公開日2025.06.19
収納がない部屋に収納スペースを作るアイデア|服・布団の収納術も

収納スペースがない部屋での暮らしは、ものの置き場所に悩むことが多くあります。特に一人暮らしの賃貸住宅では、クローゼットや押入れがなく、収納に頭を悩ませる方も少なくありません。また、デザイナーズマンションやリノベーション物件などでも「収納ゼロ」の部屋は意外と多く存在します。
しかし、収納がなくても工夫次第で快適な暮らしを実現することは可能です。本記事では、収納スペースを確保するためのアイデアや洋服や布団などの収納術と、収納のない部屋別のアイデアを解説します。
収納がない部屋に収納スペースを作る5つのアイデア
収納がない部屋でも、工夫次第で使いやすい収納スペースを確保できます。ここでは、限られた空間を有効活用する5つのアイデアをまとめました。
1.壁掛け収納を活用する

収納が少ない部屋の限られたスペースを広く使うために、壁を活用することが効果的です。壁面収納を取り入れると、床の面積はそのままですっきりと快適な空間を作れます。
原状回復の必要がある賃貸住宅では、壁にビスの穴を開ける吊戸棚は設置しづらいものですが、壁に大きな穴を開けないフックを使って有孔ボードや吊戸棚を設置することは可能です。
ただし、壁面収納を行う際には、設置するものの重さに注意が必要です。設置する収納の耐荷重を確認し、石膏ボードには専用のアンカーを使うなど、壁の材質に適した取り付け方法を選びましょう。
2.縦の空間を活かす

収納がない部屋では、限られた床面積を有効に使うために床から天井までの「縦の空間」を活かすことが重要です。縦の空間の中でも、特に天井付近の壁はデッドスペースになっていることが多く、活用すれば収納量を格段に増やせます。
たとえば、天井まで高さがあるブックシェルフやオープンラックなどは収納力が高いアイテムです。ただし、これらの大型家具は搬入が大変だったり、部屋や通路のサイズによっては設置できなかったりという場合もあります。
大型家具の搬入や設置が難しい方や、部屋のサイズに合う収納が見つからない方は、高さや幅を調整できる突っ張り式の収納ラックをDIYするのもよいでしょう。突っ張り式収納のDIYについて、以下の記事でも紹介しています。
【ラブリコDIY】穴を開けずにできる!簡単&おしゃれな壁面収納
3.デッドスペースを有効活用する

▲ (掲載記事)【ワンルーム・1K向け】一人暮らしのお部屋をスッキリ見せる収納ヒント
収納がない部屋は、見落としがちなデッドスペースを活用することが収納力アップの鍵です。ベッド下や家具と壁の間のすき間、ドアの裏側などは、普段は意識されにくいスペースですが、工夫次第で優れた収納場所になります。ベッド下には引き出し式収納ボックスを使えば、衣類や季節物の収納に便利です。また、ソファの下や家具の上も、普段は目に入らない場所ですが、収納ボックスやバスケットを使って整理すれば、空間を有効に使えます。
こうしたデッドスペースを見直すことで、部屋の印象を変えずに収納を増やせるでしょう。
4.収納付き家具を選ぶ

限られたスペースで効率よく収納を確保するには、収納付き家具が効果的です。一つの家具で収納と機能の両方を備えているため、一石二鳥の便利さがあります。
たとえば、引き出し式や跳ね上げ式の収納付きベッドは、衣類やリネン類をたっぷり収納でき、収納付きソファやスツールは、普段使いしながら細々としたものを整理できます。収納スペースを備えたリビングテーブルは、リモコンや雑誌などをすっきり片付けるのに便利です。
家具選びの際には、使い勝手と収納力のバランスを意識するとより快適な空間になります。
5.移動式の収納を導入する

移動式の収納は使いたい場所へ手軽に動かせるため、シーンに合わせて柔軟に活用できるのが魅力です。
特にキャスター付きワゴンは、キッチンからダイニングへの食器や調味料の移動に便利です。使わないときは隅に寄せておけるため、省スペースにもなります。移動式収納を取り入れることで、収納と使いやすさのバランスが取れた空間づくりが可能です。
収納がない部屋での「洋服」の収納術
洋服や布団は、暮らしに欠かせないものでありながら特に収納場所に悩むアイテムです。ここでは、限られた空間でも実践できる具体的な収納術をご紹介します。
「見せる収納」を取り入れる

収納がない部屋で洋服を整理するには「見せる収納」が効果的です。なかでもハンガーラックは、スペースを取らずに衣類をおしゃれに見せることができます。着用頻度の高い服やお気に入りのアイテムを厳選してハンガーラックに掛けると、実用性とインテリア性を両立できます。
おしゃれに見せるポイントは、洋服の色や素材を意識することです。同じ色をまとめてグラデーションのように並べると、セレクトショップのような洗練された雰囲気になります。季節ごとに衣類を入れ替えることも空間を演出するために大切です。収納と演出を兼ねた見せる収納は、スペースの少ない部屋にこそおすすめです。
見せたくないものは「隠す収納」
衣類には見せたくないものもあります。それらは、チェストやベッド下の衣装ケースを活用して「隠す収納」にしましょう。

