れにくい快適な空間をつくることができます。
2.コンセントの位置を踏まえてデスクを配置する

自宅の仕事部屋でのPC作業には電源が欠かせません。デスクを配置する際は、コンセントにアクセスしやすく、機器を効率よく設置できる場所を選びましょう。
コンセントが遠い場合、延長コードを使うことになりますが、配線が床に散らばると見た目が悪くなるだけでなく、つまずく危険もあります。延長コードが必要な場合は、コードをまとめて配線カバーを利用して床に固定するといった、見た目と安全性を両立させる工夫が大切です。
これから家を建てる場合のおすすめのコンセントの位置を以下で詳しく説明しています。
【新築を建てる人必見!】空間別・おすすめコンセント位置8選
3.安定したネット回線環境を整備する

また、仕事部屋でPC作業をするためには、安定したネット回線が不可欠です。接続環境は、主にWi-Fiと有線LANに分かれます。オンライン会議や、画像や映像などデータ容量の大きなものをダウンロードする機会が多い場合は、Wi-Fiよりも有線LANの方が通信速度が速く、安定しているので快適に利用できます。
Wi-Fiを使用したい場合は、できるだけ安定した通信環境にするために「ルーター」をPC近くに設置することがおすすめです。近くに置けない場合は、中継器やメッシュWi-Fiを使って電波を強化する方法もあります。いずれの場合も、配線はつまずく危険があるのでできるだけ床に這わせないこと。コードカバーやモールを活用して整備すると見た目もよく安全です。
ルーターのおすすめの設置場所については、以下の記事を参考にしてください。
【新築戸建て】光回線のルーターはどこに置く?2階でもネットを快適に使うには
また、これから家を建てる場合は、仕事部屋の壁内に有線LANを通しておくことがおすすめです。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
【新築戸建て】有線LANの配線は必要?空配管を準備した方がいい理由
4.整理整頓のしやすさを意識する

効率的な作業には、必要なものをすぐに取り出せる整理整頓の仕組みづくりが欠かせません。使用頻度の高い資料は、手を伸ばせば届く位置にブックシェルフを置くと便利です。また、引き出し付きのデスクやデスク下にキャスター付きワゴンを設置すれば、小物や書類をまとめて収納でき、作業スペースをすっきり保てます。
引き出しやワゴンを置くスペースがない場合は、壁面を活用することも一案です。吊戸棚や吊本棚は壁にビスで固定するものが一般的ですが、ホチキスで壁に大きな穴を開けずに取り付けられるものも市販されています。スペースの使い方を工夫することで、作業効率もぐっと高まるでしょう。
5.まぶしさや影が気にならない照明環境を整える

仕事部屋の照明環境は作業効率だけでなく、目の健康にも影響します。まぶしく感じる、または暗く感じると集中力にも影響するため、適切な照明選びが重要です。
天井照明のほかに、デスクライトを組み合わせることで手元を明るくしつつ全体の光量も確保できます。自然光に近い昼白色や白色は、長時間の作業でも目が疲れにくい色味です。また、照明とデスクの位置関係を考慮して、光の当たる向きも工夫しましょう。
LED照明の色の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
部屋に最適なLEDの明るさ・色は?知っておきたい照明の知識と選び方
【仕事部屋】おすすめのデスクレイアウトパターン
ここでは、仕事内容や部屋の広さに合わせて選べる代表的なデスクのレイアウトパターンを4つ紹介します。それぞれの特徴を理解して、最適な作業環境をつくりましょう。
デスクを壁側に配置するレイアウト

デスクを壁側に配置するレイアウトは、視界に入る情報が少ないため集中力を重視したい方に特におすすめのレイアウトです。
シンプルで取り入れやすく、壁面に棚やボードを設置して収納や掲示スペースを確保できる点も魅力です。また、ケーブル類も壁側にまとめてすっきりと隠せます。
小さな部屋にも適したレイアウトですが、視覚的に圧迫感を感じやすい点や、長時間同じ方向を向くことで気分転換がしづらい点には注意が必要です。壁に面しているため暗くなりがちなこのレイアウトは、デスク周りの照明を工夫して、目に優しい環境を心がけましょう。
デスクを窓側に配置するレイアウト

