おしゃれな家づくり

公開日2024.07.03

リノベーション事例『新築では出せない風合い。築45年平屋で暮らす』

生活が便利で都心へのアクセスもスムーズだった団地暮らしから、ご夫婦が移住するきっかけになった郊外の「築45年のリノベーションした平屋」。この平屋にどんな魅力があったのか、のぞいてみましょう。

引っ越しが大好きなご夫婦の目に留まった平屋とは?

▲ イエローの玄関ドアとグレーの外壁がマッチした外観。平屋で眺望がとてもいい高台ロケーション

駅から坂道を上ること数分、イエローの玄関ドアが印象的な高台の平屋が登場。振り返ると坂道を上った甲斐があったと実感するような、山並みを見晴らす清々しい風景が広がっています。

▲ 梁を見せた高い天井で、平屋ならではの開放的な住空間。床はナラ無垢フローリング。

初めてこの家を訪れた時の印象を「木ですね。木の印象がとても強かったです。この家、落ち着くなぁと感じました」と語るご主人。もともとは都心へのアクセスも良く、ショッピングもグルメも楽しめる街に暮らしていたUさんご夫婦。住まいに対してはフレキシブルな考え方で、「図面を見たり、物件を見学したりすることが好きで、引っ越しも大好き。いつも物件をチェックしていました」と奥様。

▲ 9歳になる愛犬とUさまご夫婦。

ある不動産サイトで築45年の古家をリノベーションしたこの家の内装写真を見て、ご夫婦ともに気に入り、オープンハウス(内覧見学会)を予約。もうすぐ9歳になる愛犬もいることから、ペットOKでありかつDIYなどカスタマイズもできる家がいいという希望もあったので、賃貸では条件にあう物件は少なく、買うなら一戸建てと決めていました。

2階建ての家を検討したこともあったけれど、フロアがちがうと距離感があるので、一体感がある家がいいと実感。その頃からワンフロアで家族の気配を感じられる平屋のスタイルが気になっていました。

▲ 【Before】リノベーション前の外観

車が無くても生活できる?周辺はどんな環境?「まずは土地を知る」

家自体の良さは写真を見てかなり理解できていたものの、訪れたことがない場所。もともと車を持たず、移動手段は公共交通機関と自転車がメインだったこともあり、郊外で生活ができるのかという不安があったというUさんご夫婦。ならば、行ってみよう!ということでオープンハウス(内覧見学会)の前に自分たちで立地の調査に出かけました。

▲ 玄関ドアの窓から見る風景。遠くまで連なる山並みが見える晴れやかな風景が広がる

実際に行ってみると、梅田からは1時間もかからず、乗り換えの駅には大型スーパーをはじめ様々なショッピング施設があり思っている以上に便利そう。駅からは坂道を上るけれど距離は近いし、何と言っても景色がいい!これなら不自由なく暮らせそうだと確信した上に、この素晴らしい環境で暮らしたいと実感しました。

▲ 玄関からLDKに続く廊下に洗面台がある斬新な間取り。造作されたオリジナルデザインの洗面台がおしゃれ

見た目の良さだけで決めたわけじゃない、断熱・耐震も確認

実は見た目のデザイン性や平屋という部分だけが気に入ってこの家を購入しようと決めた訳ではなかったUさんご夫婦。築45年ということもあり、断熱性や耐震性など見えないけれど重要な部分もしっかり確認していました。壁・床・天井に断熱材を入れて強化されており、基礎補強もされていることを事前に確認。「もし手を付けていなかったら工事をしなければと思っていたので、ほぼスケルトンにして耐震も断熱もしっかりやってくれているという情報を得て、安心しました」と奥様。

▲ 柱も梁も使えるものはそのまま使い、補強もして耐震性をアップ。安全性も住まいにとって重要なファクター

窓だけが以前のままということで、寒い日は窓から冷気が入ることは感じるけれど、それほど苦にならないとのこと。ガスストーブが使えるようにリビングにはガス栓が設置。天井付近に熱がこもらないように新たに通気口を設けてあるので、夏の暑さも心配がありません。「窓を開けると風が家の中を通り抜けていくので、とても心地いいです」と築45年の家ながら快適に暮らせているご様子です。