▲ (掲載記事)衣替えも簡単に!クローゼットがすっきり見える収納アイデア
「隠す収納」のポイント
チェストや衣装ケースの引き出しに衣類を収納する際は、真上から見やすく収納することです。引き出しの深さ程度に小さく畳める衣類は、折り返しの部分を上にして立てて収納すると取り出しやすいでしょう。薄手のTシャツなど立てにくいものには、ブックエンドなどを使って仕切りにすることもおすすめです。
クローゼット・押入れがない部屋での「布団収納」について
クローゼットや押入れがない部屋で収納に困るのが布団です。ここでは、かさばる布団を収納するポイントを解説します。
毎日使う布団は「効率」を重視

小さなお子様がいらっしゃるご家庭やベッドを置くスペースが確保できない部屋では、毎日布団を敷いて寝ているという方も多いと思います。布団はカビを防ぐために通気性を確保することが肝心です。たとえば「折りたたみ式すのこベッド」を使えば、布団をのせた状態のまま折りたたんでコンパクトに収納でき、通気性も確保できます。ほかに、布団の通気性を保ちながら保管するアイテムとして、「折りたたみ式布団干しスタンド」もおすすめです。

また、キャスター付きの布団収納ラックを置けば布団の定位置になります。大きな寝具も楽に移動できるため掃除もしやすく、寝室を清潔な状態に保てるでしょう。
季節・来客用布団は「コンパクトさ」を重視
季節用や来客用の布団は使用頻度が低いため、いかにコンパクトにできるかがポイントです。市販されている布団収納ケースを活用すれば、圧縮しなくても半分程度のサイズにまで小さくすることができます。

▲ (掲載記事)かさばる布団は、「立てる収納」がスッキリの解決法!
収納ケースに入れた布団は、ベッド下などの空きスペースに収納するとよいでしょう。ただしベッド下は湿気が溜まりやすいため、防虫剤を併用することをおすすめします。ほかにも、クッションとして使える布団収納袋を活用する方法もあります。
どうしても布団を保管するスペースを確保するのが難しい場合は、布団のクリーニングを兼ねた保管サービスを利用するのも一案です。
収納のない部屋別 収納アイデア
部屋ごとに収納したいものや悩みは異なりますが、それぞれのスペースに合わせた収納アイデアを取り入れることがポイントです。ここでは、部屋別の収納アイデアを紹介します。
リビングに収納がない場合

リビングでは、リモコン類、雑誌、ブランケット、ゲーム機器など細々したものが散らかります。これらのアイテムをすっきり整理するには、ソファのひじ掛け部分や側面に装着できる収納があると便利です。
ポイントは、ものを使う場所に収納を設置することです。リモコンやブランケットは、使いたいときにすぐ手に取れる場所に収納しましょう。使う場所と収納場所が合致していないと片付けるのが面倒になり、空間が雑然とする原因にもなります。
ほかにも、リモコンラックを兼ねたマガジンラックや収納できるスツールなど、実用性と収納力を兼ねたアイテムは豊富です。整然としたリビングは居心地がよく、ストレスの軽減にもつながるでしょう。
リビングの片付け方は、以下の記事でも解説しています。
リビングが散らかる原因は?すぐ片付けられる、収納のコツ!
キッチンに収納がない場合

キッチンでは、調理器具、食器類、調味料、食材のストック、スーパーの袋などが散乱しやすいアイテムです。収納できる場所がない場合は、壁に掛けられるラックを活用すると、見せる収納としておしゃれに整理できます。
キッチンは家の中で特にモノが多い場所です。壁面だけでは収納が足りない場合は、家具や電化製品のすき間などのデッドスペースを活かして収納力を上げましょう。すき間収納には、前後に動かせるキャスター付き収納がおすすめです。収納が少し増えるだけで、食品のストックや調味料など保管できるものが大幅に増やせます。
キャスター付き収納はDIYでも作れます。作り方は以下の記事を参考にしてください。
【DIY事例】キッチンの隙間収納を解決!キャスター付きラック
洗面所・脱衣所に収納がない場合

洗面所や脱衣所は、タオル類、洗剤、化粧品、ドライヤー、歯ブラシなど、収納するものが多くある場所です。小さなスペースではこれらの整理が難しいため、ランドリーラックやすき間収納を活用しましょう。
ランドリーラックはデッドスペースになる洗濯機の上を収納として活用できるアイテムです。洗濯機の両側に壁がある場合は、壁と壁の間に2本の突っ張り棒を渡すと簡易的なランドリーラックになります。タオルを掛けたりカゴをのせたりさまざまな使い方が可能です。
また、洗濯機横のすき間を活かしてスリムな収納棚を設置すると、化粧品やストック品の収納にも役立ちます。

まとめ
収納がない部屋でも、工夫次第で快適な収納スペースを確保できます。ポイントは、壁面や収納付き家具の活用、突っ張り棒や移動式収納を導入することです。
部屋ごとに適した収納術を実践することで、日々の生活がよりスムーズで快適になります。見せる収納と隠す収納のバランスも意識しながら、自分らしい使いやすい空間づくりを目指しましょう。今回ご紹介したアイデアが、収納改善のヒントになれば幸いです。
アドバイザー
インテリアコーディネーター / 整理収納アドバイザー1級
平井 千恵美
さまざまな市町村のまちづくりに携わりながら、人と住空間のつながりを見出す活動を行う。前職では注文住宅の構造設計を担当。自宅のリフォームやDIYの経験も多数。