デスクを窓側に配置するレイアウトは、自然光を活かしたい方や開放感を重視する方におすすめです。日中は自然光で手元が明るくなり、照明を節約できるうえ、外の景色を見ることで目のリフレッシュにもつながります。また、視界が広がることで気分転換になり、アイデアの発想にも好影響を与えるでしょう。
ただし、直射日光によるまぶしさや冬場の冷気には注意が必要です。これらは、ブラインドやカーテンなどウィンドウトリートメントを工夫することで快適な作業環境を保てます。明るく開放的な空間で作業したい方にぴったりのレイアウトです。
コーナーを活用したL字型レイアウト

L字型レイアウトは、部屋のコーナーを有効活用できるため、限られたスペースでも作業エリアを広く確保できるのが特徴です。デスクを壁に沿って配置することで、デッドスペースになりがちな角部分も収納や書類置き場として活用できます。
また、複数の作業を同時に行いやすく、PC作業と書類作業を分けるのに便利です。資料を頻繁に使う業務や、マルチタスクの作業に適したレイアウトといえるでしょう。
デスクを部屋の中央に配置するレイアウト

デスクを部屋の中央に配置するアイランド型レイアウトは、開放感があり作業スペースを広く感じられるのがメリットです。視界が開けることで、ストレスの軽減やリフレッシュ効果も期待できます。
ただ、コンセントや配線の確保が難しいため工夫が必要です。床の高さを少し上げて二重構造にする「OAフロア」や「フリーアクセスフロア」と呼ばれる床材を使い、ケーブルを床の下に通せば、床が雑然とすることもありません。
【仕事部屋】おしゃれで実用的なレイアウトとコーディネート例
ここでは、おしゃれで実用的な仕事部屋のレイアウトとコーディネート例を紹介します。デザイン性と機能性を両立した空間は、仕事のモチベーション向上にもつながりますよ。
リラックスしながら効率アップできる、アイランド型ワークスペース

中央に配置されたL字型のデスクが、空間の主役になっているレイアウト。明るい木目調の天板と白を基調としたカラーでまとめ、圧迫感のないすっきりとした印象に。
デスク周囲に壁がないため、開放感があり、視線を遮らずにリラックスした状態での作業が可能です。L字形は、手の届く範囲にPC・文具・資料などを効率よく配置でき、体を動かすことなく快適に作業が進められます。
「抜け感」と「整然」を両立した、スタイリッシュなワークスペース

壁の中央に広めのデスクを配置し、デスクやキャビネットなど仕事に必要なアイテムを1か所にまとめた、狭めの仕事部屋でも無理なく使えるレイアウトです。よく使う資料はデスク上のファイルボックスにまとめ、手が届く範囲に必要なものを集約しています。
デスク上の壁にはオープンシェルフを設置し、収納力を確保しながらもディスプレイによる「抜け感」と広がりを演出しています。
ルーバー×クロスが魅せる、上質モダンなワークスペース

壁面に縦型ルーバーとクロスを組み合わせた、視覚的にも機能的にも特徴のある仕事部屋の例です。縦ラインが美しいルーバーが空間を引き締めながら、クロスと組み合わさることで奥行きのあるモダンな雰囲気にまとまっています。
ルーバーとは、細長い板状の部材を隙間を空けて平行に並べたものを指します。木製のルーバーは吸音効果があるため、PCやスピーカーなど音の出るものはルーバーの近くにレイアウトすることがおすすめです。
最近では、T型画鋲と両面テープを使ってDIYで施工できるルーバーも市販されています。簡単に取り付けたり取り外したりできるので、原状回復が必要な部屋でも取り入れやすいでしょう。
【仕事部屋】おしゃれに整えるインテリアのコツ
快適で効率的な仕事環境をつくるには、機能性だけでなくデザイン性も大切です。ここでは、仕事部屋をおしゃれに整える5つのインテリアの工夫をご紹介します。
1.テイストやカラーを統一して空間に一体感を持たせる