▲ 玄関土間はウォークスルークローゼットとつながる。グレーで縁取った垂れ壁の角がアールになっているのも見逃せない

オープンタイプのキッチンは使い勝手もバツグン

この家に暮らして約半年。お気に入りの場所のひとつがキッチンです。家全体がグレーの壁と木で落ち着いたカラーでまとまっていますが、アクセントになっているのがキッチンのグリーンのタイル。また、造りつけられた見せる収納棚には、ご主人がセレクトした作家さんのうつわが並び、食器としてだけでなくインテリアとしての役割も担っています。

▲ グリーンのタイルが印象的なキッチン。

▲ 背面の棚は造り付け。お気に入りの作家さんのうつわが並ぶ

最初はいるかな?と思っていた海外製の食洗器は、今では奥様にとってなくてはならない存在だそう。「以前の家は壁付けタイプで、リビングに背を向けて料理や片付けをしていたのですが、対面のオープンタイプはリビングとの一体感がいいですね」とご主人。家事がラクになる便利機能だけでなく、家族がつながる間取りもお気に入りです。

家で仕事、家で楽しむ。家にいる時間が長いからこそ、この家でよかった

▲ 平日のワークタイムは仕事部屋にこもることが多いUさんご夫婦。聞こえてくるのは鳥のさえずり

自宅で仕事をすることが多いご夫婦にとって、集中できる仕事部屋の確保はマスト。以前の家は生活が便利だった反面、隣の幼稚園からにぎやかな声が聞こえ、大通りに面していたので車の音などは深夜まで騒々しかったとか。現在は聞こえてくるのは鳥のさえずり。「以前はリモート会議をしていてもにぎやかな声や車の音が入ってきたのですが、今はとっても静か。仕事に集中しやすい環境ではかどります」と奥様。仕事中にふと外を見ると梅がキレイだな、桜が咲いてきたな、などと季節の変化を楽しむのが気分転換になるそう。

▲ 気分転換にウッドデッキでストレッチをすることも

また、週に2日ほど仕事で大阪市内に出かけるけれど、その距離感もおっくうに感じていません。「たまに都心に行くからこそ、都心の良さもわかるしこの環境の良さが身に染みるというか。1時間もかからないのにこんなに自然豊かで落ち着く場所っていいなと心から思います」。

住まいへの理想はまだまだ続く

実は、特に自然豊かな場所で暮らしたいと望んで移住したわけではないというUさんご夫婦。たまたま見つけた家が自然を身近に感じられるのどかな環境であり、そこでの暮らしがご夫婦にはぴったりだったとか。まだ結婚して間がなく、ふたり暮らし歴も浅いからこそ、リノベーション済みの物件が良かったと語ります。

▲ 「新築では出せない風合いがある家です」とUさんご夫婦

いったん素敵に仕上げてくれた住空間で暮らすことで、自分たちにとって必要な事が見えてくるだろうという思いがあるようです。

「この家が最後とは思っていません。景観や立地などこの家よりもっと気にいった場所があれば、リノベーションなり注文住宅なり、イチから考えてみるのも面白いかな、と思っています」とまだまだ続く、住まいへの理想も教えてくれました。

DATA

  • 家族構成:夫婦
  • リノベーション面積:93㎡
  • 築年数:45年
  • 間取り:4K→2LDK+土間収納+WIC+パントリー
  • 設計・施工:美想空間

取材協力

株式会社 美想空間

中古物件購入からサポートしてくれるワンストップ型のリノベーション会社。一戸建てのリノベーションが得意で、住む人の安心・安全・快適をベースとした上で、あそび=日常生活の余白を楽しめる家づくりを提案。大阪港駅から徒歩2分にあるKLASI COLLEGEでは、リノベーションセミナーやワークショップなどのイベントを随時開催。おしゃれなキッチンなどのショールーム、カフェ、キッズルームもあり、リノベーションのワクワク感を体感することができます。

▲ 築70年の建物をリノベーションした
KLASI COLLEGE

▲ 受付では日替わりでスタッフが
お出迎えしてくれる

筆者

著者

住宅ライター/プロインタビュアー 大内 夏実

株式会社リクルートで情報誌のイロハを学び、独立。不動産・住宅系ライターとして経験を積む。大手ハウスメーカーから小さな街の工務店までさまざまな建築会社の注文住宅施工例やモデルハウスなどを取材し、また実際に購入した方、家を建てた方のインタビューも多数実施。年間100軒ほどの取材に基づいた知識と経験から多くの建築会社の広告戦略なども手掛けている。

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