公開日2025.03.11
リフォームするなら50代・60代で|老後に後悔しない4つのポイント

リフォームをしようと思うきっかけは「お風呂が使えなくなった」とか「ガスコンロの三ツ口のうち二口が壊れた」など負の解消のためがほとんど。戸建てでもマンション住まいでも50代・60代でリフォームを検討中なら壊れた設備を入れ替えるだけでなく、この機会に住まいを見つめ直してみてはいかがでしょうか?
50代・60代にリフォームをおすすめする理由と成功させるために検討すべきポイントをご紹介しましょう。
50代・60代でのリフォームをおすすめする理由
住まいを見つめ直すいいタイミング

子育てしやすい家に住みたいと思い20代・30代で新居を購入した方は二、三十年と経つと家族構成が変わり、住まいに求めるものも変化していきます。50代・60代でのリフォームをおすすめしたい理由は、リフォームして『快適になった家』をこれからも長く使うことができるからです。
さらに、子どもが進学・就職で独立して使わない部屋がある、夫婦ふたりでの暮らしに大きなダイニングテーブルはいらないなど住まいの無駄なところ、これからの人生に必要なことが見えてくる年代だからこそ、リフォームをするのにいいタイミングだと言えます。
劣化した設備だけでは結局、不便?まとめてリフォームを

壊れたキッチンだけ、お風呂だけなど個別に劣化した箇所のリフォームをよくしますが、それではその都度リフォーム会社に見積もりをとり、比較検討し、掃除をするなど何度も手間がかかってしまいます。個別ではなく、まとめてリフォームすると一気に片付けることができ、時間と手間が省けます。また、個別にするよりまとめてリフォームする方がコストダウンする可能性が高いです。
家や設備が使いづらいなと感じながらもだましだまし生活して、70代・80代になってリフォームするかというと年金生活でリフォームする意欲もなくなり、結局、もっと古くなった設備や使いづらい間取りのまま不便に暮らすという事になりかねません。
老後が快適になる、後悔しないリフォームの4つのポイント
こからは、50代・60代でリフォームする際の、老後に満足できる空間づくりや取り入れたい設備について4つ紹介します。
1. 退職後に「趣味を楽しめる部屋」をつくっておく

50代・60代の方は退職後の暮らしをイメージしてみてください。ほとんどの方は家で過ごす時間が格段に長くなります。「ウクレレを習おう」「書道をしよう」「革細工もチャレンジしたい」など、ずっとやりたいと思っていた事を始めようと考えている方も少なくないはずです。
でも、そのための部屋やデスクはありますか?
空いたままの子ども部屋はあっても、自分の部屋はないという方も多いのではないででしょうか。
リビングやダイニングテーブルを使うと集中できなかったり、家族のじゃまになったりして趣味を謳歌できないかもしれません。趣味を楽しめる空間づくりは退職後の人生を豊かにするためにも必要です。
2. 1階のみで生活できるようにしておく

今二階建て以上の戸建てにお住まいの方は、この先階段の上り下りがしんどくなる時がやってくるかもしれません。そんな時のために、1階のみで暮らせるように間取りを工夫しておきましょう。
今、和室で布団を敷いて寝ている方は、将来的にベッドで寝起きできるようにすると快適になります。1階がLDK+和室なら、和室を洋室に変えてベッドを置けるようにする、2階のベランダに洗濯物を干しているなら、1階に干すことができるようなランドリースペースをつくる、などのリフォームも検討しましょう。今は全く問題がなくても、70代・80代になると階段の上り下りが原因でケガをしてしまう可能性もあります。10年後、20年後を見据えて今のうちにバリアフリーを準備しておくのは賢い選択かもしれません。
二階建てでも平屋のように暮らせる間取りについて以下の記事で詳しく紹介しています。
平屋みたいに暮らせる二階建て。「平屋風」間取りがおすすめの理由
3. 家事ラクの設備を導入して家事の手間を減らす

年齢を重ねると、これまで苦にならなかったこともおっくうになってくることがあります。今まで毎日していたお掃除を2日に1回、1週間に1回など徐々に回数を減らし、清潔感がなくなることも。キッチンやお風呂、トイレなどの設備のお手入れをラクにしておくことは老後を快適にするコツです。
特に、新築当時から一度も設備を入れ替えていない方は、最新のキッチンやお風呂、トイレが汚れにくくお手入れしやすいことに驚くでしょう。
まだ壊れていないし、使えるからと思いリフォームをしない方も多いと思いますが、壊れてからではじっくり検討する時間がありません。デザインが良く、機能的なものをコストも考えてじっくり比較検討したいなら、完全に壊れる前にリフォームすることをおすすめします。
家事ラクの最新キッチン設備については以下の記事で詳しく紹介しています。
IHと食洗機はここまで進化!パナソニックの最新キッチンを体験
4. 断熱性を向上してヒートショックの危険を回避

特に冬になると耳にする「ヒートショック」とは、急激な温度変化によって血圧が急激に変動し、それが原因で心筋梗塞や脳卒中などの重大な健康問題が発生することを指します。例えば、暖かいリビングから寒い脱衣室で服を脱ぎ、熱い湯船に入ると血圧が急激に高くなり、それが引き金となるわけです。もともと血圧が高い方はさらに注意が必要です。
このヒートショックを回避するためには、家の中の気温差を少なくすること。特に家族の人数が少ないと、LDKだけ、寝室だけなど局所暖房になりがちです。家全体の断熱性を高めて温度差を少なくすることも重要ですが、特に脱衣室や浴室、トイレなど寒くなりがちな場所は要注意。窓があるなら内窓を付けるなどの対策をしましょう。内窓リフォームは2025年3月現在、国の補助金対象にもなっています。
内窓リフォームについて、以下の記事で詳しく紹介しています。
アルミサッシの断熱は、1窓約1時間でできる『内窓リフォーム』が効果的!
<番外編>夫婦二人暮らしは、食事をする場所の見直しも

子どもが独立して夫婦ふたり暮らしになり、会社も退職すると、夫婦ふたりで過ごす時間がさらに長くなります。シニアリフォームでよく耳にするのが「夫婦で向き合って食事をするよりも横並びに座る方がいい」という声。夫婦でお互い顔を見ながら朝・昼・晩と食事をするより、テレビを見ながら食事をしたいという方が圧倒的に多いです(笑)。
長い将来、夫婦が仲良く暮らすためには、ダイニングテーブルのとテレビの位置を考慮に入れて食事をする場所を見直す方がいいかもしれませんね。
まとめ
人生100年時代。今50代・60代の方は今の住まいでの暮らしはまだまだ続きます。住まいを見つめ直してリフォームすることは、老後の快適で豊かな暮らしにつながります。
これからの人生に無駄なもの、必要なものは何ですか?リフォームを検討されている方はまず、今の住まいを見つめ直すことからはじめてみてはいかがでしょうか。
以下の記事では、50代でマンションを暮らしやすくするためリノベーションした事例をご紹介しています。
50代のマンションリノベは、収納より、動きやすさと自由度がテーマ
筆者

住宅ライター / プロインタビュアー
大内 夏実
株式会社リクルートで情報誌のイロハを学び、独立。不動産・住宅系ライターとして経験を積む。大手ハウスメーカーから小さな街の工務店までさまざまな建築会社の注文住宅施工例やモデルハウスなどを取材し、また実際に購入した方、家を建てた方のインタビューも多数実施。年間100軒ほどの取材に基づいた知識と経験から多くの建築会社の広告戦略なども手掛けている。