仕事部屋をおしゃれに見せるには、デザインテイストとカラーの統一が重要です。北欧風・モダン・ナチュラルなど好みのインテリアテイストを明確にしてから家具や小物を揃えると空間に一体感が生まれます。
使用するカラーは、3色以内に抑えるのが基本です。壁や床など広い面積を占める「ベースカラー」を空間全体の70%、家具などの「アソートカラー」を空間の25%、クッションや雑貨で使う「アクセントカラー」を空間の5%で配色すると、メリハリのある空間が完成します。
2.観葉植物やグリーンを配置する

仕事部屋に観葉植物が少しあるだけでも、自然の癒しやリフレッシュ効果を感じられます。グリーンは目の疲れを和らげ、集中力を高める効果があるため、仕事部屋に最適です。
ただ、観葉植物には水やりが必要になるため、PCや周辺機器など精密機器の近くに置くことは避けましょう。精密機器の近くに置きたい場合は、フェイクグリーンがおすすめです。手間もかからず、安全にグリーンの癒し効果を演出できます。
観葉植物をおしゃれに飾るコツは、以下の記事で詳しく紹介しています。
インテリアになる観葉植物の飾り方とセンスよく見せるコツ
3.デザイン性の高い家具を取り入れる

長い時間を過ごす仕事部屋なら、デスクやチェア、収納家具など、空間の中心となるアイテムのデザインにこだわってみては?
シンプルながら美しいシルエットや、木材や金属など上質な素材感が感じられる家具を選ぶと、仕事のモチベーションも向上します。
なかでも、著名なデザイナーやブランドが手掛けたデザイナーズ家具は、芸術性と機能性を兼ね備えているため仕事部屋の家具としてもおすすめです。アートピースのような存在感があり、仕事部屋をワンランク上のおしゃれな空間に演出してくれます。
4.カーテンやラグなどの素材・デザインにこだわる

カーテンやラグ、クッションといったファブリック類は、空間に温かみや洗練された雰囲気を演出します。
特にラグは、デスク周りに敷くことでワークスペースを視覚的に区切る「ゾーニング」の役割も果たすアイテムです。仕事部屋では、チェアの動きを妨げない、滑りのよい素材や薄手のタイプを選びましょう。
また、カーテンやブラインドなどのウィンドウトリートメントは、デザインだけでなく、光の入り方や遮音性を考慮することが大切です。
5.配線や収納をすっきりまとめる

仕事部屋では、視界に入るもの全てがすっきり整っていることが大切です。デスク周りのケーブルや机の上に積まれた書類は、空間を雑然と見せる一因となり、作業効率を低下させます。
配線は、ケーブルオーガナイザーやケーブルボックスを使って目立たないようにまとめ、足元もすっきりさせましょう。また、書類や小物はデザイン性と機能性を兼ね備えた収納ボックスやファイルで整理するのがおすすめです。目に入る情報を少なくすることで空間に統一感が生まれ、洗練された印象に仕上がります。
まとめ
仕事部屋のレイアウトは、作業の効率や集中力に大きく影響します。動線や収納、ネット環境といった実用性を整えたうえで、自分の仕事内容やライフスタイルに合った工夫を取り入れることが大切です。
さらに、カラーや素材に統一感を持たせ、観葉植物などでアクセントを加えれば、快適さとデザイン性のバランスが取れた空間が完成します。自分らしく働ける、機能的でおしゃれなワークスペースをぜひつくりましょう。
アドバイザー
インテリアコーディネーター / 整理収納アドバイザー1級
平井 千恵美
さまざまな市町村のまちづくりに携わりながら、人と住空間のつながりを見出す活動を行う。前職では注文住宅の構造設計を担当。自宅のリフォームやDIYの経験も多数。