おしゃれな家づくり

2023.10.11

時代とともに変化する日本のリビング。令和は、家族それぞれが趣味を楽しめる場所に

夫が仕事に行き妻は家事や育児に忙しい専業主婦という昭和のスタイルから、夫婦が共働きで家事や育児は共同作業という令和のスタイルへと変化したように、家の間取りもライフスタイルに合うように変化しています。

特にリビングは「家族の関係」を象徴する場所。リビングの歴史をひも解き、トレンドを探ると現代の家族の暮らし方を叶える令和のリビングの形が見えてきます。自分のライフスタイルにあったリビングを見つけるためにも、リビングの変遷に目を向けてみましょう。

リビングの変化の流れ(昭和~令和)

【昭和前・中期】戦後~高度成長期まで

和室の居間と応接間

ご飯を食べる「居間」とお客様をお招きする「応接間」

この頃にはリビングという考え方はまだ一般的ではありません。家族だんらんの場所は居間です。某国民的アニメでも家族がちゃぶ台を囲んだ食事シーンはよく見られますよね。その場所が居間であり、今のリビングのような役割をしている場所です。 居間は畳敷きの和室で、ちゃぶ台を出してご飯を食べる場所でもあり、お茶を飲んでほっと一息つく場所でもあり、時には布団を敷いて寝る場所でもありました。

お客様をお通しするのは居間とは別に応接間という客間があり、床の間などが設えられ居間よりも立派に造られていました。居間は家族一緒に暮らしを楽しむ場所というよりも、食事をして、寝て、生活する場所という役割が強く、あくまで家族のプライベート空間で、応接間よりも狭く質素な空間であることが多かったようです。

【昭和中・後期】高度成長期~昭和後期

リビングが一般的に

リビングは憧れの空間から一般的にひろく浸透

高度成長期の住宅不足を補うために、団地の供給をはじめ建売住宅の建築ラッシュが始まりました。この時からリビング・ダイニング・キッチン、つまりLDKという間取りが広まりました。当初、ダイニングやリビングがある間取りは新婚カップルの憧れの的であり、流行の最先端でした。また、住宅が狭かったこともあり、リビングも客間としての役割を果たすようになっていきました。板張りのリビングに絨毯を敷いてローテーブルとソファを置き、食事後は家族でテレビ鑑賞を楽しむというのが暮らしのスタイルとして定着。キッチンとダイニングが一体化され、リビングは仕切られている間取りが一般的になりました。

【昭和後期~平成前期】

リビング+和室で広がりを

リビング+ダイニング+キッチンが一体化

リビングとダイニング・キッチンを仕切るのではなく、LDKが一体化され、つながる間取りが若いファミリーを中心に好まれるようになりました。また、来客時に和室でかしこまったおもてなしをするより、ワイワイとにぎやかに過ごすホームパーティのような形をとることが多くなり、子どもの誕生日会や友人とのクリスマス会などができる広いリビングを希望する方が増加。

リビングの隣に和室を配置して、普段はふすまを開けてリビングと一体化できる間取りが定番に。以前よりも家族の一体感や快適性、心地よさが重視され、リビングは広さと開放感が求められるようになりました。

【平成後期】

「家族のつながり」重視のリビングへ

リビング階段やスタディカウンターが人気に

子どもが個室にこもる事が敬遠されるようになり、できるだけ親と子どもが顔をあわせるような間取りが求められるようになりました。特に思春期の子どもと会話する機会を増やし、連れてくる友達の顔もわかるように、玄関からリビングを通らないと2階の個室へ行くことができないリビング階段が人気に。また、子どもが宿題をするためのスタディカウンターをリビングに設けるなど、できるだけ親の目が届くところで子どもが過ごせるように工夫することも。リビングは食後のだんらんの場だけでなく、家族が多目的に過ごせる場所として役割が変化していきました。

【令 和】

より多様性のある場所へと変化

アウトドアリビングやセカンドリビングなど多種多様に

例えばアウトドア好きな家族ならバーベキューやベランピングを楽しめるようなアウトドアリビング、読書好きな家族なら本棚を造り付けたセカンドリビングなど、メインのリビングだけでなく、家族の生活スタイルに合わせて使い分けられるような多様性のある場所へと変化。
リモートワークができるようにデスクを造り付けた書斎コーナーや趣味を楽しめるワークスペースをリビングの一角に設けるのも人気に。ベースにあるのが家族の気配をいつも感じていたいという思い。家族が思い思いに好きな事をしながらも一緒にいる場所、それが令和のリビングのスタイルです。

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まとめ

時代を追って人気のリビングの形を探ってみると、家族の関係性が見えてきました。
単に生活をする場所としての居間から、家族みんなが同じことに夢中になるリビングへと変化していったのが昭和から平成。平成から令和は家族がそれぞれやりたい事を尊重しながらも家族が一緒にいることが重視されるリビングへと変化をしています。

これから家を建てるなら、自分たち家族がどういう関係でいたいかを考えてみれば、ベストなリビングの形が見えてくるのではないでしょうか。

筆者

著者

住宅ライター/プロインタビュアー 大内 夏実

株式会社リクルートで情報誌のイロハを学び、独立。不動産・住宅系ライターとして経験を積む。大手ハウスメーカーから小さな街の工務店までさまざまな建築会社の注文住宅施工例やモデルハウスなどを取材し、また実際に購入した方、家を建てた方のインタビューも多数実施。年間100軒ほどの取材に基づいた知識と経験から多くの建築会社の広告戦略なども手掛けている。

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